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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

さまよえる令嬢

さまよえる令嬢


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 あのリンダ・ハワードをして“絶妙な会話のセンスといい、個性豊かな人物設定といい、読者をストーリーに引き込むすべを心得ている”と絶賛せしめた実力派。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともにアラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』は元CIAエージェントのヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。次作は2006年6月に刊行予定。

解説

 晩餐会の帰り、暴漢に襲われたケリーを救ったのは、ジョン・エドモンズと名乗るタキシード姿の紳士だった。誠実な態度と熱いまなざしに、彼女は直感した。彼こそ運命の男性――私がずっと待っていた騎士(ナイト)。夢のような時間を過ごしたものの、やがてケリーは非情な現実を知る。兄の不審な死の調査のため〈フェニックス結社〉を訪れたところ、ジョンが結社の腕利きエージェントであり、任務でケリーを監視していたとわかったのだ。甘い言葉も燃えるような口づけもすべて偽り……。怒りと涙が込み上げ、彼女は絶句した。
 ★リンダ・ハワードもその実力を讃えるゲイル・ウィルソン。本作では、派手なプレイボーイだった兄の遺産をめぐり、おとなしいヒロインが数々の陰謀に巻き込まれます。★

抄録

 ケリーの唇の感触はジョンの期待を裏切らなかった。それは柔らかく、温かく、敏感だった。彼が舌を突きだすと、彼女はすんなりと迎え入れた。
 くちづけにためらいはなかった。二人はたがいに唇を開き、飢えを満たすかのように濃厚なキスをした。自分はこの状況を悪用しているだけではないのか――そんな後ろめたい思いも、ケリーを抱きしめると同時にジョンの頭から消えていった。
 そもそも彼女は、見ず知らずの男を自宅まで連れてくるような女性ではないとジョンは思った。ドレスを脱いでベッドに入りたいと言って、顔を赤らめたケリーのようすが脳裏に焼きついている。
 いや、もしかすると、あれは演技だったのだろうか。そうだとすれば、彼女は完璧《かんぺき》な演技力の持ち主ということになる。
 ある種の女性は、土壇場まで純真無垢《むく》を装いたがるものだ。それは自己防衛の手段であり、ジョンとしても批判する気はなかった。しかし、そういう女性たちは、いざとなると……。
 ケリーが姿勢を変え、ジョンにぴったりと体を押しつけた。彼は手をケリーのウエストにまわし、なめらかなシルクの感触をてのひらで味わった。おそらく彼女はかたちばかりのためらいを見せるだろう、とジョンは思った。躊躇《ちゅうちょ》するようなそぶりを見せてから、さらに先に進むのだろう、と。しかし、彼女はためらわなかった。
 彼女が携帯電話を取るために身をかがめたときに、いやおうなく目に飛び込んできた、まろやかなヒップラインに指を走らせたときも、ケリーは抵抗しなかった。
 ジョンはさらに大胆になった。もういっぽうの手を下に移動させ、両手でケリーのヒップを包み込み、興奮のあかしの上に抱え上げた。
 驚いたのか、喜んでいるのか、ケリーの唇から吐息がもれた。どちらなのかと考える暇もなく、彼女の指が蝶《ちょう》ネクタイにかかった。キスを続けながらもネクタイをゆるめ、シャツの襟から取り去る。
 彼女はネクタイを背後に放《ほう》りだして、その手をシャツのボタンに向けた。ボタンがつぎつぎに布地からちぎれ飛んで、カウンターと床に落ちる。
 邪魔なボタンがなくなると、ケリーはシャツの内側に両手を差し入れ、Tシャツをつかんで引き上げようとした。だが、裾《すそ》がスラックスにたくしこまれ、思うように出てこないことがわかると、彼女はくちづけを中断した。上体をのけぞらせ、ジョンの顔を見上げる。ケリーの瞳はどこかうつろだった。
 欲望のせいだろうか? 単なるシャンパンの飲みすぎか? ジョンはいぶかった。いや、あれだけのイベントのあとだから、疲労のせいかもしれない。
「なんてことなの」ケリーは両手をジョンの胸板に当て、彼を押しのけようとした。
 彼女の気分が変わった理由が理解できず、ジョンは腕を外さなかった。このまま進めば二人は生まれたままの姿となり、ベッドをともにしていたはずだ。
 ジョンは彼女の腰を抱えたまま、カウンターから立ち上がった。それから、ケリーの体をゆっくりと床に下ろす。
「寝室に行こうか?」彼は言った。
 ケリーの瞳に何かがひらめいた。だが、それがなんなのかを確かめずに、ジョンは上体を傾けてキスをした。蝶のはばたきのようなやさしいキスだった。まず彼女の唇の端にそっとふれる。つぎに反対の端に。それから唇の真ん中に。
 唇がふれ合い、離れる。そしてまたふれ合う。ジョンが顔を上げようとすると、彼女の唇が追いかけてきた。彼の唇を失うまいと、ケリーは爪先で立って背伸びしている。
 勇気づけられたジョンは身をかがめ、いっぽうの腕をケリーの両ひざの裏側に、もういっぽうを背中にまわした。子供のように華奢《きゃしゃ》なケリーの体は、やすやすと持ち上がった。
 ジョンは豪奢なバスルームを出ようと、彼女を抱きかかえたまま体の向きを変えた。その瞬間、彼女の赤いドレスと彼の黒いタキシードが対比をなして、たくさんの鏡に鮮やかに映しだされた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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