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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

幻を愛した夜

幻を愛した夜


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 あのリンダ・ハワードをして“絶妙な会話のセンスといい、個性豊かな人物設定といい、読者をストーリーに引き込むすべを心得ている”と絶賛せしめた実力派。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともにアラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』は元CIAエージェントのヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。

解説

 きらびやかなパーティの席で、レインはとまどっていた。ドレスは借り物だし、そもそも華やかな場には慣れていない。だが人の悪意を感じとる特殊な能力を持つせいで、この潜入捜査に駆りだされたのだ。付き添い役のエージェント、イーサンがこちらを見ている。初めてイーサンに会ったときから運命を感じたものの、現実主義の彼は、レインをまやかしだと思っているらしい。現に今、美しい銀色の瞳には不信と侮蔑が浮かんでいる。わたしを疑っているのね……。いたたまれずに場を離れた直後、何者かの強烈な悪意に襲われ、レインは不意に気を失った。
 ★リンダ・ハワードもその実力を讃えるゲイル・ウィルソン。ベスト作品賞受賞の人気ミニシリーズ『孤高の鷲』続編では、天涯孤独のヒロインがけなげに生きる姿を細やかに描きます。★

抄録

 イーサンは口づけをしながら、レインが着ているローブのベルトの結び目を手ぎわよくほどいた。ローブの前がはだけられ、彼女の裸身を目にしたイーサンがはっと息をのむ。
 レインのくびれたウエストにイーサンが両手を置いた。てのひらにできた小さなたこの感触が、彼女の官能を刺激する。突然、イーサンはたまりかねたように彼女を胸に抱きしめた。レインはイーサンの欲望のあかしが腹部を圧迫するのを感じた。
 イーサンはレインのまろやかなヒップを両手でとらえてぐいと引きあげ、彼女の下腹部に高ぶりを押しつけた。それは口づけよりもはるかに性急な行為だった。
 レインは彼のうなじに両腕をまわし、爪先立ちになって濃厚なキスをした。その瞬間、窓の外の張りだしから足を踏みはずして宙づりになった恐怖がまざまざとよみがえり、思わず身をこわばらせた。
 彼女の緊張を感じとったらしく、イーサンは重ねていた唇を離した。レインが閉じていたまぶたをあけると、彼がもの問いたげな目をしてこちらを見ていた。
「なんでもないわ」レインは背のびして、彼とまた唇を重ねようとした。
 彼のたくましい体のぬくもりにふれていないと、エアコンのきいた室内の空気が肌寒く感じられる。だがイーサンは、ふたたび身を寄せようとしたレインの肩を両手で押しとどめた。
「命を救われた礼のつもりなら……」
「わたしは体で借りを返すような女じゃないわ」
「ぼくはそういう意味で言ったんじゃない。今夜のような経験をしたあとだから――」
「あなたの胸に飛びこんで、狂おしく情熱的な愛を交わしたいと思うのは自然なこと?」
 イーサンは彼女の真意をはかりかねているようだった。
「きみは本気でそうしたいのかい?」
「そのつもりだったけれど、うまくいかなかったみたいね」
「どうして?」
「あなたが頑固だからよ。でなければ、お高くとまっているんだわ」
「ぼくがききたかったのは、きみがこんなまねをした理由だ」
「わたしはただ、あなたに抱かれたかっただけよ」レインは子供をさとすような口調で言った。
「ぼくのことをよく知らないのに?」
 レインは口元をほころばせた。わたしは彼をよく知っている。当の本人がショックを受けるくらいに。
「ふたりが結ばれるのは避けられないことだわ。あなただって、そのことにうすうす気づいていたんじゃない?」
 しばらくの沈黙のあと、イーサンは正直に答えた。「ふたりのあいだに何かが起こりつつあることには気づいていた」
「ミスター・スノウは、ちゃんとした手順を踏んでからでないと、女性と親密な関係になれないの?」
「いつもはそうじゃない」
「だったらどうして?わかったわ」レインはイーサンがしりごみしている理由に気づいた。
 レインがかつて親密な関係を築いた男性たちは、今のイーサンほど彼女のことをよく知らなかった。といっても、レインは男性経験が豊かなほうではない。相手の下心や本音がわかってしまうせいか、男性との関係がなかなか進展しないのだ。
「あなた、不安なのね?わたしに心を読まれるんじゃないかって」
「きみはぼくの心を読むつもりかい?」
「あなたが望まなければ、そんなことはしないわ。でも……相手の考えがわかると、いいこともあるのよ」
 イーサンがもの問いたげに首をかしげたが、さっきまでのためらいは消えつつあった。彼もまた、ふたりが親密な関係になることを予期していたのだ。
 レインは前に進みでて、イーサンがはいているスラックスの前のボタンをはずしてファスナーをおろした。それでも黒いサスペンダーをしているので、スラックスがずり落ちることはなかった。
 彼女がシャツの裾《すそ》を引きだし、飾りボタンをはずしはじめても、イーサンは何もきかず、されるがままになっていた。
 レインは最後のボタンに手をのばして視線をあげた。廊下が暗いせいか、彼女のほうに向けられたグレーの瞳がやけに黒く見える。
 ほんの一瞬、彼女の脳裏を恐怖がかすめた。わたしは今夜、まがまがしいほど黒い瞳に吸いこまれそうになった。その瞳は、わたしにつきまとって離れない池の幻のように冷たく、黒々としていた。
 レインは脳裏をよぎった記憶の断片をつなぎとめようとしたが、だめだった。
 わたしはこれからすばらしい思い出を作るのだ。骨まで凍りつく恐怖に満ちた記憶をたぐり寄せるのはよそう。レインはすべてを忘れ、イーサンと過ごす時間に意識を集中しようとした。
 レインは最後の飾りボタンをはずしてシャツの胸をはだけ、イーサンの肩をあらわにした。彼はシャツの下にタンクトップを着ていた。腰から上は細身の優美な体型なのに、肩と腕は筋骨隆々としている。
 今夜、わたしが命拾いをしたのは、彼が持てる力のすべてをそそいでくれたおかげなのだ。
 レインは日焼けした肌に唇を押しあてながらシャツを脱がせ、模様入りの絨毯《じゅうたん》の上に落とした。
 イーサンは後ろへさがり、タンクトップを手早く脱いで丸めると、リビングに置いてあるソファの上に放《ほう》った。
 彼がふたたび前に進みでて、レインを胸に抱きしめた。イーサンの固い胸板に、彼女のやわらかな胸が押しつけられる。イーサンがレインのまろやかなヒップをとらえてぐいと引きあげると、欲望のあかしが彼女の下腹部に当たった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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