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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

荒野のプリンセス

荒野のプリンセス


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリーン・ラブレース(Merline Lovelace)
 アメリカロマンス小説最高峰のRITA賞をはじめ、数々の受賞歴を誇り、USAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば登場する人気・実力ともに一流の作家。アメリカ空軍士官として、国防総省や世界各地の基地で二十三年間を過ごしたのち、小説家に転身したという異色の経歴の持ち主である。作品数は四十を超え、世界中で出版されている。執筆以外の時間は、彼女だけのハンサムなヒーローである夫と一緒に、旅行やゴルフ、友人や家族とのにぎやかなディナーを楽しんでいる。

解説

 アレクサンドラは生まれ育ったアメリカを去り、祖父のあとを継いでカリスタンの統治者となった。問題山積だが、目下の悩みはカリスタンの人口減少だ。相次ぐ戦争で多くの男性を失ったこの国では、アレクサンドラを含め、若い女性ばかりが余っている。ある日彼女は、アメリカ大統領からの就任祝いに驚愕した。届いたのは、毛並みのよい名馬と見ばえのよい男性。ネイト・スローンと名乗る男性いわく、国家繁栄のため“種馬”を活用してほしいという大統領メッセージを携えてきたとのこと。いったいどういう意味? ネイトの誘うような微笑に、彼女は動揺を抑えきれなかった。

抄録

 彼女の眉間《みけん》に刻まれた憂いの皺《しわ》を消し、その額を歓喜に輝かせたい――そんな思いを口に出すのももどかしかった。
 岩壁にぽっかりと開いた穴から抜け出すと、まばゆい日の光に思わず目がくらんだ。アレクサンドラがつまずいて危うく転びそうになると、ネイトはさっと彼女の腰に腕を回して抱き寄せた。岩壁に背中を押しつけ、もう一度キスからはじめる。
 だがやがてすぐに、激しく唇をむさぼり合い、服を着たまま抱き合うだけでは二人とも満足できなくなった。
 アレクサンドラはネイトの唇を吸いながら両手をすべらせて、彼のジャケットを脱がせた。舌を絡ませ、喜びのうめき声を小さくもらしながら、コットンのシャツのボタンを指でまさぐる。
 ネイトは片方の腕で彼女の腰を抱いたまま、真紅のチュニックの高い襟を引き寄せた。襟の隙間からわずかに触れる柔らかな肌にもどかしさを覚え、上体を少し離してチュニックのボタンを探る。
 チュニックの前見ごろにずらりと並んだ金ボタンがひとつずつ外される間、アレクサンドラは壁にもたれ、唇をうっとりと半開きにしていた。額の皺はすっかり消えている。手の込んだボタンに手間取り、ネイトは小声で悪態をついた。見た目はきれいだが、小さなボタンを彼のような武骨な男がひとつずつ外していくのはひと苦労だ。もどかしさを抑えながら最後のひとつを外すと、真紅のチュニックをいっきに肘まで引きずり下ろした。アレクサンドラの胸を覆うブラジャーを見た瞬間、彼の口からはうめきとも苦笑ともつかない声がもれた。
 レッドがイヴァナの蜂蜜《はちみつ》の壺《つぼ》を襲撃した夜、彼女のテントでレースのブラジャーを拾い上げたネイトは、アレクサンドラがそれを身につけている姿を想像して眠れぬ夜を過ごしたものだった。だが、どんな妄想も現実の彼女にはとてもかなわない。すべてを脱ぎ捨てたアレクサンドラを目の前にして、ネイトはあらためて思った。
 このうえなく優美な裸身。細くしなやかなその体はまるで柳の若木のようだ。生まれ立ての子牛のように長く、しかしそれよりはるかに美しい脚。象牙《ぞうげ》色に輝く肌は太陽の光の中で艶《つや》やかな陰影を帯びている。胸のふくらみは小さめだが形よく突き出ていた。だが、どの部分よりも強くネイトの心を打ったのは彼女の目だった。金色に輝くその瞳には恐怖や不安はみじんもない。誘うように見つめられ、ネイトの欲求はますます高まった。
「わたしにも、あなたを見せて」アレクサンドラはつぶやき、ネイトのシャツの中へ手をすべらせた。「あなたのすべてを」
 ようやく――ネイトの協力を受けながら――彼の服を脱がせ終えたとき、アレクサンドラの体は欲望に潤っていた。
 なんて神々しい体だろう。引きしまったその体は日ごろの鍛練、あるいは労働のせいで無駄な肉がまるでついていない。たくましい筋肉がしなやかな皮膚に包まれ、柔らかな金色の胸毛がその上を覆っている。その体は嵐《あらし》の日、岩棚の下へ避難したときに聞かせてくれた厳しい少年時代を正直に物語っていた。ロデオに明け暮れていたころに負ったものらしい、白く長い傷跡が残っている。固く盛り上がった傷跡。そして、胸の右側にある小さな丸い引きつれのあと。
 ステップ地帯で何度も夏を過ごしてきたアレクサンドラは、それが銃弾のあとだと知っていた。
「この傷はいつのもの?」彼女はかすれた声で尋ねた。
「大昔のことさ」
 アレクサンドラは指で傷跡をなぞった。「どうして傷を負ったの?」
 傷跡に触れたアレクサンドラの手に、ネイトの手が重なった。「どうでもいいさ。昔のことだ。そんなことより今は、この瞬間のほうが大切だ」
 過去のことも将来のことも、今はいっさい考えるのをやめよう、とアレクサンドラは心を決めた。ネイトの言うとおりだ。今、わたしにはこの瞬間しかない。ネイトしかいない。
 ネイトに押さえられていた手をそっと動かし、ゆっくりと胸の上をすべらせた。滑らかな胸から平らなおなかへ。爪の先で、彼の下腹部の高ぶりをなぞっていく。
 澄みきった瞳でネイトを見上げ、アレクサンドラはほほ笑んだ。「この瞬間を大切にしすぎるのも、どうやら考えものね」
 ネイトが笑いながら低くうめいた。
 アレクサンドラはネイトの欲望の証《あかし》を手に包んだが、次の瞬間、彼が身を引いたので驚いてまばたきをした。
「待ってくれ、ほんの少しだけ」
 ネイトは後ろを向き、背中を丸めて脱ぎ捨てた服の山をごそごそと探った。日に焼けた背中と白く引きしまったヒップをアレクサンドラがうっとりと眺めている間に、彼はジーンズのポケットの中身を次次と取り出した。ポケットナイフ、食べかけのチューインガムの包み、コインなどを丸まったアレクサンドラのチュニックの上に出すと、どうやら目的のものを発見したらしい。彼は立ち上がり、アレクサンドラのほうへ戻ってきた。
 軽い不快感を覚えながら、アレクサンドラは彼が手にした小さな銀色の包みを見つめた。ネイトのように気さくでハンサムな男性は、いついかなる場合でもこういうときの用意は怠らないものだということを心得ておくべきだった。
「あなたはいつもそうして緊急避難用具を持ち歩いているの?」アレクサンドラは冷ややかな声で尋ねた。
 ネイトは岩壁に片手をつき、もう片方の手で彼女の顔をあお向けた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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