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和書>小説・ノンフィクションハーレクインウエディング・ストーリー

花嫁の姉

花嫁の姉


発行: ハーレクイン
シリーズ: ウエディング・ストーリー
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 スーザン・マレリー(Susan Mallery)
 USAトゥデイ紙や大型書店などのベストセラーリストの常連で、ユーモアと情感あれるロマンスで根強いファンを獲得。その作品数は百作以上にもおよぶ。雨の多さばかりが大げさな話題となり、締め切り前になるとお世話になる大量のコーヒーでも有名な土地ワシントン州に居を構える。最近は刊行される作品が着実に売り上げを伸ばし、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーリストにも登場。多くの読者から支持を得る人気作家となっている。

解説

 妹の盛大な結婚式に出ることになり、ケイティは複雑な心境だった。1年前、妹はケイティがつき合っていた恋人を奪い取ったのだ。すると、母が気をきかせて当座の恋人役を演じる男性を用意してくれた。だが、それは以前、最悪の出会い方をしたジャクソンで……。

抄録

 ケイティは笑い出しそうなのをこらえて言った。「ジャクソン、待って。ごめんなさい、あなたは優しくなんかないわ」
 眉間のしわはぴくりとも動かない。
「むしろ……」ケイティはそこで言葉を切り、声をひそめて続けた。「悪い人ね。こんな男には気をつけなさいと母が言っていたとおりの悪い人だわ」
「まあ、いいだろう」ジャクソンがしぶしぶうなずく。「よく覚えておくんだな」
 彼の顔が近づいてくる。甘いキスへの期待にケイティの全身がこわばって息がつまり、唇が待ち焦がれるように震える。
「あら、ここにいたのね」甲高く震える声が、夢心地のケイティを悪夢へと引き戻した。「ケイティ、こっちへ来てキスしてちょうだい」
 ケイティはジャクソンから身を引き、よぼよぼと近づいてくる年老いた小柄な女性にほほえみながら歩み寄った。「ナーナおばさま」
 なぜなのか誰にもわからないが、ナーナ・マリーはいつも魚のようなにおいがする。ケイティは息を止めながら身をかがめ、老婦人の頬にキスをした。
「いい子ね。どれ、よく見せて」
 ケイティはまっすぐ身を起こし、言われるままにくるりと回ってみせた。
「とてもきれいよ。体重の管理がちゃんとできているわね。あなたがまた太ってしまっているんじゃないかとみんな心配していたんだけど、よくがんばったじゃないの」ナーナ・マリーはそう言うとジャクソンにちらりと目をやった。「こちらはどなた?」
「ジャクソン・ケントと申します」
「ジャクソン、こちらはナーナ・マリーよ。ナーナおばさまは……」そこまで言ってケイティは首をひねった。「ナーナおばさまとわたしって、どういう親戚関係だったかしら?」
「親戚じゃないわ。わたしはあなたのおばあさまのお友だちだったの」ナーナはジャクソンにほほえみかけた。「ハンサムなかたね。みんな本当に喜んでいるのよ。ケイティにもやっとすてきな人が見つかったって。あのアレックスときたら、ケイティをその気にさせておいてコートニーに乗りかえたのよ。ポテトチップみたいに薄っぺらのあんな子に。このケイティとは大違いだわ」
 そう言うと、ナーナはケイティの頬を思いきりつねった。ケイティの目に涙がにじんだ。
「でも今は恋人ができた。それが何よりも大事なことよ。さあ、それじゃ、わたしは失礼してお手洗いへ行ってくるわ」
 洗面所へ向かうナーナを見送りながら、ケイティはいっそのこと壁に思いきり頭をぶつけてみようかと考えた。そうすれば顔にあざが残り、体重や恋人以外の話題を提供できるかもしれない。
「ごめんなさい。これは思っていた以上に大変だわ」情けなくて涙が出そうだ。
 ジャクソンはケイティに歩み寄り、軽く頬をなでた。「大丈夫だよ、引き受けた仕事はちゃんとやるさ。ナーナもいい人じゃないか」
「あなただって、頬をつねられたらそうも言っていられなくなるわよ」
 ジャクソンはくすっと笑い、やがて真剣な面持ちになった。「悪く思わないでほしいんだが、きみの家族がきみをあれこれ批判するのは賛成できないな。きみには立派な仕事もあるし、きれいでセクシーだ。時期が来たら結婚だってちゃんとできるさ。きみと結婚できる男は幸運だよ。きみを捨ててコートニーを選んだアレックスは大ばか者だ」
 ケイティはあっけにとられてジャクソンを見つめた。あまりにも持ち上げられすぎて、なんと返事をしていいかさえわからない。「ありがとう」ただ、それだけつぶやいた。
「どういたしまして」ジャクソンはケイティの体に腕を回し、パーティ会場へと促した。「アレックスとコートニーのそばを回っていこう。自分がいかにすばらしいものを手放してしまったか、あの気の毒な男に見せつけてやろうじゃないか」

 今思えばナーナ・マリーはましなほうだった。三時間後、ケイティとスローなダンスを踊りながらジャクソンはしみじみ考えた。マコーミック家は親族が多く、情に厚いのはいいが、誰も彼もケイティの問題にやたらと首を突っ込みすぎる。体重のことに触れないかと思ったら、今度は恋人を連れてきたことを大げさに言いたてるのだ。さも意外なことのように。
 まったくわけがわからない。自分は男だし、この会場の誰よりも洞察力に富んだ人間とは言えないが、それにしても不可解だ。ケイティはこんなに魅力的だというのに。美しい瞳となめらかな肌と輝くブロンドの髪はもちろんのこと、こうして彼女を腕に抱き、音楽に合わせて体を揺らしていると、胸板には豊かな胸のふくらみを、腰に当てた手にはヒップの丸みを感じる。この体のどこに問題があるというんだ。申し分なく魅力的じゃないか。ジャクソン自身の体がそう訴えてくる。
 みんな頭がどうかしている、中でも親族たちは最悪だ。だが、ぼくがここにいる限りはケイティを守ってやれる。
 甘い花のような香りがかすかに漂ってくる。心を誘うその香りに、暗い寝室と乱れたシーツが頭に浮かぶ。ジャクソンは思わず、ダンスフロアの端にある太い柱の陰へとケイティを引き寄せ、誰にも見えないところで唇を奪った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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