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和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ディザイア

著者プロフィール
キャサリン・マン(Catherine Mann)
大学では演劇を学び、卒業後は小さな町の新聞社で働いたり、教職に就いて演劇学校の校長をつとめたりした。その後、昔からの夢だったロマンス小説の執筆に取りかかる。RITA賞受賞作家となった今は、空軍パイロットである夫の転属に伴って四人の子供たちとビーグル犬、虎猫を引き連れてアメリカ国内を転々とするうちに、さまざまな経験をし、それを作品の構想に役立てている。
大学では演劇を学び、卒業後は小さな町の新聞社で働いたり、教職に就いて演劇学校の校長をつとめたりした。その後、昔からの夢だったロマンス小説の執筆に取りかかる。RITA賞受賞作家となった今は、空軍パイロットである夫の転属に伴って四人の子供たちとビーグル犬、虎猫を引き連れてアメリカ国内を転々とするうちに、さまざまな経験をし、それを作品の構想に役立てている。
解説
再会したニコラスに、ヴァネッサは冷たい言葉を投げつけられた。無理もない。一年前私は、彼を愛していないふりをした。本当は、彼が恋しくてたまらなかったのに。今だって……。彼が私をスキャンダルの女王だと誤解したままなら、それで構わない。「もう一度私をその気にさせてごらんなさい」ヴァネッサは挑発した。
抄録
ニコラスはヴァネッサから目をそらし、リネンのクロスに覆われた彼女の横のビュッフェ・テーブルへ視線を移すとそちらへ歩み寄った。小さなナプキンをつかみ、まっすぐ前を向いたままグラスで口元を隠してヴァネッサに声をかけた。「このパーティーの企画にはきみも参加していたのか?」
「どうして?」ヴァネッサもニコラスのほうを見向きもせず、前を向いてグラスを揺らしながら答えた。グラスの中身はライム入りのスパークリング・ウォーター――彼と同じだ。
ニコラスは透き通ったテントのほうへ軽く顎をしゃくった。「どこもかしこも白ずくめだ」
透明のクリスタルの花瓶にあじさいの花が生けてある。巨大なフラワー・アレンジメントは白い支柱の上に飾られていた。ゲストの十人に一人はペット連れだが、装飾品には足跡ひとつついていない。
ヴァネッサは微笑を浮かべながら深く息を吸い込んだ。「ゆりはわたしの大好きな花だわ」
タキシード姿のウエイターがオードブルののった銀のトレイを掲げながら二人のそばを通りかかった。ニコラスはスモークサーモンのカナッペを口に放り込み、ヴァネッサはポータベラ・マッシュルームとハーブのブルスケッタに手を伸ばした。その手がかすかに震えている。
おかしい。
ニコラスは視線を上げた。ヴァネッサの顔色がよくない。「大丈夫かい?」
ヴァネッサがスパークリング・ウォーターのグラスに口をつけた瞬間、休憩を終えたバンドがステージに上がった。「今夜は会えないわ」
驚きと失望がいっせいにニコラスを襲った。「パーティーの後は、予定は何もないはずだろう」
「わたしの予定をいちいち調べているの?」
「あちこちの話をよく聞いて、きみに予定がないことをたしかめただけだ」
「だったら今、わたしの話をよく聞いて」ヴァネッサはグラスをテーブルに置いた。「わたしにも都合というものがあるの」
ニコラスの驚きが苛立ちにすりかわった。「このゲームのルールを決めたのはきみじゃないか」
「ルールを変えなきゃならないときもあるわ。だって――」別のウエイターが通りかかったので、ヴァネッサは口をつぐんだ。この夏、二人はあちこちのカクテルパーティーやガーデンパーティー、ソフトボールのトーナメントや音楽祭ですれ違うたびに視線ひとつ合わせず、まるで敵同士のようなふりをしてきた。だがそのいっぽうでニコラスは二人の逢い引き手筈をこっそり伝える名案を生み出していた。はじめは時間と場所を小声で伝えていたが、やがて走り書きの指示を記した紙ナプキンを彼女のバッグにそっと忍ばせるようになった。
そろそろこっちが主導権を握ってもいい頃だ。視線をめぐらせると、他のゲストたちはステージの周りに集まり、≪フー・レット・ザ・ドッグズ・アウト≫の曲に合わせて踊ったり、歌ったりしている。
彼はヴァネッサの手首をつかみ、長く垂れ下がった薄いカーテンの陰へヴァネッサを連れ込んだ。抱きしめ、素早く、そして乱暴に唇を奪った。ヴァネッサは声にならない喘ぎをもらしたがやめてとは言わず、突き放そうともせず彼の首に腕を巻きつけた。ニコラスは喉の奥で低くうめきながら彼女の口をまさぐり、ライムの甘い残り香を味わった。じりじりとヴァネッサを押しながら、テントの脇に広がる洋梨の果樹園へと足を踏み入れる。果樹園の向こうはセブンオークス・ファームに通じていた。
ヴァネッサは彼の下唇を噛むと、温かな舌先でその痕をなぞった。「だめよ。誰かに見られたらどうするの?」
「大丈夫さ。みんなダンスに夢中だし、このあたりは暗がりだから」ニコラスはヴァネッサを抱きながら果樹園のさらに暗い奥へといざなった。「今夜は会えないというなら、今、ここでしよう」今夜はこそこそとした慌ただしいキスだけで終わらせるつもりはなかった。だがそれ以上はどうしても無理だというなら、彼女を精一杯夢中にさせてやろう。
