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ふたりをつなぐ天使

ふたりをつなぐ天使


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スカーレット・ウィルソン(Scarlet Wilson)
 スコットランド西海岸在住。8歳で初めて物語を書いて以来、ずっと創作活動を続けている。熱心な読書家で、児童文学作家イーニッド・ブライトンを読破したのち、人気の大作シリーズなどへと移行し、やがてミルズ&ブーン社のロマンスにたどり着いた。医療従事者でもある彼女にとって、医療現場と恋愛を描くメディカル・ロマンスは夢の取り合わせだと語る。

解説

 愛すれど結ばれなかったふたりに、小さな天使が舞い降りた。

 海沿いの美しい町にある病院で働くアビーは、ある日、救急科に駆けこんできた男性を見て我が目を疑った。5年前にやむなく別れたルークが、どうしてここに? 大統領付きの医師である彼は、お忍びで静養に来ていた身重のファーストレディが急に破水したので、急遽呼び寄せられて診察にあたることになったという。ファーストレディの意思を尊重して、彼もしばらく町に滞在すると聞き、アビーは激しく動揺した。ルークは子供が作れない自分の体を恥じて別れを選んだけれど、わたしの家には、彼にそっくりな4歳の男の子がいる……。

 ■『愛の使者は突然に』(I−2355)でデビューし、HQイマージュに新風を送りこんだスカーレット・ウィルソン。彼女の2作目はサンフランシスコ郊外の海沿いの町を舞台にした再会物語です。いまだに彼が独身だと知ったアビーの胸に芽生えた想いとは?

抄録

 ルークはアビーが髪をかきあげるのを見守った。いまは着替えて、サマードレスにカーディガンという格好になっている。またも、ストロベリーのリップグロスの香りがした。細い金の鎖にロケットがぶらさがっているのが目に入り、ルークはつと手を伸ばした。「いまもつけているんだね」
 アビーの頬がうっすらと赤く染まった。
「とっくに捨てたと思っていたよ」
 アビーはルークの指からロケットをとりあげた。それは何年も前にルークがプレゼントして、ふたりの写真を入れていたものだった。
「捨てるわけないでしょう。お気に入りなんだから」アビーはロケットを開いた。「いまは別の写真を入れてあるの」
 中身を見せる。赤いTシャツを着たやんちゃな男の子がこちらに笑いかけていた。
 ルークは喉がつかえるのを感じた。またもや、昔の自分を見ているような気がした。「ルーベンか。いい写真だ」
 アビーはうつむいた。「ええ」悲しげな笑みを浮かべる。「この写真を入れるのがいいと思って。ロケットにはいちばん大切な人の写真を入れるものでしょう?」
 ふたりの写真は子供の写真に入れ替えられた。アビーの心には、ほかの人の居場所はないということなのか?
 ディエゴが現れて、湯気の立つ鉢とロールパンをテーブルに置いた。「さあどうぞ。カボチャとチョリソーのスープです」
 ルークは身を乗り出して深く息を吸いこんだ。「いいにおいだね、ディエゴ。思っていたのとまったくちがう」
 アビーはディエゴに小さくうなずいた。「ありがとう、ディエゴ」そう言って、スープについてきたパンに手を伸ばした。「この店はいつも期待を超える料理を出してくれるのよ。ひとひねりしたメニューをね」スープをスプーンにすくい、息を吹きかけてから口に運ぶ。「ガーリックとクミンとオレガノがきいているわね。すごくおいしい」
 ルークはパンをちぎってスープにひたした。「ここに来た経緯をもっと詳しく教えてくれないか?」
 アビーは首を横に振った。その話をするのは気が進まない。特に、レストランのなかでは。無意識にロケットに手が伸びた。ルーベンの写真の下にルークの写真がいまも入っていることを彼は知らない。「今度はあなたが話す番だと思うわ、ルーク」
 ルークはスプーンを置いた。「何を話そうか」
「この五年、何をしてきたか聞きたいわ。なぜ連絡をとろうとしなかったのか、なぜわたしのメールやメッセージを無視したのかを」
 ルークは腕の毛が逆立つのを感じた。アビーは声を荒らげているわけでも騒ぎ立てているわけでもない。ただ淡々と問いかけているだけだ。だが、アビーに去られて傷ついたなどと、どうして言えるだろう? これまで、子供を持つことに対する意見の相違がすべての原因だというふりをしてきた。そうして自分を守るしか方法がなかったのだ。
「前にも言ったが、すっぱり別れるのがいちばんいいと思ったんだ。メールや電話で連絡をとり合ってもしかたがない。お互いに求めるものがちがうことを確認し合ったんだから」
「求めるものがちがっても、友達でいられないわけじゃないでしょう?」
「そう簡単にはいかないよ。ぼくは自分のキャリアに集中したかった」ルークはためらってから続けた。「連絡をとり合っていたら、ふたりとも前に進むのが難しくなる。きっぱりと連絡を絶つのがきみのためにもいいと信じたんだ。きっときみは新しい相手と出会って、家族を持つのだと思っていたから」キャンドルの揺らめく光のなかで、ルークはアビーの目を見つめた。「きみが去っていったときは、ほんとうにつらかった」
 沈黙が落ちた。針を落とす音さえ聞こえそうだ。
 アビーはスプーンを置き、ルークの手にふれた。「わたしが別れる決意をしたのは、あなたに子供が作れないからじゃないのよ、ルーク。別れたのは、あなたが話し合おうとしてくれなかったから。あなたはほかの可能性を考えようとさえしてくれなかった。わたしだって傷ついたのよ」
「わかっている」ルークは小さな声で言った。「ただ、こんなことになるとは思わなかったんだ」
「こんなこと?」
 ルークは手を引っこめ、椅子に座りなおした。「きみがこういうふうに子供を持つとは思わなかった。だれかと出会って結婚して、妊娠するのだと思っていたんだ」
 アビーの目に涙がにじんだ。説明ならいくらでもできる。けれども、言いたいことはひとつだけだ。言うべきではないとしても、ルークがここにいるのはほんの数日でも、そんなことはかまわない。彼はいまここにいる。この五年で初めて、わたしの目の前にいるのだ。
 アビーは深く息を吸った。「どうすればよかったというの? ほかのだれかと恋に落ちればよかったとでも? わたしの心はずっとあなたのものだったのに」
「まさか」ルークの肩がこわばった。
「まさか? 言うに事欠いて、まさかですって?」
 セクシーな笑みが彼の顔に広がった。
 ルークは立ちあがり、テーブル越しに身をかがめて、あっけにとられたアビーの唇にキスをした。「言葉より行動がものをいうこともある」彼は椅子に座りなおした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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