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和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス

著者プロフィール
トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。
オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。
解説
勇気を出すのよ。父が遺したホテルを存続させるには、資金援助がどうしても必要なのだから。オパールは自分を奮い立たせ、国際ホテルチェーンのオーナー、ドメニコのもとを訪れた。だが彼の強烈な魅力に対峙したとき、勇気はしぼんだ。それでも、なんとか熱意は伝わり、援助に興味を示してもらえた。彼女を執拗に観察していたドメニコはいきなり言った。「見た目と同じように、君の唇はいい味がするのだろうか」彼の唇がかすめたとたん、オパールはその場を逃げ出した。プレイボーイとは絶対に関わりたくない理由があったから。
抄録
「きみはいくつだ?」だしぬけに彼が尋ねた。
オパールは彼に鋭い視線を向けた。まじまじと見つめていた理由はそれだったのだ。外見から年齢を推し量っていたに違いない。いつもデートしている相手が二十歳《はたち》そこそこの女性だとすれば、オパールの年格好に彼がなじみがないのはうなずける。
「それって妥当な質問かしら?」
「二十四?二十五?」
オパールは背筋を伸ばし、顎を上げた。「あなたはいくつなの?」
「三十二だ」
むきになっていたことに気づいて、怒りがすっと消えた。彼はただ年を尋ねただけなのに。「六月に二十六になったわ」
ドメニコは片方の眉をつりあげた。「そして、結婚も婚約もしていない。なぜだ?」
今さら遅かったが、オパールは右手で左手をおおった。
「ボーイフレンドはいるかもしれないでしょう」
「いるとしても、驚きはしない。きみは人当たりがよくて美しい女性だ」
オパールは頬が熱くなるのを感じ、ふたたび標示板の数字を見つめた。二十八、二十七……もっと速く動かないかしら。“人当たりがよくて美しい”ですって?皮肉をこめたお世辞のつもり?
だが尋ねる気もしないので、代わりに彼女は言った。「それがクレメンジャーズの売却とどう関係があるのか、わからないわ」
ドメニコは壁にもたれ、天井を見上げた。「たしかにそうだ。これはきみの問題ではない」
つかの間オパールは困惑したが、そのうちぴんときた。「さっきの電話のことね」
ドメニコはうなずいた。「ぼくは結婚すべきだと父は思っているし、花嫁学校の卒業生や偶然出会った名家の令嬢と面談するのが母の仕事になっている」
ドメニコと写真に撮られた二人の女性のことをオパールは思い出した。二人とも明らかに花嫁学校の卒業生でも名家の令嬢でもない。そうしたゴシップ種にされるような相手と息子が結婚する羽目になるのを彼の両親は心配しているに違いない。思わずオパールの口もとに笑みが浮かんだ。
「たしかにそれは問題でしょうね、あなたのような人にとっては」
彼女の言葉に含まれたとげにドメニコは気づいた。だが、それでこっちが守勢に立つと彼女が思っているとしたら、見当違いだ。父の事業を継いだとはいえ、奮闘努力してここまで発展させてきたのだ。そのことをミズ・クレメンジャーは知る必要がある。
ドメニコはさっと向きを変えると一歩近づき、彼女をはさむ格好で真鍮《しんちゅう》の手すりに両手をかけた。
警戒するように彼女の目が大きく見開かれ、青みがかった緑色の瞳が燃えあがるのを見て、ドメニコは内心にんまりした。
「あなたのような人だって?非難の言葉に聞こえるが、ミズ・クレメンジャー」
ドメニコが答えをうながそうとしたとき、彼女の目に変化が生じた。一瞬の動揺は消え、とらえどころのない冷ややかな光を放っている。
「オパールよ」彼女は言った。握りしめた書類ばさみを盾のように胸の前で構えているが、声はほんのわずか震えただけだった。「オパールと呼んでいいと言ったでしょう」
自分の名前を口にするときの彼女の言い方がドメニコは気に入った。発音するときの唇の動きが妙にセクシーだ。というより、唇そのものが妙にセクシーだ。
「オパール」ドメニコは彼女の唇からほんの数センチ手前で唇を突きだして言った。「きみの事業を救おうかと考えている男をやりこめるつもりじゃないだろうね?」
今度はオパールも彼の目を鋭く見据えた。「あなたの事業のために解決策を提供したつもりだけど」
ドメニコはほほ笑んだ。今や触れそうなほど近くにふっくらしたセクシーな唇がある。「ぼくにはそんなふうに聞こえなかったが」
彼の心を読んだかのようにオパールは不安なまなざしを左右にさまよわせた。舌先ですばやく唇を湿らせ、さっと引っこめる。
「たぶん、ちゃんと聞いていなかったのね」彼の向こうの壁に視線を据えて言う。
「いや、ちゃんと聞いていたよ」ドメニコは口ずさむような言い方をした。「じっと見ていたし、考えていた」
オパールはちらっと彼を見ただけで、すぐにまた壁に視線を戻した。
「考えていたって、何を?」
ドメニコは心もち顔を近づけた。「見た目と同じように、きみの唇がいい味がするかどうか」さらに顔を近づけ、二人のあいだのわずかな空間を埋める。
彼の唇が軽くかすめ、オパールがはっと息をのんだとき、エレベーターが一階に着いたことを知らせる音がして、扉が開いた。
「失礼」オパールはかすかに息をはずませ、顎をつんと上げて彼の腕を押しやった。
豪華な内装をほどこした大理石のロビーに出ていく美しい後ろ姿を、ドメニコはじっと見守った。たしかにびっくりさせられる女性だ。キスするのではなく、屈服させたい。だがそれでも、次にキスできるチャンスを期待せずにはいられなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
オパールは彼に鋭い視線を向けた。まじまじと見つめていた理由はそれだったのだ。外見から年齢を推し量っていたに違いない。いつもデートしている相手が二十歳《はたち》そこそこの女性だとすれば、オパールの年格好に彼がなじみがないのはうなずける。
「それって妥当な質問かしら?」
「二十四?二十五?」
オパールは背筋を伸ばし、顎を上げた。「あなたはいくつなの?」
「三十二だ」
むきになっていたことに気づいて、怒りがすっと消えた。彼はただ年を尋ねただけなのに。「六月に二十六になったわ」
ドメニコは片方の眉をつりあげた。「そして、結婚も婚約もしていない。なぜだ?」
今さら遅かったが、オパールは右手で左手をおおった。
「ボーイフレンドはいるかもしれないでしょう」
「いるとしても、驚きはしない。きみは人当たりがよくて美しい女性だ」
オパールは頬が熱くなるのを感じ、ふたたび標示板の数字を見つめた。二十八、二十七……もっと速く動かないかしら。“人当たりがよくて美しい”ですって?皮肉をこめたお世辞のつもり?
