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幸せを手放さないで 最高のあなた

幸せを手放さないで 最高のあなた


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア最高のあなた
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 モーリーン・チャイルド(Maureen Child)
 旅行をこよなく愛する彼女は、機会さえあれば夫と連れだって研究旅行に出かける。ハッピーエンドが大好きで、今でもこの職業を世界最高と自負している。現在は夫と子ども二人、それに誇大妄想気味のゴールデン・リトリーバーとともに南カリフォルニアに暮らす。ウォールデンブックスのベストセラーリストに登場歴を持つ。

解説

 怖いものなしの遊び人海兵隊員が、ある日突然、大パニックに。

 ■キャシー・テイトは、なにかにつけ自分の気を引こうとするアパートの向かいの住人に、いいかげんうんざりしていた。何度も結婚と離婚を繰り返す母親を見て育った彼女は、かなりの男性不信に陥っている。しかも相手はプレイボーイの海兵隊員だ。どんなに魅力的だろうと、絶対に近づかせるものですか。海兵隊員トム・ヘイリーは、独身生活を謳歌していた。向かいに住むキャシーもいい女だし、言うことなしの毎日だ。難点といえば、そのキャシーの愛想が悪いことくらいだ。だがある日、一本の電話がそんな順風満帆の彼の人生を大きく変えた。そしてなぜかキャシーの人生をも巻き込んで……。

抄録

 やれやれ。
 キャシーは深く息を吸いこんだ。普通なら、こんなことを言われたら女性としてのプライドがたちまち頭をもたげ、甲高い声で叫び出すところだ。だが不思議とプライドを傷つけられたという感じはなく、温かな思いが胸に広がってくる。こんな感じをいつも味わっていられたら、という思いがふと胸をよぎった。男の人がいつもわたしのことを気遣い、見守ってくれているという感覚を味わっていられたら。
 トムの指が彼女の腕を這い、赤いシルクのブラウスに包まれた素肌を愛撫する。その指の一本一本が、キャシーの肌を熱く燃え立たせた。愛撫はさらに、彼女の魂の一番奥深く、一番暗い部分へと達していく。たった一本のマッチが乾いた薪に火をつけるように、小さな炎はたちまちキャシーの体じゅうに燃え広がった。早く消さないと、骨まで焼きつくされてしまう。
「そ……」キャシーは言いかけて、途中で咳払いをした。「そろそろ部屋に戻らなきゃ」
 キャシーの言葉は聞こえたが、すぐには意味が理解できないとでもいうように、トムはゆっくりとうなずいた。「玄関まで送るよ」
 キャシーはだらりと垂れていた片手を上げ、わずか六十センチほど離れた扉のほうを示した。「すぐそこよ」
 トムは一歩大きくあとずさり、強くキャシーを抱き寄せた。
「ほんとうに、もう部屋に戻らないと」言葉とは裏腹に、なぜこんなにも声が弱気なのだろう。
「わかっている」
 トムは腕の力を緩め、キャシーがバッグから鍵を取り出す間だけ待った。そして鍵を受け取ると錠を開け、扉を大きく開いた。スタンドの明かりがついた室内にちらりと目をやると、彼はあらためてキャシーを見つめた。
「さあ、もう安全だ」
「ほんとうに?」危険なのは体よりも心のほうだわ、と思いながら、キャシーは言った。
 トムの両手がキャシーの腕から肩、うなじへと這っていく。がっしりとした指の感触に思わず身を震わせ、大きな手で顔を包みこまれた瞬間、キャシーは自分の中に生まれた、わけのわからない欲望にはっと息をのんだ。
「キャシー・テイト。きみはまったく安全だよ」トムが小声でささやき、頭を下げるとキャシーの唇に唇を重ねた。
 キャシーはしびれたようにその場に立ちつくしていた。はじめて触れたトムの唇の感触は、うっとりするほど衝撃的だった。そして、さらにその先の予感にキャシーはぞくりと身を震わせた。
 トムの両手が彼女の顔を包み、親指で頬骨をそっとなぞると、彼の唇は想像もつかないほどすばらしい世界へとキャシーをいざなった。はじめは優しく唇を重ねるだけだった。キャシーは思わず背伸びをしてトムのほうへ身を乗り出し、もっと激しい口づけをねだり……求め……懇願した。
 そのとき、トムが喉の奥でくぐもったうめき声をもらし、キャシーの願いをかなえてくれた。彼はキャシーの頭の後ろへ指を這わせ、髪をそっとまさぐった。彼がキャシーを引き寄せ、強く抱きしめると、キャシーは不意に激しいおののきに打たれ、彼の腰に腕をまわして自らの求めているものを探しはじめた。
 トムの舌が彼女の唇を割り、温かい口の中へと侵入してきた。生まれて初めて味わうトムの舌に、キャシーは思わずあえいだ。彼の舌はキャシーの舌と絡み合い、うねりながら、さらに奥深くを探っていく。下唇を歯でそっと噛まれ、体じゅうの血がざわざわとざわめきはじめた。
 息が苦しくなり、くらくらしてめまいに襲われる。遠のいていく意識の中で、キャシーは必死で理性の糸にしがみつこうとしたが、とうとう力つきてしまった。トムがようやく唇を離し、彼女の目をのぞきこんだ瞬間、キャシーは彼の顔に今まで見たことのない激しい欲望を読み取った。
 不意にキャシーを突き放すと、トムは急いであとずさった。片手で頭の横をかきながら、彼はくぐもった声でつぶやいた。「そろそろ中へ入ったほうがいい」
「ええ」消え入りそうな声で答えたが、今ごろ身の安全を守ろうとしても無駄なことはわかっていた。玄関の中へ入り、扉を閉めようとしたとき、トムがまだ立ったままじっとこちらを見つめているのに気がついた。「なあに?」
 トムは首を振り、力ない微笑を浮かべた。「きみが中に入ってきちんと鍵をかけるのを、ここで見届けるよ」
「まだわたしを守ってくれるつもり?」キャシーはため息のようにつぶやいた。
「そのつもりだが」と彼は答えた。「でも、なかなか難しいよ」
 わかっている。さっきのようなキスを途中でやめるのは難しい、と言いたいのだ。キャシーの唇にも、トムの息づかいの余韻がまだはっきりと残っている。しかも、トムのジーンズのふくらみは、キャシーを守る代わりに彼が今夜ひと晩、やり場のない欲望を持て余さなければならないことをはっきりと物語っていた。
「そうやって、ぼくのことをいつまでも見つめているつもりかい」トムの低いつぶやきに、キャシーははっと顔を上げて彼と目を合わせた。「そうすれば、お互いに安全を確かめられるからな」
 キャシーの胸が一瞬激しく締めつけられ、頬がかっと熱くなった。だが懸命に理性をかき集め、軽く頭を下げると、扉を閉め、鍵をかけた。
 玄関に入ると、キャシーはドアにもたれて目を閉じた。さっきティナに言った言葉は間違っていた。
 たしかに、人生には思いがけないことがたくさん待ち構えているものだ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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