ヴァネッサは彼の首に顔を押し当て、荒い息をついた。ぴったりと密着した豊かな乳房が大きく波打っている。「ニコラス、こんなところで最後までするなんて無理よ。危険すぎるわ」
ニコラスの全身を欲望が駆けめぐり、どくどくと脈打ちながら下腹部へと向かった。「最後まで?」
「そういう意味じゃないわ」ヴァネッサがかぶりを振ると、肩を流れる髪が星明かりを受けてきらきらと輝いた。「もう、ニコラスったら。あなたのせいで頭がごちゃごちゃだわ」
「おいで」ニコラスが彼女の腰をぐっと抱き寄せた。「混乱した気分をなだめてあげるよ」
「強引なのね」
「そういうきみだって、抵抗しなかったじゃないか」ニコラスはふたたび頭を下げたが、彼女に触れる直前にふと動きを止め、ヴァネッサをじっとうかがうように見た。
梢の間から差し込む月明かりに照らされた彼女の瞳は黒い陰に覆われている。ヴァネッサはぱちぱちとまばたきをし、深く息を吸い込むと体をのけぞらせてニコラスの唇を受け入れた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「どうして?」ヴァネッサもニコラスのほうを見向きもせず、前を向いてグラスを揺らしながら答えた。グラスの中身はライム入りのスパークリング・ウォーター――彼と同じだ。
ニコラスは透き通ったテントのほうへ軽く顎をしゃくった。「どこもかしこも白ずくめだ」
透明のクリスタルの花瓶にあじさいの花が生けてある。巨大なフラワー・アレンジメントは白い支柱の上に飾られていた。ゲストの十人に一人はペット連れだが、装飾品には足跡ひとつついていない。
ヴァネッサは微笑を浮かべながら深く息を吸い込んだ。「ゆりはわたしの大好きな花だわ」
タキシード姿のウエイターがオードブルののった銀のトレイを掲げながら二人のそばを通りかかった。ニコラスはスモークサーモンのカナッペを口に放り込み、ヴァネッサはポータベラ・マッシュルームとハーブのブルスケッタに手を伸ばした。その手がかすかに震えている。
おかしい。
ニコラスは視線を上げた。ヴァネッサの顔色がよくない。「大丈夫かい?」
ヴァネッサがスパークリング・ウォーターのグラスに口をつけた瞬間、休憩を終えたバンドがステージに上がった。「今夜は会えないわ」
驚きと失望がいっせいにニコラスを襲った。「パーティーの後は、予定は何もないはずだろう」
「わたしの予定をいちいち調べているの?」
「あちこちの話をよく聞いて、きみに予定がないことをたしかめただけだ」
「だったら今、わたしの話をよく聞いて」ヴァネッサはグラスをテーブルに置いた。「わたしにも都合というものがあるの」
ニコラスの驚きが苛立ちにすりかわった。「このゲームのルールを決めたのはきみじゃないか」
「ルールを変えなきゃならないときもあるわ。だって――」別のウエイターが通りかかったので、ヴァネッサは口をつぐんだ。この夏、二人はあちこちのカクテルパーティーやガーデンパーティー、ソフトボールのトーナメントや音楽祭ですれ違うたびに視線ひとつ合わせず、まるで敵同士のようなふりをしてきた。だがそのいっぽうでニコラスは二人の逢い引き手筈をこっそり伝える名案を生み出していた。はじめは時間と場所を小声で伝えていたが、やがて走り書きの指示を記した紙ナプキンを彼女のバッグにそっと忍ばせるようになった。
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彼はヴァネッサの手首をつかみ、長く垂れ下がった薄いカーテンの陰へヴァネッサを連れ込んだ。抱きしめ、素早く、そして乱暴に唇を奪った。ヴァネッサは声にならない喘ぎをもらしたがやめてとは言わず、突き放そうともせず彼の首に腕を巻きつけた。ニコラスは喉の奥で低くうめきながら彼女の口をまさぐり、ライムの甘い残り香を味わった。じりじりとヴァネッサを押しながら、テントの脇に広がる洋梨の果樹園へと足を踏み入れる。果樹園の向こうはセブンオークス・ファームに通じていた。
ヴァネッサは彼の下唇を噛むと、温かな舌先でその痕をなぞった。「だめよ。誰かに見られたらどうするの?」
「大丈夫さ。みんなダンスに夢中だし、このあたりは暗がりだから」ニコラスはヴァネッサを抱きながら果樹園のさらに暗い奥へといざなった。「今夜は会えないというなら、今、ここでしよう」今夜はこそこそとした慌ただしいキスだけで終わらせるつもりはなかった。だがそれ以上はどうしても無理だというなら、彼女を精一杯夢中にさせてやろう。
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「そういう意味じゃないわ」ヴァネッサがかぶりを振ると、肩を流れる髪が星明かりを受けてきらきらと輝いた。「もう、ニコラスったら。あなたのせいで頭がごちゃごちゃだわ」
「おいで」ニコラスが彼女の腰をぐっと抱き寄せた。「混乱した気分をなだめてあげるよ」
「強引なのね」
「そういうきみだって、抵抗しなかったじゃないか」ニコラスはふたたび頭を下げたが、彼女に触れる直前にふと動きを止め、ヴァネッサをじっとうかがうように見た。
梢の間から差し込む月明かりに照らされた彼女の瞳は黒い陰に覆われている。ヴァネッサはぱちぱちとまばたきをし、深く息を吸い込むと体をのけぞらせてニコラスの唇を受け入れた。
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