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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛に代えても

愛に代えても


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スーザン・マッカーシー(Susanne Mccarthy)
 ロンドン郊外で育ったが、結婚を機にイングランド西部のシュロップシャーに居を構え、たくさんの犬や猫に囲まれた田園生活を楽しんでいる。趣味の旅行に出かけるたびに、家が恋しくなるという。作家活動のかたわら、社会人教育にも携わっている。

解説

 妻というより、単なるベッドでのパートナー。愛する男性からの耐えがたい求婚だった。

 ■別居中の夫ジェレミーが事故死したと知らせを受け、マディは一人息子を連れて六年ぶりに夫の屋敷を訪れる。屋敷にはジェレミーの従兄レオが先に来ていた。かつて彼女は親友サスキアの婚約者だった彼にひと目で心を奪われた。結局マディはジェレミーの熱烈なプロポーズを受け入れたが、レオは彼女が打算で結婚し、従弟を不幸にした女だと今も思っている。マディの結婚後、レオとサスキアはなぜか婚約を解消してしまう。そしてマディは夫と親友の浮気を知り、屋敷を出たのだった。久しぶりに見る屋敷を、マディは心のよりどころだとつくづく感じる。浪費家だった夫のせいで、今や維持するのも困難だが、息子のためにも、なんとか屋敷は手放さずにおきたかった。だが屋敷の維持費を捻出するための事業が行き詰まりを見せたある日、レオが屈辱的な条件のついた結婚をマディに持ちかけた。

抄録

「どういう意味かわからないんだけど」マディは当惑した。
「わからない? きみは頭の切れる女性だと思っていたんだがな。妊娠したという手口が危険を伴うのは充分承知しているくらい利口だと。たとえのぼせあがっているにしても、ジェレミーが責任をとるという保証はないからね。そこできみはさらに古い手を使った。欲しいと思ったら我慢できないジェレミーのようなタイプにはとりわけ効果的な手を。努力したかいがあったときみが感じていればいいんだが」
「もちろんよ! わたしは……ジェレミーを愛しているわ、心から」
 レオは片方の眉をほんのわずか上げた。疑っているのは明らかだ。「それなら、ひとまず安心だ。でも、それが時の試練と過酷な現実に耐えられるかどうかはまだわからない」
「なぜそんなことを?」マディはかすれた声で尋ねた。
 レオは広い肩をすくめた。「そうだな、ひとつには収入面の問題がある。ジェレミーは庭に金のなる木があるような印象をきみに与えているかもしれないが、現実はそんなにばら色ではない。もちろん、贅沢を望まなければ快適に暮らしていけるくらいはあるが、残念ながらジェレミーは責任を感じるほど大人になっていない」
「それはあなたの見方でしょう」マディは切り返した。「あなたが考えている以上に彼には分別があるかもしれないわよ」
「ひょっとするとね。だけど、ぼくがきみなら、性急にテストするようなまねはしない。一、二年は彼の好きなように楽しませてやったほうがいい」
 マディはレオをにらみつけた。その傲慢な顔をひっぱたいてやりたい。「あなたの知ったことじゃないでしょう!」
「たしかにそうだ。でもぼくは従弟が好きなんだ。あいつが傷つくのは見たくない」
 怒りで頬が紅潮した。「どうしてわたしが彼を傷つけると思うの?」動揺のあまりマディは声を引きつらせた。「言ったでしょう、わたしは彼を愛しているって」
「そうかな? 本当に愛しているなら、自分を出し惜しみしたりしなかっただろう。きみは彼と寝ていたはずだ」
 今度こそ本気でひっぱたきたいとマディは手を上げた。だが、いち早くレオの手が華奢な手首をつかんだ。頑丈な指が肌に食いこみ、苦痛にマディは涙ぐんだ。
「放して」体に震えが走る。触れそうなほど間近にいる彼のたくましい体と鼻をくすぐる麝香のにおいが、あらがいがたい影響力をもたらす。
 瑪瑙色の目がマディの目を見据えた。「なぜなら、氷の王女を装っていても本当のきみはそうじゃないからだ。違うかい?」あざけるような口調で彼は言った。「うわべは冷ややかに装っていても、その下で情熱の炎が燃えているのが、ぼくにははっきり感じられる」
「いいえ」マディは身をよじって彼の手から逃れようとした。「あなたの誤解よ」
「へえ?」レオはマディを胸に引き寄せ、ほっそりしたウエストに片腕をまわした。「じゃあ、ぼくにキスしてほしいとは思わないんだね?」
 マディは息をのみ、片手を彼の胸にあてて押しやろうとした。だが、白いシルクのシャツを通して固く引きしまった筋肉をてのひらに感じたとたん、抵抗する意思は萎えた。それを察したのか、彼はあざけりのこもった笑い声をあげた。
「ほら、自ら本性をあらわにした」レオはばかにした口調で言い、上体をかがめた。
 引きしまった唇が官能を刺激する。たちまちマディはキスに応じ、目を閉じた。男性的な麝香のにおいにうっとりとなり、甘く心地よい刺激に酔いしれる。初めて彼を見た瞬間から、こうなることを夢見ていたのだ。それは理屈を超えた無意識の反応だった。
 でも、だめよ……。マディは急に恥ずかしさを覚え、身を引こうとした。しかしウエストにまわされた彼の腕はびくともしない。キスが突然横暴になった。彼女を懲らしめ、侮辱しようとしているのだ。彼から逃れるために、そして自分自身の激しい渇望を否定するために、マディは思いきって彼の唇に歯を立てた。
「なんて女だ!」目に怒りをたぎらせ、レオは彼女を突き放した。
 彼の唇の端に血がにじんでいる。マディはおびえた目でそれを見つめた。「ご、ごめんさない。傷つけるつもりじゃなかったの」苦痛に胸が締めつけられる。「でも、あなたは……こんなことすべきじゃなかったのよ」
「ああ、そのとおりだ。きみはぼくの従弟と祭壇の前に立って貞節を誓った女性だ。あれからまだ数時間しかたっていないというのに、きみはもうその誓いを破りかけたというわけだ。そうだろう?」
 マディは深々と息を吸い、胸の鼓動をなんとか静めようとした。「二度とわたしに触れないで」威厳をこめてきっぱりと言う。「わたしはジェレミーの妻だし、彼を幸せにするために精いっぱい努力するつもりよ。あなたがわたしを信じようと信じまいとかまわないわ。わたしが本気だということは時が証明してくれるもの」
 マディはくるりと背を向けた。たっぷりひだをとったウエディングドレスのスカートをつまんで足早にその場を離れる。そして深閑とした暗い庭を抜け、明るくにぎやかな天幕へ急いだ。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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