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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

甘美な報復

甘美な報復


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 あのリンダ・ハワードをして“絶妙な会話のセンスといい、個性豊かな人物設定といい、読者をストーリーに引き込むすべを心得ている”と絶賛せしめた実力派。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともにアラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』は元CIAエージェントのヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。次作は2006年5月に刊行予定。なお本作のヒーロー、レイフ・シンクレアは作者がハーレクイン・ヒストリカルで執筆した作品に登場するシンクレア三兄弟の末裔。

解説

 エリザベスは平凡な毎日に満足していた。CIA局員だった当時のスリリングな日々に未練はない。あのころが刺激に満ちていたのは、ひとえにレイフがいたからだ。公私にわたるパートナーとして熱く危険な日々をともに駆け抜けたにもかかわらず、六年前、彼は一言もなく姿を消した。以来、甘い愛撫やささやきを忘れようと何度も試みたのだ。なのに、今ごろ……。突如現れたレイフを、彼女は呆然と見つめた。過去など忘れたかのようにふるまう彼を前にして、エリザベスは誓った――報復という名のゲームを始めることを。
 ★RITA賞を二度も受賞し、リンダ・ハワードもその実力を讃えるゲイル・ウィルソン。★

抄録

 エリザベスはレイフを“傲慢《ごうまん》な人”と呼んだ。もし彼の言うとおりなら、それこそ傲慢な証拠ではないか。
「きみに正しい判断ができるとは思えないな」
 初めてレイフの声にからかうような響きがあらわれた。エリザベスはその先を待った。だが、彼はそれ以上言うつもりはないようだった。
「わたしならそんな判断を下さないわ。試してもみないで。わたしにチャンスを与えもしないで」
「エリザベス――」
「どんなふうだったか覚えている?」
「きみが想像できるよりもはっきりとね」
「そうかしら。わたしの想像力はすごいのよ。でも想像力を働かせる必要がないくらいに、記憶力はもっとすごいの。あなたがいなくなってから、思いだす夜が何度あったことか」
 いったいわたしはどうなってしまったの?沈黙のなかで、エリザベスは思った。どうしてそのままにしておけないの?どうして彼につっかかるの?レイフは自分の望みをはっきりさせたわ――拒絶を和らげる言い方をしたけれど。
「警告したはずだ」レイフが沈黙を破った。
 その言葉はこれまでの会話の流れに合わなかった。エリザベスが意味を理解する前に、レイフの指に力が加わって彼女を引き寄せた。
 エリザベスの家のベッドルームのときと同じように、レイフの唇が近づいてきた。闇のなかでも、彼が目を閉じているのがわかる。
 しっかりと重ねられた唇は温かく、昔と同じく、自信たっぷりで我が物顔に動いた。彼の舌が唇を這《は》ったとき、エリザベスは口を開いて受け入れた。拒絶のそぶりさえ見せなかった。
 ワインの飲みすぎかしら?彼女は思った。それとも、こういうことがなくなって久しいから?レイフのいない日々が長いから?
 もちろん、ほかの男性とキスをしたことはあった。最後にレイフとキスをしたあとで、何度か。だが、レイフとのキスは特別だった。なつかしい自分の家に帰ったような、たまらなくすばらしい感覚だった。
 これを求めていたんだわ……。エリザベスはしっかりと抱きしめてくるレイフの腕のなかで思った。彼の厚い胸に押されて胸のふくらみがうずく。抱擁の激しさは、六年前に何があろうともレイフが彼女と同じくらいに飢えていることを示していた。
 彼の舌は巧みに動いた。昔と何ひとつ変わっていない。愛撫《あいぶ》に関するかぎり、変わったものはひとつもない。
 レイフが右手を彼女の腰から離して前にまわし、胸のふくらみの下にあてた。そうしながら唇を喉元に這わせる。
 エリザベスはレイフをうながすように頭をのけぞらせた。彼の舌が胸の谷間に滑り下りた。
 シャワーのときに髭《ひげ》を剃《そ》る時間はなかったらしい。二日分の不精髭が乳房にあたる感覚はこのうえなく官能的に感じられた。一晩愛し合い、目覚めてはまた愛し合った昔を思いださせる感触だった。飽くことなく与え合い奪い合った記憶がよみがえる。
 レイフがエリザベスのシャツのボタンに指をかけ、ひとつずつ巧みに外しはじめた。そうしながら顔を上げ、彼女の目をのぞき込む。それから突然、にっこりと微笑《ほほえ》んだ。唇の片端をゆがめるなつかしい微笑み。その瞬間、六年の空白の歳月が溶けて流れた。
 友人にして恋人。両方の意味で最高のパートナー。
 彼の手がブラジャーの下に滑り込んで、胸のふくらみを束縛から解き放した。肌に感じる指と┬たこ┴のできたてのひらの感触。荒々しくて男らしく、これが男性の手なのだと思わせる、すばらしい感触だ。
 レイフが頭をさげた。唇で胸の蕾《つぼみ》を含み、舌で潤す。それから唇を離し、濡《ぬ》れた先端に誘うように息を吹きかけた。
 溶解した金属のような熱いものがエリザベスの血管を流れ、膝をがくがくと震わせた。体の奥深くを、久しく忘れていたうずきがつき上げはじめた。
 エリザベスは両手の指をいっぱいに広げてレイフの髪をゆっくりと撫《な》でた。愛撫、祝福、喜び――どうとでも表現できる仕草だ。
 突然、レイフが硬くなった胸の蕾を口に含み、舌で先端をくすぐった。エリザベスは彼の髪をしっかりとつかみ、手のなかの現実にしがみついた。
 これは現実なのよ。やがては目覚めて、孤独とむなしさを噛《か》みしめなければならない夢とは違うの。
“最後までやりとおすつもりのないことを始めるな”
 やりとおすつもりよ!明日何が起こっても、わたしはこれを求めていたのよ。彼に肌の隅々までキスされることを。彼だけが知っている秘密の場所を力強い手で愛撫されることを。彼が欲しい。ずっとずっと欲しかった。
「レイフ」エリザベスはささやいた。
 返事はなかった。彼女は髪をつかむ手に力を入れてレイフの顔を上向かせた。胸の頂から唇が離れる。彼は大きく息を吸ってから顔を上げた。今度は微笑んでいなかった。目は上薬をかけたように欲望にかすみ、唇は開いて荒い息がはっきり聞きとれる。
「どうかしたかい?」
「どうもしないわ」エリザベスは片手で彼の後頭部を撫でた。「先を続ける前に二階に行ったほうがいいと思っただけ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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