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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

消された一夜

消された一夜


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 あのリンダ・ハワードをして“絶妙な会話のセンスといい、個性豊かな人物設定といい、読者をストーリーに引き込むすべを心得ている”と絶賛せしめた実力派。作家になる前は高校で英語と世界史を教えていた。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともにアラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』はヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。

解説

 三年前ペイジはCIAの新米エージェントとして、ジョシュア・ストーンとともに東欧の小国に潜入した。憧れの男性との任務に胸をときめかせたものの、プロに徹する彼がペイジを女として見ることはなかった。ところが、あの夜だけは違った。間一髪で危機を逃れた安堵のためか、ジョシュアはペイジを誘惑し、激しく愛を交わしたのだ。そして翌朝、何も告げずに戦場へと消えて行方不明となった……。時をへた今、ペイジは涙をこらえて彼と対峙していた。まさかジョシュアが生きていたなんて。しかし彼の表情は冷たかった。「人違いじゃないのか?」
 ★RITA賞を二度も受賞し、リンダ・ハワードもその実力を讃えるゲイル・ウィルソン。人気連作『孤高の鷲』第六話では、最強のエージェントが不死鳥のごとくよみがえります!★

抄録

 この三年をどうしてくれるの?こんなのはフェアじゃないわ。ジョシュアは死んだものと、彼女はずっと信じてきた。だから、厳密な意味では“待っていた”と言えないかもしれない。それに、二人は永続的な関係を結んでいたわけでもない。でも……。
「どうしたんだ?」ジョシュアが言った。「何かあったのかい?」
「スタイナーにあなたのことをきかれたわ」ペイジは答えた。
 ジョシュアとの再会で心は乱れていた。動揺が声に出るのではないかと不安だったが、彼女の声は完璧《かんぺき》に抑制がきいていた。
「スタイナー?」彼はおうむ返しに言った。その名に当惑しているようだった。
「いまでは彼が新しい責任者で……」ペイジは不意に口をつぐんだ。ジョシュアは、まったく意味がわからないという顔をしているのだ。
「グリフの話は聞いているはずよ」彼女は言った。ジョシュアがCIAの指示で姿を隠しているのなら、当然グリフ・キャボットの死を知っているはずだ。
 そのとき二人は、誰かが近づいてくることに気づいた。男女のカップルだった。
 彼らがアパートメントの玄関を通りすぎる。二人とも自分たちの会話に夢中だった。ジョシュアはカップルの声が聞こえなくなると、はじめてペイジに視線を戻した。その瞳の色は、彼女が覚えているのとまったく同じ青だった。
「話がまったく理解できないんだが」ジョシュアが言う。「きみの言った名前にも心当たりがない。もしかして、人違いじゃないのか?」
 こんなふうに、見え透いた嘘《うそ》をつかれる覚悟をしておくべきだったのかもしれない。だが、ペイジは彼が嘘をつくとは思っていなかった。ジョシュアは自分の身を守るために、過去の人生を隠しているのかもしれない。しかし、彼はペイジの任務上のパートナーであり、恋人でもあったはずだ。
 ジョシュアはペイジを相手に最初から嘘をついている。それが彼女を怒らせた。この三年というもの、ペイジはあの夜のことを悔やみつづけてきた。その苦しみを頭から振り払うために、莫大《ばくだい》な時間を費やしてきたのだ。
「そんなことはないわ」ペイジは皮肉を込めた口調で言った。「あなたを誰かと間違うはずがないもの」
 ジョシュアは息を吸い込み、考え込むように唇をすぼめてみせた。ペイジは、暗闇《くらやみ》でその唇が肌にふれたときの感触を、思い出すまいとした。
「いいかい――」ジョシュアは冷静な声で言い返そうとした。
「あなたの名前はジョシュア・ストーン」ペイジは彼の言葉をさえぎった。「グリフ・キャボットの指揮する対外安全対策チームのメンバーだった。あなたとわたしは任務でヴラディスタンに潜入し、そこであなたは失踪した。三年前のことだわ。そして四カ月前、あなたはジャック・トンプスンとしてコンピュータのデータに登場した。人違いとかなんとか、そんなごまかしは通用しないわよ、ジョシュア」
「ヴラディスタン?それは……ロシアのどこかだろう?」
「旧ソビエトの共和国のひとつよ」ペイジは彼のあやまちを指摘した。
「ぼくのデータが入っているというのは、どこのコンピュータなんだ?」
 質問を繰り返す彼の口調には、まったく不自然なところがなかった。彼女の話がまったく理解できないという口ぶりだ。しかし、ジョシュアはむかしから演技がうまかった。
「組織よ」それはCIAを意味する符牒《ふちょう》だった。
「デボルト社のことかい?」
 ジョシュアが口にしたのは、彼が勤務しているアトランタの証券会社の名前だった。彼の口調に込められた当惑のニュアンスは完璧だった。ペイジは彼の熱演をあざけるように笑った。
「事故のあとの話だな?」ジョシュアは尋ねた。「きみはその話をしているんだな?」
「事故?」
「交通事故さ。きみはそのことを言っているんだろう?保険とかそういうことを?だとしたら、きみはぼくと誰かの名前を取り違えているんだ」
 ジョシュアの発言には多くの情報が含まれていた。しかも、口調は真実味に満ちている。ペイジは彼の言葉を冷静に分析してみた。事故。保険。名前の取り違え……。
「デボルト社じゃないわ」彼女は言った。「CIAよ。わたしがなんの話をしているのかは、あなたにもわかっているはずよ、ジョシュア。ゲームはもうやめにしましょう。あなたは指示に従って話をしているのかもしれないわね。でも、その手はわたしには通用しないわ。わたしはあなたほど長いあいだ特殊工作に関わっていたわけじゃないけど、コンピュータのデータ検索の方法くらいは知っているのよ。ジョシュア・ストーンが死に、ジャック・トンプスンが生まれる。何もかもファイルに記録されていたわ。それも、見ようと思えば、誰にも見られるファイルに。だからわたしは、あなたがトラブルに巻き込まれたと思ったのよ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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