だが尋ねる気もしないので、代わりに彼女は言った。「それがクレメンジャーズの売却とどう関係があるのか、わからないわ」
ドメニコは壁にもたれ、天井を見上げた。「たしかにそうだ。これはきみの問題ではない」
つかの間オパールは困惑したが、そのうちぴんときた。「さっきの電話のことね」
ドメニコはうなずいた。「ぼくは結婚すべきだと父は思っているし、花嫁学校の卒業生や偶然出会った名家の令嬢と面談するのが母の仕事になっている」
ドメニコと写真に撮られた二人の女性のことをオパールは思い出した。二人とも明らかに花嫁学校の卒業生でも名家の令嬢でもない。そうしたゴシップ種にされるような相手と息子が結婚する羽目になるのを彼の両親は心配しているに違いない。思わずオパールの口もとに笑みが浮かんだ。
「たしかにそれは問題でしょうね、あなたのような人にとっては」
彼女の言葉に含まれたとげにドメニコは気づいた。だが、それでこっちが守勢に立つと彼女が思っているとしたら、見当違いだ。父の事業を継いだとはいえ、奮闘努力してここまで発展させてきたのだ。そのことをミズ・クレメンジャーは知る必要がある。
ドメニコはさっと向きを変えると一歩近づき、彼女をはさむ格好で真鍮《しんちゅう》の手すりに両手をかけた。
警戒するように彼女の目が大きく見開かれ、青みがかった緑色の瞳が燃えあがるのを見て、ドメニコは内心にんまりした。
「あなたのような人だって?非難の言葉に聞こえるが、ミズ・クレメンジャー」
ドメニコが答えをうながそうとしたとき、彼女の目に変化が生じた。一瞬の動揺は消え、とらえどころのない冷ややかな光を放っている。
「オパールよ」彼女は言った。握りしめた書類ばさみを盾のように胸の前で構えているが、声はほんのわずか震えただけだった。「オパールと呼んでいいと言ったでしょう」
自分の名前を口にするときの彼女の言い方がドメニコは気に入った。発音するときの唇の動きが妙にセクシーだ。というより、唇そのものが妙にセクシーだ。
「オパール」ドメニコは彼女の唇からほんの数センチ手前で唇を突きだして言った。「きみの事業を救おうかと考えている男をやりこめるつもりじゃないだろうね?」
今度はオパールも彼の目を鋭く見据えた。「あなたの事業のために解決策を提供したつもりだけど」
ドメニコはほほ笑んだ。今や触れそうなほど近くにふっくらしたセクシーな唇がある。「ぼくにはそんなふうに聞こえなかったが」
彼の心を読んだかのようにオパールは不安なまなざしを左右にさまよわせた。舌先ですばやく唇を湿らせ、さっと引っこめる。
「たぶん、ちゃんと聞いていなかったのね」彼の向こうの壁に視線を据えて言う。
「いや、ちゃんと聞いていたよ」ドメニコは口ずさむような言い方をした。「じっと見ていたし、考えていた」
オパールはちらっと彼を見ただけで、すぐにまた壁に視線を戻した。
「考えていたって、何を?」
ドメニコは心もち顔を近づけた。「見た目と同じように、きみの唇がいい味がするかどうか」さらに顔を近づけ、二人のあいだのわずかな空間を埋める。
彼の唇が軽くかすめ、オパールがはっと息をのんだとき、エレベーターが一階に着いたことを知らせる音がして、扉が開いた。
「失礼」オパールはかすかに息をはずませ、顎をつんと上げて彼の腕を押しやった。
豪華な内装をほどこした大理石のロビーに出ていく美しい後ろ姿を、ドメニコはじっと見守った。たしかにびっくりさせられる女性だ。キスするのではなく、屈服させたい。だがそれでも、次にキスできるチャンスを期待せずにはいられなかった。
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本の情報
紙書籍初版: 2005/12/20
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>愛なき結婚
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ラテン
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ヨーロッパ
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