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マドンナの初恋

マドンナの初恋


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・スペンサー(Catherine Spencer)
 三十数年前にイギリスからカナダのバンクーバーに移り住む。英語の教師からロマンス作家に転身。カナダ人の男性と結婚し子供にも恵まれ、現在は孫もいる。あいた時間があれば、ピアノを弾いたり、アンティークショップをのぞいたり、庭の手入れをしたりしている。

解説

 あなたは誤解しているわ。本当の私を知ってほしいの。

 ■このクリスマスは心身ともにリフレッシュしたくて、クレールは、フランスからはるばるカナダのスキーリゾートを訪れた。パンフレットを見て魅了され、最適のところと思ったが、長旅は身にこたえた。一刻も早く休みたいのに、予約した部屋がふさがっているというトラブルに見舞われ、クレールはフロントでいらだちをあらわにしてしまう。そこに現れた経営者のザックのとりなしで一件落着したけれど、ザックに金持ちのわがまま女のレッテルを張られたのは明らかだ。彼は氷のようによそよそしい態度で接してくる。一方クレールは、長身で力強い彼に一目で魅せられていた。なんとかして本当の私を見てほしい。ところが、どう試みても裏目に出て、クレールは途方に暮れた。

抄録

 数分後、三人は外に出た。空には無数の星がまたたき、白い満月が凍った湖を銀色に照らしている。エリックが二人の手をつかみ、突然走りだした。強引に引っ張られた二人は、ロングスカートをくるぶしの周りにからませながら走った。足をずるずるすべらせながら小道を走り、ザックの家に通じる階段の下にたどり着くと、息を切らしながら笑った。
「ああ、クレール。あなたの服に雪をかけてしまったわ」メラニーがスカートの裾にこびりついた雪を払いながら言った。
「いいのよ、シェリー。でも、風邪をひかないうちに着替えたほうがいいわ」クレールはメラニーを急いで自宅に向かわせた。「パジャマと部屋着を着てらっしゃい。あなたがいつでも入ってこられるようにドアの鍵を開けておくわ」
「名案だね!」エリックは手袋をはめた両手をこすり合わせた。「メルが着替えている間、ぼくが暖炉の火をつけておく。それと、クレールにねだってホットチョコレートをつくってもらうよ」
 エリックはベランダの隅にある燃料入れの中から腕いっぱいの薪を取り、クレールのあとからスイートルームの中に入った。彼女がコートをかけ、ブーツを脱ぐ間、エリックは客間の暖炉の火を燃えたたせた。それがすむと、朝食用のカウンターの上に身を乗り出し、ホットチョコレートをつくろうとしているクレールを見つめた。
「子供を退屈させないためにだけ、楽しいパーティを抜け出す女性はそうたくさんいないだろうね。ぼくに言わせると、きみは並外れた女性だよ、クレール・デュロシェ」エリックは愛撫するような目を向け、甘い声で言った。
「とんでもない」クレールは親密な雰囲気をつくろうとするエリックに同調すまいとした。「わたしはむしろ自分勝手なのよ。メラニーの相手をしているのが楽しいの」
「ぼくらがお互いをもっとよく知るための絶好のチャンスをふいにするほど?」エリックは身を乗り出し、酒臭い息をクレールの顔に吹きかけた。
 クレールは後ずさりし、スプーンですくったチョコレートの粉を電気ポットの中に入れた。「気が変わって一緒にビデオを見たくなくなったとメラニーに言えと勧めてるのなら……」
「いや。ぼくはビデオ鑑賞を早めに切り上げて、もう寝ろと言ってメラニーを追い返そうかとふと思いついたんだよ。でも、きみがどうしても最初のプランにこだわるなら、ぼくはせいぜいこの時間を有効に使わせてもらうよ」エリックはそう言うなり、さらにカウンターの上に身を乗り出し、クレールの両肩をつかんで体を引き寄せ、唇を重ねてきた。
 クレールは驚きのあまり抵抗することも忘れた。エリックがやめる気配を見せないので、目を見開いてエリックを見つめ、唇を固く閉じつづけた。電気ポットでお湯がわく音とステレオから静かに流れてくるクリスマスキャロルにまじって、正面のドアが開く音を聞いたような気がして、ひそかに感謝した。これで、エリックは誘惑をやめるわ。
 だが、誰も現れないし、エリックはクレールの反応を見て、口説きに成功しそうだと思い込んでいる。クレールはもっと強く拒絶すべきだと思い、両手をエリックの胸に当てて彼を押しのけた。「二度とこんなことしないでちょうだい、エリック」
 エリックは口をぽかんと開けてクレールを見つめた。「どうして?」
 エリックの舌が少しもつれ、顔は異様に赤かった。新鮮な夜の空気を吸っても酔いが覚めなかったのだとクレールは今さらながら気づき、ため息をついた。酔っぱらった人間に理屈をわからせるのは至難のわざだ。「わたしがそうしてほしくないからよ」きっぱりと言った。
「一回キスしただけだ」エリックはそう言い、カウンターの中に入ろうとした。
 この場所にいたら逃げられなくなる。クレールは急いでカウンターの外に出た。「ああ、嘘をつかないで、エリック。キスだけで終わらせるつもりはないんでしょ」
「ぼくを責められないだろう?」エリックは愛想よく言い、クレールの肩に荒々しく腕を回した。
 エリックはクレールが思っていた以上に酔っている。多感なティーンエイジャーに見せていい姿ではなかった。メラニーが現れる前にエリックを追い出してしまおうと、彼に肩を貸してよろよろと玄関ホールまで歩いた。
 エリックは進んでクレールと一緒に歩いていた。だが、クレールが正面のドアに向かおうとすると、それに逆らい、ベッドルームに通じる狭い通路を進もうとした。
「ああ、だめ! こっちよ!」クレールはそう言い、エリックを正面のドアに向かわせようとした。
 エリックがまた逆らい、二人がやや見苦しくもみ合っている最中に、正面のドアがいきなり開けられた。だが、そのあとにつづいた規則的な足音は、元気なティーンエイジャーの足音ではなく、一つの使命をおびた男性のものだった。タフタのスカートとブラウスを片腕にかけたザックの姿が見えても、クレールは驚かなかった。
 クレールは目でザックに懇願し、困ったように鼻を鳴らしたが、ザックはそれを無視した。「ぼくが来たからって、やめることはないよ」口にするのも汚らわしいものを見ているような表情を顔に浮かべた。「借りた服を返しに来ただけなんだ。この服も、きみも、メルには二度と必要ない」


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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