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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

夜は永遠に

夜は永遠に


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 あのリンダ・ハワードをして“絶妙な会話のセンスといい、個性豊かな人物設定といい、読者をストーリーに引き込むすべを心得ている”と絶賛せしめた実力派。作家になる前は高校で英語と世界史を教えていた。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクイン社から刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともにアラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』はヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。次作は2006年1月に刊行予定。

解説

 孤独だが平和な生活をかき乱す激しい嵐。それが、突如マギーの家に現れたドリュー・エヴァンズだった。濡れ衣を着せられ当局に追われていると語るドリューは殺人犯とは思えぬ気品と王者の風格を漂わせていて、マギーは命じられるまま、彼をかくまった。傷を負ったドリューを介抱するうち、やがてその瞳に宿る炎に気づくようになる。彼はいずれ去っていく人。期待してはいけない。マギーは必死で胸の高鳴りをおさえたが、夜が訪れるたび、二人の距離は縮まるばかりだった。
 ★リンダ・ハワードもその実力を讃えるゲイル・ウィルソン。RITA賞を二度も受賞した彼女の人気連作『孤高の鷲』を2005年12月より三カ月連続刊行します。★

抄録

「あなたは誰?ここで何をしているの?」
 その声は背後の頭上から聞こえた。女性の声だ。驚きのあまり、その言葉の意味が頭にしみ込むまで一瞬の間があった。ようやく理解したとき、ドリューの胃の腑《ふ》に冷たいものが忍び込んだ。
 眼下の光景に気を取られていたとはいえ、ドリューは身のまわりのあらゆることに注意を払うよう訓練で体に叩《たた》き込まれている。相手は音もなく忍び寄ったのだろう。そうでなければ気づいていたはずだ。
「こっちを向いて。ゆっくりと」
 ドリューはつかのま迷ったが、ごろりと仰向けになり、肘をついてそろそろと上体を起こした。木立の間の岩場を見上げたが、相手がどこにいるかはわからなかった。
「ここで何をしているの?」
 その声でようやく相手の居場所がわかった。取り返しのつかないミスをおかしたという気持ちが強まる。それはキャビンに住む女性だった。キャノンの妻だろうと思った女性だ。ライフルをまっすぐにドリューに向けている。使い方も知っているようだ。このあたりの住人なら、子どものころから銃に親しんでいるのだから当然だ。
 ライフルの銃身は岩の上に置かれ、彼女の体は岩陰に隠れている。ドリューがここで待ち伏せをたくらんだとしても、それ以上に好ましい場所は見つけられなかっただろう。不利な状況でなければ、彼女をほめたいところだ。
「これは失礼」子どものころの名残である南部のアクセントを強調して、ドリューは丁寧に言った。
「誰なの?」彼女は冷たく言い放った。
 百とおりもの答えが頭の中を駆けめぐった。この状況では、彼女のキャビンを見張っていたことは言い逃れできない。かといって、本当のことを言えば相手はおびえるだろう。そしてすぐに通報するはずだ。彼女の夫を問いつめるために刑務所から逃げ出したばかりだと打ち明けたら。
 しかし、キャノンがすぐにも姿を現さなければこの女性と対面するしかないことは最初からわかっていた。ただウィンチェスター銃を突きつけられて話すことになろうとは思っていなかっただけだ。
「トミー・キャノンを捜している」
 反応があった。距離があるので目の表情までは読み取れなかったが、彼女の顔つきが何か変わった。
「なぜ?」
「話がある」
「なんの?」
 ドリューはためらった。ここからが難しい。「個人的なことだ。彼と二人だけで話したい。君はキャノンの妻か?」
 それ以上話を進める前にきいておきたかった。もし妻でないなら、キャノンの一家がどこへ行ったかをきき出さなくては。この窮地から抜け出す方策を練るのはそのあとだ。
「元妻よ」
 その短い言葉に、規則正しく打っていたドリューの鼓動は一瞬止まった。離婚したかもしれないと思っていたので、彼は相手の言葉をそう受け取った。しかし、次の言葉で希望は砕かれた。
「今は未亡人だけど」
 ドリューは胸がつぶれるような落胆を表に出すまいとした。これからどうすればいいんだ?
「トミーに会ってどうしたいの?一年前に死んだ男にどんな“個人的な”話があるの?それから、昨夜《ゆうべ》うちの家のまわりをうろついていた理由も聞かせてほしいものだわ」
 キャノンが死んだとしたら、汚名をそそぐ唯一の望みもついえたことになる。ドリューを消すよう命じた組織の人間につながる複雑な経路をさかのぼることは、糸口を失って難しくなるだろう。トミー・キャノンこそ、その糸口だった。
「キャノンがまだここに住んでいるかどうか確かめたかったんだ」
「これでわかったでしょう」彼女はそっけなく言った。「まだ夫と何を話したかったか聞いてないわ」
「どうでもいいことだ」
 ドリューは慎重に体を起こして座り込んだ。立ち上がりたいと思ったが、彼女は許さないだろう。
「どうでもよくはないわ。それがわかれば、あなたをどうするか決められるから」
「僕をどうするか?」言葉の意味はわかっていたが、ドリューは用心深くきき返した。警察に突き出されるのだけは避けたい。そうならないために彼女に何を言えばいいか、ドリューは頭を働かせた。
「知らないなら教えてあげるけど、最近脱走事件があったの」
「脱走?」
 少しでも時間を稼ぐしかない。彼女に話を続けさせるんだ。何か役に立つ情報をもらしてくれるかもしれない。ミスをおかすかもしれない。この一週間自分を突き動かしてきた希望が突如崩れ去って、ドリューはまだ呆然《ぼうぜん》としていた。しかし、一つだけたしかなことがある。刑務所に戻るわけにはいかない。
 あの事故現場をあとにする前から、彼はそう心を決めていた。キャノンの死で無実を証明するチャンスは失ったかもしれないが、おかしてもいない罪のせいで刑務所で朽ち果てるのはごめんだ。避けられるなら避けなければ。
「脱走よ。囚人が脱走したの」
「聞いてないな。僕には関係のないことだ。僕はただあなたのご主人と話したいだけなんだ」
「トミーがあなたにお金を借りていたの?もしそうなら、私には払えないともうわかったでしょう」
「いや、金を貸していたわけじゃない。ただ……ちょっとした頼みがあるんだ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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