マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・スペシャル・エディション

そっと愛して

そっと愛して


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・スペシャル・エディション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 シェリル・ウッズ(Sherryl Woods)
 シルエット・スペシャル・エディションを代表する作家。オハイオ大学でジャーナリズムの学位を取ったあと、新聞社に勤め、政治からエンターテイメントにいたるさまざまな記事を担当する。このキャリアのおかげで人間への洞察力が身につき、作家活動に役立っていると言う。1982年のデビュー以来、七十作以上の作品を発表し、多くの読者を魅了し続けている。

解説

 アシュリーは心底疲れきっていた。仕事で大きなミスを犯し、オフィスにいることさえ辛くなったのだ。祖母の遺したコテージで、しばらく休養することにしたものの、妹たちが勧めるように恋を見つけるつもりはない。仕事が生きがいだったから、恋なんてしたことがないもの……。ぼんやりと日々を過ごすアシュリーは、ある日不注意からジョッシュと名乗る男性の車と軽い接触事故を起こす。偶然が重なり、思いがけない出会いが続くうちに、アシュリーは自分のペースで生きる彼に深い安らぎを覚え始める。だがひょんなことからジョッシュの正体を知ると、アシュリーはふたたび絶望のどん底に突き落とされた。
 ★ヒロインは長女のアシュリー。いつも気丈な彼女が恋に溺れてしまいますが……。★

抄録

「あなたの唇は、とても官能的だわ」アシュリーが笑みを浮かべる。「それとも、あなたのキスが信じられないくらい上手だから、そう見えるだけかしら」
 自尊心が満足したように揺れ動いた。「信じられないくらい?」
「声も出ないほど」
 ジョッシュは身をかがめると、彼女の唇をかすめるようにキスをした。「これはどうだい?」
「すてきよ。でも、続きがあるんでしょう?」アシュリーは彼のシャツをしっかりつかむと、下唇に舌を這《は》わせた。「こんなふうに」
「ああ」ジョッシュはうなずく。「こうだ」
 そう言うなり、アシュリーに唇を重ねた。彼女が口を開いてため息をもらした瞬間に舌を忍び込ませる。かすかにシナモンと砂糖の香りがした。シャツをつかんだままの彼女は、キスが終わるころには、うっとりとした表情を目に浮かべていた。
「声も出ないわ」アシュリーが息を切らしてつぶやく。「私の膝が崩れないうちに例のベッドを見つけないと」
 ジョッシュは笑った。「急ぐことはない。紅茶をいれた」
 彼女の目には欲望が燃え上がっていた。「紅茶は忘れて」
 ジョッシュはごくりと唾《つば》をのんだ。「忘れた」すぐに答え、彼女を抱き上げる。
「ほかの記憶は?寝室への行き方は覚えてる?」
「この家には寝室が四つある」冗談めかして言う。「頭が働いていないかもしれないが、そのうちのひとつにはたどり着けるだろう」
 言うまでもなくジョッシュは自分の寝室にたどり着き、昨日もまんじりともせず一夜を過ごしたにもかかわらず、ベッドカバーを直してあるのを見てほっとした。ベッドの横にアシュリーを下ろすと、夢でないことを確かめるために、思わず頬をつねりそうになった。ずっと彼女に夢中だったと言うつもりはない。そんなふうではなかった。少なくとも彼にとっては、高根の花だった少女に現実的な思いを寄せることなどできるはずもない。
 だが、彼女のことを思いめぐらせていた。いつでも笑い、いつでも町で人気の少年と楽しそうに戯れていたダンジェロ姉妹のことを。しかし、現実は想像をはるかに超えていた。この血の通った女性のおかげで、思いもよらなかったものを求めるようになった……家、家族、仕事に追われることのない将来。十代のころは夢にも思わなかった。それどころか、つい一週間前、ステファニーとの関係を先に進めるかどうか悩んでいたころでさえ。
 アシュリーの魅力は彼にとって尽きることがなかった。その昔、遠くから憧《あこが》れの目で見つめていた少女は堂々としていて頭がよく、とてもかなわないと思っていた。いまでもそれは変わらないが、彼女の傷つきやすい心がその壁をすっかり取り崩した。
 アシュリーの手がシャツに忍び込み、じかに胸に触れた。やがて少しずつ下がり始める。はっとわれに返ったジョッシュは、たちまち興奮の渦に巻き込まれた。欲望は爆発寸前だった。しかし、おそらく長年の忍耐力のおかげで、彼の愛撫《あいぶ》の手がせくことはなかった。
 どうやらアシュリーは急ぎたくてたまらないようだった。挑発するかのごとく、しきりに身動きしながらジョッシュの慎重な手を払いのけ、もどかしげに服を脱ぎ捨てる。そして、美しい体を鑑賞させる暇も与えずに彼をベッドに引っぱり込んだ。
 ジョッシュはやわらかな肌をゆっくりと撫《な》で、心ゆくまで味わいたかったものの、アシュリーの激しく燃え上がる炎を察して求めに応じた。彼女の両手を頭の上に押さえつけ、じっと目を見つめて情熱の炎を探す。それを見つけたのは、いっきに奥まで入ったときだった。どんな男も求めてやまない、あらゆる望み、欲望、情炎がそこにあった。
 アシュリーはたちまちのぼりつめ、ジョッシュの下で身を震わせたかと思うと、なめらかな脈打つ体で彼を包み込んだ。ジョッシュはその目にほほ笑みかけた。
「いまのは君のためだ」
 アシュリーはけだるく満ち足りた笑みを浮かべた。「次は?」
「次は、もう一度繰り返す」
「本当に?」
「今度はふたりのために」
 ジョッシュは彼女の体が静まるのを待った。その目にふたたび欲望の炎が燃え上がるまで待って動き出す。最初はゆっくりと、次第に心地よい興奮が込み上げ、やがて彼女がいま一度求めてきた。
「まだだ」ジョッシュはつぶやいた。「ゆっくり」
 気の強いアシュリーが、体をみずから離そうとしてもジョッシュは驚かなかったが、譲りはしなかった。彼女のなかに入ったまましっかりと押さえつけ、落ち着くまで筋肉ひとつ動かさなかった。少したつと、彼女の目は次なる愛撫への好奇心で満たされた。
 すっかり相手の注意を引きつけたことに満足したジョッシュは、ふたたび動き始めた。今度はかすかな喜びのあえぎ声に応《こた》え、少しずつ深く力強く分け入る。そのうちに、互いにもはやリズムをコントロールすることができなくなった。情熱と身を焦がすような欲望の虜《とりこ》となる。このままだと、どんどん熱くなる体を冷まさないかぎり、われを忘れるほど激しい愛撫をやわらげないかぎり、ふたりとも炎に包まれるだろう。
 ともに高く飛び立つためのきっかけがなんなのか、ジョッシュには見当もつかなかったが、それがまさかほほ笑みだとは思わなかった。アシュリーの口もとに、このうえなく満たされたモナ・リザの微笑が浮かんだ瞬間、彼はクライマックスに達した。アシュリーが追いかけるようにのぼりつめると、その笑みはいっそう広がった。
 ゆっくりと地上に舞い降りると、ジョッシュはアシュリーをやさしく胸に抱き、満ち足りた深い眠りに落ちた。愛しているとささやきたい衝動をかろうじてこらえながら。口を閉ざしたのは、そう考えた自分に驚いたからだった。その驚きと、すばらしいときを分かち合ったばかりだというのに込み上げる不安を、アシュリーは知る由もなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。