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後見人は億万長者【ハーレクイン文庫版】

後見人は億万長者【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 アン・マリー・ウィンストン(Anne Marie Winston)
 ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。

解説

 クリスティンの父が莫大な借金を遺して亡くなったあと、父の仕事仲間である大富豪のデリクは彼女の家を高額で買い取り、まだティーンだったクリスティンの後見人となった。以来、彼女は10歳年上のデリクへのひそかな憧れを胸に秘め、3年前に彼が妻を病で失うと、愛娘の育児も手伝うようになった。そう、妹としてしか見られていないのはわかっている。彼は今も奥さんを愛しているのだ。でも、片思いはもう終わり――クリスティンは長年温めていたある考えを、とうとう口にした。「ねえ、デリク、わたしたち結婚するべきよ」

 *本書は、初版ハーレクイン・リクエストから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 会いたい。以前のように、モリーがふざけるたび、しょうがないなという目で顔を見あわせたい。明かりの灯った部屋と温かい食事の待つ家に帰りたい。だがなによりも、帰宅した自分を出迎えるやさしい笑顔、そして食事中にふたりで交わすなにげない会話が恋しかった。一緒に皿を拭きながら、彼女の振りまわすふきんをよけたかった。彼女がモリーのこめかみにそっとキスをしたり、ひざまずいて犬のサージのふわふわのおなかを撫でる姿を見たかった。
 なんたるざまだ。デボラが死んでからはとりとめもなく日々を過ごし、家庭のことをすべてクリスティンに任せ、それを当たり前だと思ってきた。ところがいまは、大人の話し相手がいないことに耐えられない。女性の話し相手、もっと言えば、あるひとりの女性がいないことに。
 六月最後の金曜日、電話が鳴りだしたとたん、デリクは時計を見て胸を躍らせながら受話器に飛びついた。午後九時。いつもクリスティンが、こちらのようすをきくために電話をかけてくる時間だった。
「もしもし?」
「わたしよ。ちょっと寄ってもいいかしら?」
「もちろんだ。いまかい?」もちろんだ! 会いたくてたまらない。
「ええ。話したいことがあるの」その声にデリクははっとした。元気がないようだ。必死に頭を働かせ、どうしたのかと考える。なにか悲しませるようなことをしたか?
 五分後、その答えがわかった。クリスティンの車を待ち構えていたデリクは、彼女がポーチまで来ないうちにドアを開けた。
「やあ」
「こんばんは」クリスティンはキッチンに入ると、取っ手のついた大きな書類ケースをどさりと置いた。「あなたの意見を聞きたいの」
「いいとも」デリクは椅子をうしろ向きにしてまたいで座り、彼女と向かいあった。「座って話そう」顔に広がる笑みをこらえきれない。「会えてうれしいよ」
 クリスティンもほほえみ返した。「わたしもよ」しばらく間があいたが、それ以上のことが起こらないうちに彼女は身震いし、持ってきた書類ケースに手を伸ばした。「保護センターで気になることがあって」
「気になること?」なにがあっても対処できるだろう、とデリクは考えた。クリニックでは人事やスケジュール管理といった、さまざまな問題を処理している。
「デリク」彼女が切りだした。「運営費の計算がどうもおかしいの。帳簿に矛盾があるのよ」
「矛盾?」デリクは勘定計算にも詳しかったが、それはクリスティンも同じだ。そんなことでなぜ訪ねてきたのか?
「資金が消えているの」ごくりと唾をのんだクリスティンは明らかに動揺しており、彼女の言葉が少しずつ意味をなしはじめた。
「つまり、意図的な矛盾ということか?」
 彼女は肩をすくめた。「わからない。でも、五十万ドルも消えているのが偶然だとは思えないわ」
「五十万」デリクは驚きを隠しきれなかった。「そんな大金がどこへ消えたんだ?」
「わかってたら矛盾じゃないでしょう?」かすかに皮肉めいた口調だったが、すぐにつけ加えた。「ごめんなさい。気持ちはわかるわ。とても信じられないもの。最初に見つけたときは、帳簿の欄を残らず調べたのよ」クリスティンはケースに入った書類の山をとんと叩いた。「ほとんどは少額ずつ引きだされていて、返された形跡はないわ」
 デリクはまだ理解しかねていた。「キャシーが使いこんだと?」
「訳がわからない」その声には苦渋がにじみでていた。「でも、そう考えるのが妥当ね」
「驚いたな」デリクは座りなおし、たちまちその場は重苦しい沈黙に包まれた。やがて彼は身じろぎすると、つぶやいた。「どうしたものか? 彼女にはきけないし」
「そうね」クリスティンは涙声になった。「でも、お金が消えたのが事実で、キャシーが関わっていると確証が得られるまで、問題がちょっとでも公になったり噂が飛びかうような事態は避けたいわ」彼女ははなをすすった。「キャシーは保護センターを愛していた。横領なんて信じられない」
「クリス、泣くな」デリクは思わず立ちあがって近づき、彼女を抱き寄せた。「もう一度チェックしよう。なにか見逃しているかもしれない。数字ばかり見ていると、大事なことに気づかない場合もあるだろう」
 腕の中でクリスティンがうなずいた。「そうね」そして、しっかりと抱きつく。「ありがとう。心強いわ」
「一緒に解決しよう」デリクはなだめるように言った。「どんなことでも力になるよ」彼女の温かくやわらかな体にもたれかかられ、あと先考えずに目の前の顎に指をかけて顔を持ちあげる。「クリス、会いたくてたまらなかった」
 クリスティンが髪に触れてくると、その唇にデリクはみずからの唇を重ねた。彼女の体の感触に全身の神経が目覚め、さらに力をこめてしっかりと抱きしめた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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