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愛されない娘

愛されない娘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・ダグラス(Michelle Douglas)
 8歳のときに将来の夢を訊かれて、すでに「作家」と答えていた。チョコレートを隠し持つヒロイン、笑い方を知っているヒーロー、そしてハッピーエンドをこよなく愛する。全米読者選賞、ロマンティックタイムズの批評家選賞のほか、オーストラリアで“ロマンス界のアカデミー賞”と称されるRUBY賞にもノミネートされた、いま注目の作家。オーストラリア東海岸のニューキャッスル郊外に、夫とともに住んでいる。

解説

 これはきっと、片思い。私は愛されたことがないから……。

 仕事ばかりの両親に顧みられず、祖父に育てられたニーンは、最愛の祖父とふたりでカフェを営むことをずっと夢見てきた。祖父が亡くなると、彼女は独りその遺産を元手に店を開こうとするが、両親がにわかに相続権を主張しはじめ、夢を阻まれてしまう。しかたなくニーンは、新しくオープンするカフェの店長職に応募し、リコというイタリア系のハンサムなボスのもとで働くことになった。仕事熱心で魅力的な彼にしだいに思慕の念を募らせるが、なぜかリコは心を開こうとせず、彼女の胸は切なさに締めつけられた。これ以上彼を好きになっても、二の次にされて傷つくだけよ。愛されない苦しみを知るニーンは、必死に恋心を戒めるのだったが……。

 ■2014年にボス&秘書のシークレットベビー物語で鮮烈なデビューを飾ったミシェル・ダグラスの最新作をお贈りいたします。唯一の心の拠り所だった祖父を失いながらも、気丈に夢を叶えようとするヒロインと、深い秘密を背負い心を閉ざすヒーローの切ない恋物語。

抄録

「たいていの人は、連中が何をしてもどうせ最悪の結果になると踏んでいる。僕は、最善を期待するようにしている」
 それなら彼が疲れきって見えるのも無理はない。ニーンの胸にリコへの同情がこみあげた。「あなたみたいな心強い味方がいてどれほど幸運か、その子たちがわかっているといいけれど」
 リコは何も言わなかった。
「どうしてこんな仕事をする羽目になったの?」
 彼の目はまた光を失いかけていた。「“羽目になった”わけじゃない。自ら志願したんだ」
 話の続きを待ったが、リコは黙ったままだ。ニーンは唾をのみこみ、きっぱりとうなずいた。ええ、私はただの従業員よ。たとえ新しい網戸と最高の防犯装置をつけてもらったにしても。彼には“確保した人材を守っているだけ”と言われたでしょう。
 それに大義の実現に夢中の社会活動家なんて、ちっとも魅力的じゃない。万一魅力を感じたにしても、ロマンチックな関係はいっさいお断り。愛を求めた結果どうなったか。私はすでに経験から学んだ。物覚えが悪いとは誰にも言わせないわ。
「それでは」ニーンは立ちあがった。「コミュニティセンターへ連れていって」

 ニーンは雇う予定の少年四人に会った。五人と会うはずだったが、一人は現れなかったのだ。四人は小声で挨拶の言葉をつぶやき、ニーンには比較的礼儀正しく、リコには敬意を持って接した。だが仲間内での態度は荒っぽく、言葉遣いは最悪だった。
「どう思った?」四十分後、センターを出るなりリコが尋ねた。
「ぜひコーヒーを飲みたい気分だわ」
「そこまで悪くないはずだ」彼は体をこわばらせた。
「悪いなんて言っていないわ。なぜ身構えるの?」
 ニーンはとまどっていた。少年たちの擁護者として気安い兄のように接するのかと思ったのに、リコは四人と距離をおき、少し離れたところから眺めていた。なぜかしら? 全然理解できない。
 彼を理解することは私の職務外よ。ニーンはかぶりを振った。「近くにあなたに見せたいコーヒーショップがあるの。そこで少年たちのことやカフェの具体的な運営法を話したいわ」彼女は歩きだしたが、三歩も進まないうちに脚の長いリコに追いつかれた。
「君の考えはさっぱり読めないな」
 それならお互いさまね。「私があの少年たちに惚れこみ、カフェの運営は順調に進んで大成功を収める、とでも言うのを期待していたんでしょう?」
 リコは一瞬口元をゆがめたが、すぐ楽しげに目をきらめかせた。たちまちニーンの鼓動が速まった。ほほ笑むと彼は若く見える。なぜもっとほほ笑まないの? いえ、だめ。好奇心は厳禁よ!
「期待はしなかったが、そう言ってくれたらと思う。君は厄介事や問題や大惨事ばかり想定している」
 ニーンは眉を上げた。彼は私の考えがやすやすと読めるらしい。「それと、問題の解決策もね」
「すまない」リコはうなじをさすった。「少年たちをかばう癖がついているものだから、つい……」
 ニーンは彼を促して店に入った。「どう思う?」席に着いてコーヒーを待つ間、彼女は尋ねた。
「いい店だ。趣があり、親しみやすく、くつろげる。うちもこんな雰囲気を出せたら最高だろうな」
 出せるわけないじゃない。彼女はため息をこらえた。「ほら、コーヒーが来るわ。ウエイトレスの動きをよく見ていて」
 若い娘が二人の前にカップを置いて戻っていく。
「何を見ればよかったんだ?」
「彼女、とても小柄で動きが優雅でしょう?」
「そうだな」
「今度はテーブルの間隔を見て。狭いでしょう? さっき会った少年たちの体格と、十代の男子の不器用さを考えたら……」
「彼らだって、ちゃんと仕事を覚えるさ!」
「リコ、一瞬でいいから彼らをかばうのをやめてくれない? 私が言いたいのは、あの少年たちの見た目と仕事ぶりを最高に引き立たせたいなら、それにふさわしい舞台装置が必要だってことよ」
「未来の雇い主が彼らの技能を見極めようと立ち寄ったときのために?」
「そのとおり」ニーンは身を乗りだした。「ここみたいな小ぢんまりと居心地のよい田舎家風の雰囲気ではなくて、テーブルの少ない、すっきりと殺風景な感じを目ざすの。バッテリーポイントの歴史を生かし、植民地時代の流刑地っぽくするのよ」
 リコも身を乗りだした。魅力的にもなれる黒っぽい瞳でじっと見つめられ、ニーンの胸は高鳴った。
「少年たちを気に入ってくれたのかな?」
「まだ会ったばかりよ。なんとも言えないわ。もっとも、トラヴィスのことは気に入ったけれど」
 トラヴィスはほかの少年たちより年上の十七歳だ。以前勤めた店で簡単な料理をつくった経験もある。人と目を合わせて話ができるし、その目には期待が宿っていた。「磨けば光る子だという気がするの」
 リコの口がぽかんと開き、目が輝きだした。ニーンがそのまぶしさに息をのんだ次の瞬間、彼は両手で彼女の顔を包んでキスをした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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