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オフィスでの恋物語

オフィスでの恋物語


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・リクエスト
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エマ・ダーシー(Emma Darcy)
 フランス語と英語の教師を経て、結婚後、コンピューター・プログラマーに転職。ものを作り出すことへの欲求は、油絵や陶芸、建築デザイン、自宅のインテリアを整えることに向けられた。人と接するのが好きで、人と人とのつながりに興味を持っていた彼女は、やがてロマンス小説の世界に楽しみを見いだし、登場人物それぞれに独自の性格を与えることに意欲を燃やすようになった。旅を楽しみ、その経験は作品の中に生かされている。現在はオーストラリアのニューサウスウェールズにあるカントリーハウスに住む。

 ダイアナ・ハミルトン(Diana Hamilton)
 イギリスの作家。ロマンチストで、一目で恋に落ち結ばれた夫との間に三人の子供をもうけた。就寝前の子供たちにベッドで読み聞かせるために物語を書きはじめる。ロマンス小説家としてのデビューは1987年、その後数多くの名作を世に送る。2009年5月、ファンや作家仲間に惜しまれつつ亡くなった。

解説

 ●『裏切りの花束』(エマ・ダーシー著)
 ケイトリンはデーヴィッドの仕事上のアシスタントであり、同時に恋人だった。しかし彼はまったく心を開こうとしない。バレンタインデーの朝、ケイトリンはついに別れを決意した。だが出社してみると、デスクに赤い薔薇が届いていた。デーヴィッドが私のために? ケイトリンの心に希望が芽生えた。しかし、彼は薔薇の花など贈っていないと言う。

 ●『秘書は天職』(ダイアナ・ハミルトン著)
 クレオは冷厳な独身貴族として有名な頭取ジュード・メスカルの個人秘書。ある日、クレオは過去の恋人に呼び出され、すぐに大金を出さなければゴシップ紙に二人の関係を売ると言われた。両親を亡くしたクレオをただ一人気にかけてくれた叔父が、先日心臓発作を起こしたばかりだ。ショックを与えるわけにはいかない。クレオは悩んだ末、ある行動に出た。

 ★“オフィスでの恋物語”――ただの秘書だけど、ひとりの女性としても見てほしい……。オフィスを舞台に燃える、熱い愛の物語です。★

抄録

「もっと長く二人で過ごしたいの」
「一緒に夜を過ごしたじゃないか。あと幾晩一緒にいればいいんだ?」デーヴィッドは冷たく言ってズボンに手を伸ばした。
 ケイトリンはこみあげる無力感と挫折感を必死で抑えこんだ。デーヴィッドは、夜といえばベッドをともにすることと考えている。私の気持を、まったくわかっていない。
「あなたと話したいの。真剣な話を」
「あと二時間もすれば、僕たちはオフィスで一緒になる。オフィスでの話では真剣さが足りないと言うのかい?」
「そういうことじゃないの」ケイトリンは彼が自分の気持を理解しようとしないことに傷ついていた。自分に勝ち目がないのはわかっている。でも、デーヴィッドのかたくなな態度に腹が立って、引きさがることができなかった。
「もっと多くのことを望んでいるのかい?」
「ええ」
「なにを?」
「一度でいいから、二人で一緒にいられる楽しい時間を、仕事よりも優先させてほしいの」
 反乱は実行に移された。言葉は発せられ、撤回はできない。もう、あとには引けないのだ。ケイトリンは、どんなに荒々しい波に襲われるかと待ち構えた。コバルトブルーの瞳には、注意深く抜け目のない表情が浮かんでいた。
 デーヴィッドは決して公私混同しない。これも彼のルールの一つだ。会社では、彼が上司で私は彼のアシスタント兼速記係だ。デーヴィッドが二人の仲を悟られるような言動をとることは絶対にない。二人のことは秘密事項だ。個人的な問題であり、決して明かされることはない。
 デーヴィッドは二つの顔を完全に切り離していた。それは彼にとってだけ都合のいいことだと、ケイトリンは思わずにいられなかった。デーヴィッドが働いているときは私も働く。彼が自由なときは私も自由。でも、仕事は仕事で、デーヴィッドはほかのなにものにもじゃまをさせない。絶対に!
「一日休んで一緒に過ごすくらい、なんでもないことでしょう」ケイトリンはさらに言った。
「そうすれば、ふだんはできないなにか特別なことができるとでも言うのかい?」
「なにも計画しないで、自然のなりゆきにまかせるの」ケイトリンは最後にもう一度、彼に理解してもらおうと試みた。「楽しそうでしょう」
「学生気分はとうの昔に卒業しているんだ」
 デーヴィッドは私を、“わがままな女子学生”に格下げした。
「今日のアポイントメントはキャンセルすればいいわ。私がうまく断るから」ケイトリンは懇願した。
「だめだ」
「ベッドに戻って、私を抱き締めてキスできるわ」
 デーヴィッドは見下すような表情を浮かべた。私の評価は、女子学生から子供にまで下がったようだ。
 デーヴィッドはシャツの裾をズボンにたくしこみ、ファスナーを上げて椅子に座った。そして無表情のまま靴下をはきはじめた。
「それは昨日の靴下でしょう」ケイトリンは珍しく辛辣な口調で言った。「家に帰って、替えなければならないわね」
「わかってるよ」デーヴィッドは声を荒らげた。
 ケイトリンはデーヴィッドに、泊まるときのために何日分かの着替えを置いておいたらどうかと提案したことがあった。そうすれば着替えるために帰宅せずにすむから、そのぶんゆっくり寝ていられる。一緒に朝食をとることもできる。
 だが、デーヴィッドの答えは短くそっけないものだった。僕の着替えを洗濯させて君に負担をかけるわけにはいかないというのだ。
 デーヴィッドは、私になんの負担もかけていない。合理的だからという理由で彼が妥協したのは、浴室に歯ブラシと髭そりのセットと櫛を置くことだけだった。ケイトリンは彼が暗に親密になるのを避けているように感じ、いい気分ではなかった。
 彼女は傷ついていた。
 自分が間に合わせの恋人のような気がした。
 デーヴィッドにとって、自分が特別な存在だと実感したい。これまで彼のそばにいたどんな女性よりも特別な存在だと。
「どうして私を自宅に呼んでくれないの?」自分が都合のいい女や避難場所ではなく、もっと重要な存在だと確認できるサインを、ケイトリンは彼から引き出そうとした。
「ここのほうが君にとって便利だろう。だれにも気兼ねなく、好きなようにできる」デーヴィッドは靴紐を結びながら、顔も上げずに言った。
 君のため――。なんてすばらしい口実かしら。要するに、私は彼の私生活から締め出されたままだ。デーヴィッドは、自分が経営するチャツウッドの会社からそう遠くない、レーン・コーヴに住んでいる。シドニー北部の郊外で、ケイトリンの住むウォールストーンクラフトよりも会社に近い。それなのに、二人が過ごすのは彼女のアパートメントに限られていた。
 この関係を終わらせようと思えば、デーヴィッドにとってはひどく都合のいい状況だ。そう気づいて、ケイトリンは恐ろしくなった。面倒なことはなにもない。彼がここを立ち去り、二度と戻らなければそれで私たちはおしまいなのだ。
 不安がふくれあがった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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