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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

奪われた福音書

奪われた福音書


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリエット・ランドン(Juliet Landon)
 イギリス北部の古代の面影を残す村に、引退した科学者の夫とともに住む。美術や歴史に対する興味が旺盛で、豊かな想像力が生きると思い、ヒストリカルの小説を書き始めた。作品を執筆するために調べ物をするのはとても楽しいと語り、特に中世初期がお気に入りの時代だという。刺繍について豊富な知識と技術を身につけ、その腕前はプロとして講師を務めるほど。

解説

 ノルマンの王に土地を取り上げられ、意にそまぬ結婚を強いられたローズ。すべてを失った彼女に残されたのは美しく貴重な福音書だけだった。一度はイングランドの地から奪われ、亡き父が苦労の末に捜し出したその書は、ノルマン人の夫に抱かれながら、なお冷たく心を閉ざす彼女にとって、わが身より大切なものだった。これだけは渡せない! ローズは自分の運命を呪いつつ、夫への復讐を誓うのだった。
 ★時は11世紀、ノルマン・コンケストの嵐が吹き荒れるイングランドのヨーク地方が舞台です。女地主ローズは、ノルマン人の騎士ジュードに土地ごと売られてしまいます。復讐に燃える彼女が選んだ道とは……? ロマンティック・タイムズ誌で好評を博した作品です。★

抄録

 ローズは目を開き、ジュードを押したり、体をねじったりして息が切れた。それでもジュードが手を放そうとしないので、じっと待つほかしかたがなく、ジュードの目つきから彼はまだ自分に対してしたいことをすませていないのだと悟った。ジュードの傲慢《ごうまん》さは腹立たしくもあり、恐ろしくもあったが、その一方で彼の感触はじわじわと浸《し》みこんでローズをとりこにし、彼を受け入れる気持ちを育てた。ローズは目を閉じながら、あらためて自分がジュードに支配されていることを意識した。次にジュードの唇が触れたとき、男のキスについてローズが知っているつもりだったことは消え果てた。まるで、よどんだ水しか知らなかったあとで上等のワインを味わったときのように。
 しかし、午後の恐ろしいできごとのあとでは、そのキスは甘すぎて長くは耐えられなかった。あまりに感情が高まって息をつきたくなり、ローズはしわがれた苦痛の声を洩《も》らして口をむりやりに離した。「放して、お願い……帰ってください。ひとりにして! ひとりにしてったら!」
 ジュードはすぐに手を放したが、ローズがくずおれる前に今度はひじをつかんだ。彼女の腕が怒りで震えているのを感じて、なじられるのに身構えた。
「いったいあなたは何者ですか? あなたは相手がノルマンの女性でも、こんなに勝手気ままに侮辱するんですか?」
「ジュダール・ド・ブリオンヌだ」ジュードはローズのヘッドドレスを整えながら言った。「リッチモンドのアラン伯の家臣で、伯爵とともに王に随行してきた。ぼくがノルマンの女性にどう接するかをきみが知っても役に立つとは思わない。それよりも、ノルマン人の中にもそういうことに巧みな者もいるし、それほどでない者もいるときみがわかることのほうが意味がある。今のところ、きみはド・レッセーに売られているかもしれないが、この処分はあらためられる必要がある」
「こんな話をしているなんて、わたしには信じられません」ローズはぎらぎらする大きな目でジュードを脅そうとした。「あなたは、わたしが、あんな粗野な男と結婚する一方であなたを愛人として受け入れるように望むと言っているんですか? そういうことですか?」
 ジュードは片手を壁についてローズに顔を寄せた。あまりに近づいたために、ローズには自分の目にくいいるようなジュードの目しか見えなかった。その目は、ローズが見せようとしたよりもはるかに多くのものを読み取っていた。
「いや、そうじゃない。ぼくは、きみをぼくのものにすると言っているんだ、できるかぎりはっきりした言い方で。わかったか? ぼくのものにだ」
「じゃあ、やはり所有物なんですね。あなたはものを見て、それをほしいと思い、それを手に入れる方法を知った。あなたにとってはそれほどの努力はいらなかったでしょうね? そして今、あなたがしなくてはならないのは、より多くのお金を王に差しだすことだけですね。もちろん、王はそれを拒みはしないでしょう。そうなれば、あなたはアラン伯から預かっているものにわたしの地所を加えられる。見事なやり方です。でも、わたしの協力が得られると思ったら大間違いです。そうはいきませんから」
 ジュードの鼻はほとんどローズの鼻に触れそうだった。ローズの心をのぞけるほど近くにいた。「ぼくにはきみの協力はいらない。そのことをぼくはもう実際に示したと思うがね。それに、きみの抵抗は、本心にしては少々けたたましすぎると思う。ぼくがどういうことを言っているのか、実際に見せてもらいたいか?」
「いいえ」声がかすれた。「いいえ……やめてください。あなたにはわからないんです……」
「そうだ、ぼくにはわかっていなくて、これから知るつもりのことがたくさんある。しかし、きみはこれは知っておくほうがいい……きみは負け側にいるということだ。どなったり、叩いたり、純潔を守ったりしてもどうにもならない。ぼくは手に入れようと決めたものは手に入れる。これからきみを家に入れ、あした戻ってきて、きみを王のところに連れていく。王はきみが証人の前で立場をはっきりさせるように望むと思う。しかし、ぼくはそれまでに王に話をしておく」
「あなたはすごく自信があるんですね、サー。もし、王が受け入れなかった場合はどうなるんですか?」
 ジュードはにっこり笑い、壁を押して体を離した。「きみはこれからぼくの名前を呼んでいい。ぼくはジュードという呼び名で知られている」
「わたしはロード・ガマルの娘と呼ばれています」ローズはぴしりと言い返した。「わたしは自分で自分の計画を立てられます。イングランドの女性はノルマンの女性ほど人の言いなりにはなりません」
「いずれ、わかるだろう。さあ、きみの広間を見せてくれ」ジュードはまだ笑いながら言うと、たくましい手でローズの手を取り、外に連れだした。ローズは、ジュードに逆らっても無意味だと悟った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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