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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

偽りの妻

偽りの妻


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンゼイ・アームストロング(Lindsay Armstrong)
 南アフリカ生まれ。現在はニュージーランド生まれの夫と五人の子供たちとともに、オーストラリアで暮らす。オーストラリアのほとんどの州に住んだことがあり、農場経営や馬の調教など、普通では経験できない職業を経てきた。彼女の作品にはその体験が大いに生かされている。

解説

 楽しいはずの秘書の仕事。雇主がこれほど傲慢でなければ……。

 ■珊瑚礁の島にある高級リゾートで、三カ月個人秘書を務める。派遣会社からもらった資料を見て、フルールはわくわくした。面接を受けるために、会場の豪華ホテルへ行くと、長身で強靱そうな体に、いかつい顔つきの実業家ブリン・ウォリスが待っていた。彼は射抜くような目でフルールを見るなり、荒いため息をついた。「君には無理だ。若すぎて未熟だ」いくらフルールが自分の有能さをアピールしても、ブリンはまったく聞く耳を持たない。それどころか、失礼な発言ばかりを重ねる。とうとう憤慨したフルールが席を立とうとしたとき、彼は突然、思いがけない言葉を口にした。「気が変わった。君さえよければ採用したい」

抄録

 彼がフルールに顔を向けた。「あのあとどうなった?」
 フルールはちょっとほほえんだ。「かなりの騒ぎになったわ。奥さんのほうがヒステリックに大笑いしだして、いい気味だわ、当然の報いよ、とご主人に言ったの。彼のほうは警察を呼べと騒いでいたけど、ラズベリームースをあなたに取られた隣のテーブルの女性が泣きだしちゃって」
 ブリンがうめき声をもらして頭を両手で抱え込んだ。
 フルールは慰めた。「元気を出して。教訓がもう一つあるわ。天罰を下す場合は、決して後悔しないこと」
 ブリンは顔を上げて憂鬱そうに彼女を見た。「君は僕よりずっと度胸がいいね。で、そのあとはどうなった?」
「ジュリーンがてきぱきと指揮してくれたわ。エリックに言って、ずぶ濡れのお客をきれいにするようにと外へ連れていかせて、そのあとお客様全員に言ったの。ご迷惑をおかけしたので、明日の夕食にみなさんを特別無料ご招待しますって」
 ブリンが笑いだした。「ほんとうに? ジュリーンはなんて太っ腹なんだろう、僕の経費負担で!」
「でも、お店の株は上がったわ。ジュリーンが、ロブスターは今朝捕ってきたばかりのを使っていますと説明したの。全員が喜んで明日の夕食を予約してくれて、最後はパーティのような雰囲気でみなさん帰っていったわ」
「問題の客の奥方はどうなったんだい?」
「エリックが、奥さんに八つ当たりしないようにとあのお客に言い含めたみたいよ。彼があのご夫婦をリゾートまで車で送っていったの」
「終わりよければすべてよしだな。それなのに、どうして自分が救いがたいばかに思えるんだろう」
 フルールは声をあげて笑いだした。「あんなにおかしかったことは初めてよ。私があなたの恩師だと知ったときはショックを受けたけど」
「先生にどう思われるか心配していたんだ」
 ブリンのしかめっ面を見て、フルールはまた笑いだした。ブリンが彼女に両腕を回し、二人は声を合わせて笑った。
「あなたって個性的な人ね。あなたみたいな人には会ったことがないわ!」フルールは息を切らせた。
「君もご同様だ」ブリンは厳かに宣言すると、唇を寄せた。
 フルールは心おきなく応じた。男性をこんなにも身近に感じるのは何年ぶりだろう。ブリンの熱い腕に抱かれるのはすばらしい気分だ。二人で大笑いして心が通じ合ったあと、キスを返すのが最も自然なことのように感じられる。
 だが、キスはたちまち激しい電流を生んだ。ブリンの味、ブリンの形、すべてがあまりにも心地よくて、曲線を這い回る彼の手によって目覚めさせられた官能の激しさは、過去の経験のすべてを色あせたものに変えてしまった。
 キスが喉に移り、フルールは快感に身を震わせた。彼の手がグレイの薄いプルオーバーの下からもぐり込んできて、やわらかな胸のふくらみをおおった。彼女はかすれた声をもらしてブリンの顔を引き寄せた。再び唇が重なると、彼の手は黒いロングスカートへと下りていってヒップをつかんだ。二人の体はぴったりと寄り添って揺れた。
 フルールは頭から足の爪先まで、火がついたように感じた。あんなに憎らしいと思っていたブリン・ウォリスによって甘美な炎がかき立てられ、彼女の全身に激しく燃え広がっていく。ブリンが愛撫の達人であることは最初からわかっていた。
 彼は特別な人だ。引き締まったたくましい体、はしばみ色の瞳、この両手、そして屈折した性格……すべてが危険な魅力を発散している。ふつうの魅力もあるけれど、それ以上に多彩な顔と、さまざまな才能を持っている。ブリンなら、どんな状況でも頼りになる人だ……。
 やめなさい! フルールは自分を制止した。いったいどこへ進んでいこうというの? 忘れちゃだめよ、もう男はこりごり……。
 心が読まれたのだろうか、ブリンが動きをとめた。だめ、やめないで。フルールは朦朧としながらのろのろと我に返った。彼の手は悩ましい愛撫をやめてただ軽くフルールを抱きとめ、唇は髪に移って軽く口づけしたのを最後に、両手が完全に離れた。フルールは一人で立っていた。彼は一歩離れて両手をポケットに突っ込むと、再び海の彼方を見つめた。
「いったい……どうしたの? どうしてこんなことになってしまったのかしら」フルールはかすれた声で言った。
 ブリンが振り向いて眉を上げた。「初対面のとき以来つのっている、お互いの欲望のせいだよ」
 フルールはいらいらして不意に浜辺に座り込み、砂をすくった。
 ブリンは彼女のうなだれた頭を見下ろした。「欲望を感じるのはよくないという、あらゆる理由を自分に言い聞かせることはできる。だが、欲望の存在を否定することはできない」
「“あらゆる理由”のなかには、あなたが女性とはかかわりたくないというのも含まれるわね」フルールはそっけなく答えた。
「君はどうなんだ?」
 フルールは砂から目を上げて海を眺めた。「私もよ。とくにあなたとはかかわりになりたくない」
「その台詞を僕の腕のなかで言えるかな」
「また話をすり替えるのね。この前もそうだった」
「君には驚くよ。僕が君の自由を縛る意地悪ボスだってことに、まだ気づいていないんだね」
「確かに、あなたはそういう人だって気がするわ」
「今後のことだが、君が自制できないときはどうすればいいかな、フルール」落ち着き払った声だ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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