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元帥皇帝に捧げられた花嫁

元帥皇帝に捧げられた花嫁


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫元帥皇帝に捧げられた花嫁
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 もっと淫らになっていい。乱れるあなたは美しい。

 ■王女の身代わりとしてリィクセン皇帝の花嫁となるように強要されたアレーシャ。悲壮な覚悟で対峙する彼女に新皇帝ヴァルラムは冷徹に命じる。「そこで服を脱げ。全てだ」処女を奪われ甘く乱されるも「捧げものの花嫁はいらない」とアレーシャを拒絶するヴァルラム。絶望するも彼に付きまとい真意を知ろうとするアレーシャに、彼の態度も変わってきて!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 「血で贖った王座なら、もっと身辺に気をつけたほうがいいですよ、皇帝陛下。内政も安定しないうちに、供もほとんど付けずに他国訪問とは正気の沙汰とは思えない」
 音も立てずに鞘から抜き取った剣を構え、アレーシャが口も開けないでいる間に、それをヴァルラムへと突きつける。
「いやっ!」
 身を挺して彼を庇おうとしたアレーシャを胸に抱きしめ、ヴァルラムもまた次の瞬間には腰に佩いた長剣を抜き、男の剣を弾き返していた。
「どういうつもりだ?」
 背筋が凍りそうな冴え冴えとした声に、男は笑い含みの答えを返す。
「もちろん剣の手あわせです。類まれなる剣の使い手とも讃えられる黒元帥と、ぜひ一戦交えてみたくて……しかし女性もいる場では無粋でしたね。この続きはいずれ……必ずまた」
 最後だけ妙に力を入れて語り、男は射るような目でアレーシャを一瞬見つめてから、二人の前で踵を返した。
 大股で歩き去っていく姿を見やりながら、ヴァルラムがアレーシャを抱きしめる腕に力を込めていっそう彼のほうへ引き寄せる。
「今のは不敬罪で王立軍から除名してもおかしくないほどの態度じゃないのか、王女殿下?」
 わざとそう呼びかけられたと承知しながらも、ヴァルラムにそういう呼称で呼ばれることは辛い。抱きしめてくれる腕に頬を埋め、アレーシャは力なく頭を振った。
「そういう権限は私にはありません」
 俯いた頭に、何かが押し当てられた感触がする。
「あなたはそう言うが、あなたさえその気になれば、その立場に見あう力を行使することは可能だ。実際今、その立場にあるのだから」
 励ますようにかけられる言葉が、耳のすぐ上で響いていることで、頭に押し当てられたのはヴァルラムの頬だとわかった。頭に直接響くかのように声が近いことからも、誰にも聞こえないように小声で囁きかけてくれているのだとわかる。
 口から飛び出してきそうに心臓が暴れるアレーシャは、必死にそれを落ち着かせ、小さく頭を振った。
「ですが……」
「案ずる必要はない。そうやって少しずつ皇帝らしさを示そうと努力している最中の人間が言うのだから間違いない」
「あ……」
 アレーシャの目から見れば、生まれついての皇帝であるかのように堂々としているヴァルラムも、それにふさわしくあろうと努力中なのかと、目の覚めるような思いがした。
 顔を上げてみると、色つき硝子のように美しい瞳が、まるで勇気づけるかのようにアレーシャを間近から見つめている。
「堂々と胸を張っていればいい。あなたは間違いなくこの国の王女だ。俺は以前からそう言っているだろう」
 誰にも言ってもらえないその言葉を、どうしてこの国の人間ではない彼だけが与えてくれるのか。胸に熱いものがこみ上げてきながら、アレーシャはしっかりと頷いた。
「はい」
 ふいに、間近にあったヴァルラムの顔が更に近くなる。
 (……え?)
 まさかこのようなところで口づけられるのだろうかと硬直したアレーシャの唇ではなく肩へ、ヴァルラムは顔を伏せた。
「少し無理をし過ぎた」
「え?」
 何の話をされているのかと瞳を瞬かせたアレーシャは、ヴァルラムの背中に廻していた自分の手に何気なく目をやり、血の気が引く思いがした。
「ヴァルラム様?」
 なぜかてのひらが血に濡れている。いったい何があったのかと彼の背中を確かめようとするアレーシャを、ヴァルラムは強く抱きしめ直すことで動きを封じる。
「騒ぐな。古傷が少し開いただけだ。あなたは何も気にしなくていい。このまま部屋に帰る。いいな」
「……はい」
 シャツに血が染み出た部分を目立たないようにするためだろうか、アレーシャを近くに引き寄せたままヴァルラムは歩き始めた。しかし実際、彼の体温が少し高いようにアレーシャは感じる。
「大丈夫ですか?」
「もちろんだ」
 どれほど言葉で確かめても、彼は決して実はもともと体調が悪かったなどとは打ち明けないだろう。それならばアレーシャは今何をするべきか自分で判断して、よいと思うように行動したほうがいい。
 (よし……!)
 木造の優美な建物の中に入り、三階までの階段を上がり、ヴァルラムに与えられた三部屋のうちの中央の部屋へ入った。
 扉を背後で閉めた後も、ヴァルラムがアレーシャを抱きしめる腕を解かないところをみると、それには縋るような意味あいもあるのかもしれない。
 奥にあるベッドまでそのまま進み、うつ伏せで転がったヴァルラムの背中の傷を確認したアレーシャは言葉を失った。
「…………!」
 大小さまざまな大きさと形の傷で、広い背中が全て埋め尽くされているかのようだった。それは背中に限ったことではなく、腕にも脇腹にも、肌を晒したことで確認できる場所にはどこにも無数の傷がある。
「驚かせてしまったか? だからあなたの前で服を脱ぐつもりはなかったのだが……」
「あ……」
 身体を繋いだ時も、ヴァルラムが服を脱ごうとしなかったのにはそういう意味あいもあったのかとアレーシャははっとした。
「どれも古い傷だ。気にしなくていい」
「ですが……」
 その中でも比較的新しいと思われるものから、血が滲み出ている。清潔な布でそれを押さえながら、何か血止めに使えそうなものはないかと部屋を見渡した。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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