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愛の円舞曲

愛の円舞曲


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ステファニー・ローレンス(Stephanie Laurens)
 セイロン(現スリランカ)生まれ。五歳のとき、一家でオーストラリアのメルボルンに移り住む。大学では生化学を専攻して博士号を取得、その後、最愛の夫とともにロンドンに渡り、四年を過ごしたのち、帰国。研究活動に従事しつつ、十代のころから愛読していた歴史ロマンス小説を書き始める。現在ではアメリカでも人気が高まり、ベストセラーリストの常連に名を連ねている。趣味は海外旅行。

解説

 ハリーは魔の手から逃げるようにロンドンをあとにした。都会に留まっているかぎり、なんとしても彼を結婚させようという縁結びが好きなご婦人方から逃れられないからだ。彼は愛馬の手綱を取り、郊外の道を飛ばしていた。その途中、道の真ん中に大型の馬車が横倒しになっている現場にでくわした。中に人が閉じこめられている。急いで助け出そうと扉を開けた瞬間、ハリーはくらくらした。極上の真珠を思わせるような女性がこちらを見ていたからだ。
 ★先月から始まったステファニー・ローレンスの三部作〈三人の求婚者〉の二作目をお送りします。前作のヒロイン、レノーアの兄が今回の主人公です。レスター家をめぐる恋の鞘当てをお楽しみください。★

抄録

 ハリーは彼女の目を見つめた。「われわれ放蕩者が何に関心を持っているかわかるかい?」
 その顔の捕食者のような笑み、きらきら光る瞳、なめらかな声の奥にある危険な響きをルシンダは感じ取った。わざとあごをつんと上げる。「わたしは無垢《むく》な娘ではないのよ」
 嘘《うそ》をつきながらも息をのむ。ハリーがさらに近づき、ルシンダを壁際に追いつめて足を止めた。彼女の柔らかなスカートが彼の腿とブーツをなでる。
 ルシンダの目の前で彼の魅惑的な唇がゆがんだ。
「たぶんそうだろう。だがわたしやクレイヴンのような人間から見れば、きみは未経験も同然だ」
 ルシンダはひるまず彼の目を見た。「わたしは自分の身は守れるわ」
 ハリーの目が燃え上がった。「ほう?」彼女は彼の中の悪魔を刺激している。彼は自分が正気ではない気さえした。「試してみるかい?」ルシンダの顔を両手で包んでさらにもう一歩近づき、彼女を壁に押しつけた。彼女が息をのみ、身を震わせるのがわかった。「われわれが何に関心を持っているのか教えようか、ルシンダ?」ハリーの唇に自嘲《じちょう》的な笑みが浮かんだ。「わたしがいつもきみを見ながら何を思っていたか、教えようか?きみとワルツを踊るときもだ」
 ルシンダは答えずに、見開いた目で彼の目を見つめた。呼吸は浅く速くなり、心臓が激しく打っている。ハリーはからかうように眉を上げ、彼女の返事を待った。その瞳が燃えている。視線が落ちた。ルシンダは唇を見つめる彼の顔を見ていた。舌の先で唇をなめたい衝動を抑えきれない。
 ハリーの体を震えが走り、抑えたうめきがもれた。
 彼の頭がさっと下がり、唇が重ねられた。
 こうなればいいのにとルシンダが切望し、こうなるように仕向けたキスだ。それなのに、夢見たものとはまったく違った。彼の唇は強引で激しく、彼女を従わせようとする。彼女をとらえ、不思議な喜びを与えてじらし、彼女がうっとりして抵抗しなくなるまでやめようとしない。そのキスは彼女を現実からさらって、彼の意志だけが支配する世界に連れ去った。
 ルシンダは彼が求めれば応じ、彼がそれ以上を望めば躊躇《ちゅうちょ》せずに従った。彼の欲求を感じ取り、彼を満足させたかった。彼女はハリーにキスを返した。解き放たれた情熱が全身を駆け巡り、身が震える。キスがさらに激しいものになった。ルシンダにはそのキスと、身内にふくれ上がる切望しか感じられなくなった。
 胸の奥に潜む警戒心のため、ハリーはなぜか急に危険を感じた。彼は全力で引き返そうとした。
 身を震わせて頭を上げ、ルシンダの顔を見つめて正気に返ろうとした。彼女のまぶたがゆっくりと上がった。その瞳があまりにも青く、やさしく、魅惑的なので、彼は息さえできなかった。キスに赤らんだ唇は輝くようで、彼が今味わったとおりに甘く熟れている。ハリーはまたも彼女の魔力にとらえられるのを感じた。再びその唇をむさぼりたくなる。
 彼は苦しげに息を吸い、彼女の目に視線を戻した。
 澄んだブルーの瞳の奥で、女性としての決意が、目覚めそうになった理性をのみ込むのが見て取れた。
 そのまなざしに、ハリーは全身を揺り動かされた。
 ルシンダの視線が彼の唇に落ちた。
 彼は身震いして急いで目をつぶった。「いけない」
 それはルシンダにもわかる。けれども、こんな好機を逃すわけにはいかない。エムは“あなたが無垢だということを、いい機会に気づかせてやれば……ハリーなら喜ぶはずよ”と言っていた。でもハリーはかたくなだから、もし今わたしが自分の武器を使わなかったら、次のチャンスはないかもしれない。
 ルシンダは彼の目を見た。両手をゆっくりと彼の肩に置く。ハリーの目が驚きに見開かれ、肩の筋肉がこわばった。彼女を拒絶できないのだ。
 ハリーは圧倒的な欲望を抑えるので精いっぱいだった。彼は身動きもできず、ルシンダが彼の首に回した腕に力をこめ、背伸びして顔を寄せてくるのをただ見守るしかなかった。
 ルシンダはハリーの苦しげな目を見つめた。そして目を伏せて唇を重ねた。
 ハリーはつかの間、抵抗したが、ずっと抑え込んできた欲望がふくれ上がって、彼の意志も理性ものみ込んでしまった。
 ハリーはうめき声をあげてルシンダを引き寄せ、激しく抱きしめた。
 あらゆる抑制が吹き飛び、彼女に激しくキスし、愛撫《あいぶ》する。火がついた彼の欲望はふたりをともに燃え上がらせた。ルシンダもキスを返した。彼の体に手を這《は》わせ、彼を誘う。
 ふたりのあいだで欲望が強く激しく燃えた。ルシンダはその波に身をゆだね、おどおどしたりせずにすめばいいと願った。自分が無垢なのを知られたら、すべてが水の泡になりかねない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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