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子爵の理想の花嫁選び

子爵の理想の花嫁選び


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アニー・バロウズ(Annie Burrows)
 つねに本を読んでいるか、頭の中で物語を創作しているような子供だった。大学では英文学と哲学を専攻し、卒業後の進路は決めかねていたところ、数学専攻のハンサムな男性と出会い、結婚する決心をしたという。長年、2人の子供の子育てを優先してきたが、彼女の頭の中にある物語に興味を持ってくれる人がいるかもしれないと思い、小説を書きはじめた。

解説

 “孤独で貧しく、不器量で従順な娘”――それが子爵の求める花嫁の条件だった。

 両親を相次いで亡くした、天涯孤独なメアリーは、遠縁の家に身を寄せ、肩身の狭い日々を送っている。そんなある夜、出席した舞踏会で出会ったのは、目の覚めるような美貌の子爵――ハヴロック卿。彼から性急に求婚され、メアリーは大きなとまどいを覚えた。なぜ、こんな高貴で優雅な人が、わたしのような娘を花嫁に選ぶの? あまりにも奇妙な申し出を拒絶すると、ハヴロック卿は打ち明けた。離れて暮らす異母妹を引き取るため、大至急結婚したいのだ、と。メアリーは妹を思うハヴロック卿の気持ちに心を打たれ、結婚を承諾した。実は彼の花嫁選びの条件が、とんでもなく屈辱的なものとは知らぬまま。

 ■お待たせいたしました! PHS−100『伯爵からの招待状』でその人気を決定的なものにしたアニー・バロウズの最新作をお届けします。結婚式を挙げた日の夜、自分が子爵の花嫁に選ばれた本当の理由を知ってしまったヒロイン。さて、彼女がとった行動とは?

抄録

「そもそも、なぜわたしの力になろうなどと? あなたにとっては縁もゆかりもない他人なのに」
「だが、あなたにはどこかぼくの心に訴えかけてくるところがある」子爵は、メアリーがいまだかつて男性から向けられたことのない熱っぽい視線を向けた。「あなたにはだれも助けてくれる人がいないらしい。あなたには……友人が必要だ」
 とたんにすべてが腑に落ち、メアリーは失望のあまり胸が悪くなった。ハヴロック卿が無力な女を餌食にするような人だったなんて。なんてことだろう。掏摸の少年を引きとったときは、てっきり……。
 まったく、われながら鈍いにもほどがあるわ。
「あなたがおっしゃっているような種類の友情は欲しくありません」ぴしりと言ってのける。「いくら貧しくても、わたしは決して、何があろうと……」
 子爵の眉がぐっと下がった。「ぼくだって、育ちのいいお嬢さんにそんな申し出をする気はない。ぼくをどういう男だと思っているんです?」
 メアリーは赤面した。氷の上をまっすぐ進もうとしていたときの足のように、おなかのなかが好き勝手に動きまわっているように感じる。「それが……それがわからないから困るんです。あなたがなぜわたしなどに関心を持つのか、どうしてもわからない。こんなつまらない、美しくさえない女に。あなたみたいな颯爽とした美男子なら、指を鳴らすだけでどんな女の人でも手に入れられるはずなのに」
 あわてて口を押さえたときはすでに遅く、慎みのない言葉がすでに口からこぼれてしまっていた。
 おまけにつかんでいた枝を放したのは、本音をぶちまけるのに負けず劣らず無謀な行為だった。ぐらりと体勢がくずれ、とっさにハヴロック卿のコートの胸をつかむ。二人はくるりと回転し、メアリーを木の幹と子爵の体のあいだにはさみこむ形で止まった。
「なるほど。きみはぼくが颯爽とした美男子で、どんな女の人でも手に入れられると思っているわけだ」
「そういう意味で言ったんじゃないわ!」コートをつかんでいた手を開き、子爵の胸をぐいと押しやると、反動で背中がいっそう強く木に押しつけられた。「少なくとも」メアリーは持ち前の正直さに促されて続けた。「声に出して言う気はなかったのに」
「だが、きみは言ってしまった」子爵がにやりと笑って言い、すっと前に出て、メアリーが作ったわずかなへだたりを埋めた。「おかげで希望を持てる。このままでは、いつまでたっても守りを突きくずせないんじゃないかと思いはじめていたところだ」
「ま、守りを突きくずす? どうしてそんなことをしたがるの? それに“いつまでたっても”だなんて……。何日か前に会ったばかりなのに」
「そして、会ったとたんに惹きつけられた。それも猛烈に。きみも同じように感じているはずだ。自分の気持ちに抵抗しようとしているだけで」
 これ以上きまりの悪い思いをすることなどあり得ないと思っていたのに、自分でもまだ完全には気づいていなかった心の奥の秘密をそんなふうに暴きだされるのは、たまらなく屈辱的だった。
「だけど、抵抗することはないんだよ、ミス・カーペンター。ぼくもきみを求めている――心から。誤解のないよう言っておくと、ぼくの妻としてね」
 メアリーが木と子爵の体のあいだにしっかりはさまれていたのは幸いだった。求婚の言葉を耳にした衝撃で、完全に脚の力が抜けてしまったからだ。
「あなたの妻として? そんなはずないわ!」
「どうしてだい?」
「だって、わたしたちはお互いについて何も知らないのよ」
「もう十分に知っている」子爵が言い、あの心がとろけるようなまなざしを向けてくる。二人がぴったりとくっつきあっていることが、ふいに痛いほど意識された。二人の口から立ちのぼる白い息が、少し高いところでまざりあい、ひとつの雲になっていることも。「証拠を見せてあげよう」
 子爵の顔が近づいてくる。息が喉につかえた。キスするつもりだわ。そして、逃げ道はどこにもない。子爵が手を離したら、わたしは倒れてしまう。
 そう思った瞬間、メアリーは気づいた。子爵はわたしの体に手をかけてはいない。わたしが子爵に、というか子爵のコートにしがみついているのだ。でも、それは転ぶのを防ぐためで、決して……。
 それに、本当にどうしてもキスされたくなければ、顔をそむければすむことだ。そうすれば子爵の唇は、比較的当たり障りのない頬に着地する。
 なのにメアリーは顔を動かせなかった。凍りついたようになっているうちに子爵の唇がどんどん近づいてきて、ついに唇が触れあった。押しつけられた唇が愛撫するように動いてメアリーの唇を割る。そして二人の息はまざりあった。今度は空中ではなくメアリーの口のなかで。めくるめく快感がみぞおちを駆けおり、ぐんぐん熱くなっていく。やがてメアリーは足の下の氷が溶け、二人とも巨大な渦にのまれて溺れてしまうのではないかと思いはじめた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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