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不埒な貴族と籠の小鳥

不埒な貴族と籠の小鳥


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

 世間知らずの小鳥は、堕天使の翼に守られる――人気作家C・モーティマーが贈る、可憐なリージェンシー!

 公爵未亡人のジュヌヴィエーヴは、社交界にデビューしたばかりの少女のように胸をときめかせて舞踏会を楽しんでいた。18歳のとき、老公爵に売られるように結婚して以来、おぞましい生活を強いられてきたが、その夫が亡くなりようやく自由になれたのだ。紳士から慣れない賞讃を浴び、彼女が舞い上がっていると、ふいに冷ややかな声に制された。数多くの浮き名を流し、社交界の堕天使と呼ばれるベネディクト卿。彼はその紳士がジュヌヴィエーヴの目を盗んで薬を盛ろうとしていたことを暴露すると、辛辣に彼女の不注意を非難した。

 ■ハーレクイン・ロマンスでおなじみの人気作家キャロル・モーティマー、待望のヒストリカル長編が登場! ヒロインは、18歳で家族のために老公爵との結婚を強いられたジュヌヴィエーヴ。つらい結婚生活ののちに未亡人となった彼女は、ロンドンで暮らし始め、まるでデビューしたての娘のように華やかな社交界に胸をときめかせます。そこで社交界の“堕天使”の異名を持つベネディクトに目をつけられて……。ジュヌヴィエーヴを“経験豊富な未亡人”と思い込んで近づいたベネディクトが、ジュヌヴィエーヴの純真さや警戒心のなさにうろたえる姿が見物。笑いあり、涙あり、刺激的なラブシーンあり、の著者渾身の一作です。関連作『悪魔公爵と一輪のすみれ』と合わせて、華麗なリージェンシーの世界にどうぞ。

抄録

 ベネディクトはかれこれ一時間以上、ジュヌヴィエーヴのおしゃべりを聞かされつづけていた。金の間で出迎えられた瞬間から、ふたりで馬車に乗り、ボートでテムズ川を渡ってヴォクソール・ガーデンへ向かうあいだじゅう、ずっとこんな調子だった。まさか彼女から、これほど無意味な内容の話を聞かされるとは思ってもみなかった。実際、ジュヌヴィエーヴと一緒にいて、どうなるのかまったく想像がつかなかったからこそ、今夜の約束に期待が高まっていたのだ。ところが蓋を開けてみれば、ふたりきりになったとたんに、彼女がこんなふうにしゃべりはじめたせいで、たちまちベネディクトの期待はしぼんだ。
「ジュヌヴィエーヴ……」
「あなたには本当に感謝しているわ――」
「ジュヌヴィエーヴ」
「おかげで、こんなにたくさんの洗練された紳士からもてはやされて――」
「ジュヌヴィエーヴ!」
 おしゃべりがやみ、月明かりの中、彼女は顔の上半分につけた金色の仮面の目の部分に空いたふたつの穴からベネディクトを見あげた。肩からイブニングコートをはおっているため、どんなドレスを着ているのかはわからない。「わたしはただ――」
「わかっている。“ただ”この一時間、ひっきりなしにしゃべっていただけだ。ぼくがひと言も口をはさむ隙がないほど」ベネディクトは焦れったさをこらえて言った。「なぜそんなことをするのかを知りたい」
 ジュヌヴィエーヴは目をぱちくりさせた。「今日、訪ねてきた紳士たちのことを聞いたら、あなたがおもしろがると思ったから……」
「嘘だ。きみはそんなふうには思っていない」それどころか、彼女に魅了された男がおおぜい押しかけた話を聞けば聞くほど、ベネディクトはおもしろくなかった。「ほかに何があったんだ? でなければ、きみがそんなふうに頭がからっぽの女みたいになるはずがない」鋭い口調で問いつめる。
 まったくそのとおりだという自覚がなければ、ジュヌヴィエーヴはそんな言い方をされて腹を立てていただろう。実際、彼女は自分が最も軽蔑する頭がからっぽの貴婦人たちのようにしゃべっていたのだ。それというのも、午後にウィリアム・フォスターが訪ねてきたショックから完全に立ち直っていないせいだった。正確には、彼に脅迫されたショックから。
 そのために、今夜は当初の予定どおりベネディクトとヴォクソール・ガーデンへ出かけたものの、ジュヌヴィエーヴは内心震えが止まらなかった。
 最初こそ、ベネディクトにお詫びの手紙を送って、ウィリアムに言われた――命じられた――とおりにしようと思ったが、すぐに考え直した。このままウィリアム・フォスターのような憎むべき男に虐げられつづけるのはまっぴらだった。ふたりとも仮面をつけるという約束もジュヌヴィエーヴの背中を押した。それなら、ヴォクソール・ガーデンにいたのが自分たちだったかどうか、誰もはっきりとは断言できまい。
 何よりも、ウィリアムをますます怒らせる結果になろうとも、ベネディクトとともに過ごす時間を失いたくなかった。
 だが、ロンドンじゅうの女性が憧れる紳士と、ヴォクソール・ガーデンのような華やかな場所で一緒に夜を過ごせるというのに、その楽しみがウィリアムのせいで半減したことは言うまでもない。何しろ、言うとおりにしなければ危害を加えると脅されているのだ。それゆえ、自分がベネディクトとふたりきりだと意識したとたん、無意味なことをしゃべらずにはいられなかった。
 月明かりに照らされたベネディクトは、息をのむほどハンサムだった。いつもの黒服と真っ白なシャツの上に優雅にはおった黒の外套と、シルクハットの下で顔の上半分を隠している簡素な黒い仮面のおかげで、ふだんにも増して危険で謎めいた雰囲気を漂わせている。
 ジュヌヴィエーヴは無理にほほえんだ。「どうしてそんなふうに思うの? 何かがあっただなんて」
「この二日間で、おそらく少しはきみのことがわかったからだ」仮面の下で彼の口は引き結ばれている。「そして、ぼくの知っているジュヌヴィエーヴは話好きだが、無意味なおしゃべりはしない」
「話好きというのはお世辞だとしても――」
「お世辞ではない、ジュヌヴィエーヴ。れっきとした事実だ」ベネディクトはきっぱりと言いきった。
 彼女は黒くきらめく視線から思わず目をそらした。「あなたは事実を重視するタイプなのね?」
「いつでも」
 断固とした口調に、ジュヌヴィエーヴはわずかに身震いする。その口調は、事実を隠しとおす相手に対してベネディクトがけっして容赦しないということを物語っていた。「せっかくボートに乗っているんだから、楽しむだけじゃだめなの? 月明かりに照らされて、何もかもこんなにロマンチックなんですもの――」ふたたび始まったジュヌヴィエーヴの神経質なおしゃべりは、ふいに遮られた。ベネディクト――ルシファー――が彼女の唇に自分の口を押し当てたのだ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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