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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

氷のキスを花嫁に

氷のキスを花嫁に


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 オリヴィア・ゲイツ(Olivia Gates)
 カイロ在住のエジプト人。作家だけにとどまらず、眼科医、歌手、画家、アクセサリーデザイナーという実にさまざまなキャリアをもち、妻と母親業もこなしている。キャラクター設定やプロットのアドバイスをしてくれる娘と、ストーリーが気に入らなければキーボードの上を歩きまわる辛口批評家のアンゴラ猫の助けを借りながら、情熱的なロマンスを書き続けている。

解説

 冷酷なギリシア富豪が残したのは、胸の痛みと苦しみ、そして屈辱。

 妹夫妻の死後、赤ん坊を引き取ったナオミの家に、かつて熱烈に愛しながら別れを告げた元夫アンドレアスが突然現れた――ギリシア大富豪らしいカリスマ性も気高さ溢れる美貌も、昔のままだ。7年前ナオミは、出会ってすぐに彼の虜になり、プロポーズを受けた。だが夫婦として分かち合えたのは、ベッドでの狂おしい情熱だけ。氷のように冷たく心を閉ざす夫との生活はあまりに虚しかった。なのに、今頃なぜ彼が? ナオミはふとある事実に気づき、愕然とした。アンドレアスは、亡くなった義弟とは親友同士だった。まさか……! 次の瞬間、無情に響く声がナオミを打ちのめした。「親友の遺言に従い、赤ん坊はぼくが引き取る」

 ■衝撃の展開!! 人生の目的は富を築くことのみ――どこまでも冷徹でセクシーなギリシア富豪に、愛娘を奪い取られる恐怖からヒロインが下した決断とは? 本作はD−1527『海運王に魅せられて』、D−1621『消せない情熱の記憶』の関連作です。

抄録

 ナオミは息を吸いこんだ。「あなたは自分の要求を明確にしておいたのに、私が一方的にその約束を投げだしたから納得できなかったのよね。私は取り決めを破ろうとしたんだもの、阻止する権利があると思って当然だわ。あなたは今、切り札を持って現れ、私の過去の過ちを償わせ、あなたにとって都合のいい取り決めにもう一度応じさせようとしているみたいだけど、もうあなたの融通の利く道具になるつもりはないの。でも、もしあなたがドラの人生に介入しないでいてくれるなら、しがらみのない体だけの関係に応じる気はあるわ。そういう取り決めならふたりとも得られるものがあるでしょう。でも、それ以外はだめ」
「なぜだ?」
「あなたと再び茶番を演じる気はないからよ。それもドラを板挟みにするなんてもってのほか」
「今夜は茶番じゃない。あまりにもリアルだった」
「確かにね。でも、ただのセックスよ。わかっているでしょう」
「“ただの”なんて言い方はおかしい。何年もたった今でも、僕はまだきみを求めている」
「私と寝るのはいいわ。でも、結婚はだめ」
「もう一度きくが、なぜだ? 僕がきみを求めるのと同じくらいきみも僕が欲しいんじゃないのか?」
「欲望だけでは結婚は成り立たないわ。確かに、私の体はときに酸素よりもあなたを必要としていた。でもあなたとともに過ごした数年間は、まさに人生で最も惨めな数年間だったのよ」
 アンドレアスの瞳がさっきよりもうつろになった。突然、ナオミはあることに気がついた。
 奇妙なことだが、瞳のうつろさは動揺の表れなのだ。驚いたり狼狽したりすればするほど、彼の目は無表情になる。
 とはいえ、そんなことはどうでもいい。重要なのはアンドレアスに提案を撤回させることだ。
「あなたの提案に応じたら、私はまた傷つくことになるし、子育てにも支障をきたすわ。そんなのは絶対にごめんよ」
 アンドレアスはナオミを凝視したあとで力強く息を吐いた。「僕の好きなだけ体の関係に応じてくれるというのなら、なぜ結婚という手続きを踏むだけで傷つくんだ?」
「結婚によって生じる法的義務や、生活環境の変化がすべてをややこしくしてしまう。体だけの関係しか私は差しだせないわ。どちらにしろ、あなたが欲しいのはそれだけでしょう」
「言ったはずだ。僕が欲しいのは結婚だよ」
「どうして?」
 アンドレアスは肩をすくめた。「僕はもう体だけの関係を求める男じゃない。ドロセアに対する責任があるからね」
「いいえ、違うわ。ドラはあなたのものじゃない。私のものよ」
「ペトロスの遺言書によると、そうじゃない」
 ナオミは不安と怒りに圧倒されそうになったが、必死に抑えこみ、ゆっくりと息を吸いこんだ。
「充分に考え抜いて出した結論ではないようね。権力と富さえあれば、子供を育てるのは簡単だと思っているんでしょう。でも、小さい子供と生活をともにするほど、調子が狂って疲れるものはないわよ。たとえ世話を使用人に任せたとしてもね。子育てが日々の責務や尊厳にじかに影響することを肝に銘じておけないのなら、子供を預かる責任は負えないわ」
「僕にはそんな責任は負えない。それはもう認めたよ」
「じゃあ、ドラを引き取ってどうするつもり? 子守や家庭教師に預けて、大きくなったら寄宿学校にでも入れるの? そして、ドラなんか存在しないみたいに世界中を飛びまわる?」
「それは僕の意図でないと言ったはずだ。きみとドロセア、両方を手に入れる前提でしか考えてこなかった」
 ナオミは唖然と口を開けた。この再婚の提案がずっと頭にあったというの? 自分の欲望を満たし、ドラの面倒も見ることができる便利な組み合わせだとでも思ったのかしら。
 ナオミは怒りをのみこみ、感情のない声で言った。「そう。じゃあ、別の前提で考えてみて。私はもう提案をしたわ」
 アンドレアスはナオミの拒絶を受け入れるかのように頭を傾けた。
 そして脇へ寄って、ナオミを通らせた。
 まるで牢獄の扉が開いたような気分で、ナオミは早足で歩いていった。アンドレアスはゆっくりとあとからついてきたが、歩幅が長いのですぐに一歩後ろまで追いつかれた。
 ドアから出ていく間際に、アンドレアスが言った。「運転手に送らせよう」
 ナオミは振り向かずにかぶりを振った。「このあたりは安全だし、車に乗ったらたったの五分だわ」
「それでもだ」
 そのひと言を聞き、なぜかナオミは振り返ってしまった。そしてすぐに後悔した。威厳に満ちたむきだしの上半身が目に入り、その体で何をされたのかを思いだして息ができなくなったのだ。
 アンドレアスはナオミの手をドアノブから離した。「僕が自分で車を出してもいいが、僕らは今夜、もう充分にやりあったからね」
 気がつくと、ナオミはアンドレアスの熱くこわばった体に引き寄せられ、首元の脈打つ部分には彼の唇がぴったりとあてがわれていた。体中の血が再び欲望で燃えたぎり、あと少しでもう一度私を奪ってと懇願しそうになったが、そのときアンドレアスがささやいた。
 アンドレアスの言葉が理解できると、ナオミは彼の腕を振りほどいた。「あなたはけだものだわ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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