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夫の復讐

夫の復讐


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆3
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著者プロフィール

 サラ・ウッド(Sara Wood)
 イギリスの作家。イングランド南部ポーツマスで子供時代を過ごす。結婚していて息子が二人。生活のためにタイピストや海の宿の女主人、教師などさまざまな職業を経たのち作家となり、ジプシーの血を引く彼女が求めてやまなかった自由をついに手に入れた。現在コーンウォールの田舎に住む彼女は、執筆の合間にはガーデニングに打ち込んでいる。

解説

 話したいことがある、今夜会おう。その電話から、希望と悲しみが始まった。

 ■別居中の夫ルークから、今夜会いたいという電話がかかる。エレンの脳裏に悪夢のような日々がよみがえった。泣きつづける娘のジェンマ、嫌悪のこもった目で見つめるルーク。六年前、エレンは難産のストレスで心を病み、娘を傷つけてしまいそうな自分に怯えていた。結局彼女は、愛する夫と生後半年の娘を残して家を出ることを選んだ。以来ルークは、ロンドンにいるエレンを憎みつづけているし、年四回会うジェンマも、母親のエレンになつくどころか怖がっている。彼は今夜、いい女性が現れたから離婚してほしいと言うのでは? いろいろ考えると、もう潔く別れたほうがいいのかもしれないと思う。だが再会したルークは思いがけないことを言いだした。出張でロンドンにいるあいだ、ジェンマを預かってほしい、と……。

抄録

「わたしはそうよ!」
「ああ、きみもぼくも、妖婦デリラもな。ぼくが安心してきみに娘を預けると思っていたんだろう? だったら、ぼくの頭がおかしくなっていると思ったほうがいい」
 ルークは何を言っているの。エレンは麻痺してしまった頭をなんとか回転させようとした。わたしとジェンマは……。エレンは胸の中でうめき声をあげた。彼は約束を取り消す気なのだ。
「ジェンマをがっかりさせるわけにはいかないでしょう!」エレンは彼を押しのけ、床から服を拾い上げた。心臓は早鐘のように打っている。「着るあいだ、後ろを向いていて」
 答えるかわりに、ルークは腕を組んでドアにもたれかかった。
 まあ、いいわ。彼にはこれまで数えきれないくらい裸を見られているのだから。エレンは自分に言い聞かせた。
「今度はわたしの話を聞いて」裏返しになったトップを元に戻しながらエレンは毅然とした態度で言った。「絵のモデルをするのは悪いことでもなんでもないわ」トップに片腕を通し、もう一方も通した。挑むように彼を見つめたが、欲望の浮かぶ目に見返されてエレンは息をのんだ。トップを頭からかぶって胸を隠したときには両手が震えていた。「古代ギリシアやローマの彫像を見て、感銘を受けたことはないの? ミロのビーナスやルーベンスの絵を。あの作品がどうやって制作されたと思っているの。プラスチック製の人形をモデルにしたり、想像力を駆使したのかしら?」
「芸術家はモデルに欲望を感じているはずだ。だからこそ、あれほど美しい作品が生まれる。彼らが感じている情熱を……」
 言葉がとぎれた。スカートを拾い上げようとかがんでいたエレンは顔を上げ、胸元に注がれた彼のまなざしにぎょっとした。
「やめて、ルーク」
 だが彼はかまわずに近づいてきた。エレンは体がとろけていくような気がした。ほんのわずかな間隔をおいて二人は向き合って立っていた。
 ルークの両手が顔をはさむと同時に、エレンは無意識に顔を上げた。彼の唇がゆっくりと近づいてきて軽く触れた。じらすようなキスはエレンの官能を刺激し、体を燃え上がらせた。
 もっと情熱的なキスをしてほしかった。エレンは彼の首に両腕を巻きつけ、上等なウールのジャケットに体を押しつけた。それに応えるかのように彼の舌が巧みにエレンの唇を開かせ、口の中に入ってきた。頭がくらくらする。エレンは彼を止めようとしたが、歓びのうめき声しか出なかった。
 ルークはいきなりキスを中断した。二人はしばらく無言で見つめ合っていた。彼の口元に嘲笑が浮かぶのを見て、エレンの情熱は恐怖に変わった。
「出会った男すべてに、きみがこれほど熱心に応じなければいいがね」彼は平板な声で言った。
 エレンは返答に詰まった。否定すれば彼が特別だということになるし、肯定すれば節操のない女だということになる。「なぜ、こんなことをするの」自分の愚かしさに腹が立ち、声が震えた。ルークが仕掛けた罠に簡単にはまってしまったのだ。エレンは涙ぐみ、拳を握りしめた。なぜ彼はいつもわたしを傷つけようとするのだろう。
「そうしたかったからだ。そしてきみもそれを望んでいた。現にきみは抵抗しなかった」
「怯えていたのよ!」ようやく突破口を見つけ、エレンは叫んだ。「肉体的な恐怖にさらされると自制心を失ってしまうの。それはあなただって知っているはずよ。学校でひどいいじめに遭い、登校拒否になったことは話したでしょう。腕力で勝る者が力ずくでほかの者を支配するのが、わたしには耐えられないの。恐怖でわたしがすくむのを知っていながら、あなたは声を荒らげ、わたしを乱暴に扱い、言いなりにしようとしたのよ。あなたなんか大嫌い。人の弱みにつけいる最低な人間だわ!」エレンは一気にまくしたてた。
 なかなかうまい言いわけだと思ったが、ルークはエレンがそのすばらしい体をくねらせ、長いまつげを震わせて自分を誘惑しようとしたことはわかっていた。妖婦のように自分を誇らしげに見せびらかし、欲望をかきたてたエレンを、彼は心底憎いと思った。それ相応の仕返しをしてやるべきだろう。愚かなことをしたと思い知らせてやろう。そのときふいに、彼の頭にある考えがひらめいた。
「残念だが、きみはぼくの娘の世話をするにはふさわしくない。ジェンマはホテルに連れて帰る」
「そんな! わたしたちは同意したはずよ」エレンはうろたえて叫んだ。
「それはこの茶番劇が演じられる前だ」ルークは教室のほうに片手を泳がせた。まだ半裸のままのエレンを見ないようにしようと努めたが、白いフリルのついたパンティーについ目がいってしまう。彼は体の脇で拳を固めた。そうしないとパンティーの中に指をすべり込ませそうな気がした。
「きみはぼくを思いどおりにしようとした」ルークはかすれた声で続けた。「こうするほかないだろう」集中力がとぎれかけている。「きみには羞恥心ってものがないのか。スカートをはけよ!」彼はいらだたしげに言った。半裸でいるのを忘れていたのか、エレンは真っ赤になった。
 ルークはくるりと背を向けたが、耳はすべての音をとらえていた。スカートが腿の上をすべる音やファスナーを上げる音、そしてエレンの手がスカートのしわを伸ばす音を。彼はうめき声をもらしそうになった。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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