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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛に迷えるシンデレラ

愛に迷えるシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・モーガン(Sarah Morgan)
 イギリスのウィルトシャー州生まれ。看護師としての訓練を受けたのち、医療関連のさまざまな仕事に携わり、その経験をもとにしてロマンス小説を書き始めた。すてきなビジネスマンと結婚し、小さな男の子が二人いる。子育てに追われながらも暇を見つけては執筆活動にいそしんでいる。アウトドアライフを愛し、とりわけスキーと散歩が大のお気に入り。

解説

 幸せな結婚をすること。天涯孤独の彼女が譲れない、唯一の夢。

 捨て子として拾われ、里親の元を転々として育ったリリーは、笑いの絶えない温かい家庭を築くことを夢見ていた。彼女にとっての理想の男性とは、すなわち理想の夫。遊びの恋など、これまでしたことも考えたこともなかった。だがそんな不器用さが災いしてか、白馬の王子はいまだ現れていない。ある日、借金返済のために引き受けている清掃の仕事で、リリーはギリシア人富豪ニック・ゼルバキスの豪奢な別荘へと赴く。そこで不運にもリリーは彼の恋人に誤解され、結果、恋人は去ってしまう。困ったわ、どうしよう……。動揺する彼女にニックは冷淡に告げた。「さっさと支度をしてくれ。今夜のパーティには君に同伴してもらう」

 ■イマージュやハーレクイン・プレゼンツ スペシャルでもおなじみの実力派作家サラ・モーガンがシンデレラ・ロマンスを描きます。

抄録

「ぼくはしらふなんだ」ニックは言った。「どうせセックスをするなら、対等に渡りあえる相手がいい」
「大丈夫、わたし、見た目より強いの」彼女の唇の横にえくぼができた。「さあ、もう一杯シャンパンを飲んだら、バシリスを呼んで」
「ぼくの運転手の名前をなぜ知っている?」
「あなたたちのやりとりを聞いたのよ。ねえ、ほんとうに心配することはないの。噂どおりあなたが感情のない冷たい男なら、わたしみたいなちっぽけな女に脅威を感じることなんかないはずよ」
 その“ちっぽけな”女が、自分にとってはきわめて危険な存在なのだ。「ぼくが感情のない冷たい男なら、きみはなぜそんな男に抱かれたいんだ?」
「あなたってものすごくセクシーだし、しかもわたしにとっては絶対に結婚したくないタイプだから、あとくされのないセックスの相手としては完璧なのよ」
 ニックは彼女のブルーの目を見つめ、水に濡れた半裸の姿を見たときから彼をとらえていた性的な渇望をなんとか無視しようとした。
 正しいことをするのがこれほど間違っているように感じられるのは、初めてだった。
 小声で悪態をつき、ニックは腰をあげた。「出よう」
「いい判断ね」彼の手の中に手をすべりこませて、伸びあがって耳もとでささやく。「優しくしてあげる」
 体がかっと熱くなり、ニックはリリーをどこか近くの鍵のかかる部屋に連れていって、服を引き裂き、その官能的な体を隅々まで味わいたくなった。
 バシリスが車をつけて待っていたので、ニックはリリーを先に乗せると、自分はできるだけ離れて座った。
 これまで彼女のような女を徹底的に避けてきた。愛を信じる女を。ニックにとって愛の神話は子どものころ、サンタクロースや妖精の話と一緒に崩壊していた。彼には無用のものだった。
「住所は?」うなるように尋ねたが、リリーはにこやかに言いかえした。
「わたしの住所は必要ないでしょう? あなたのヴィラに行くんですもの。あのベッド、宇宙からでも見えそうなくらい大きいわ」
 ニックは片手で顎をさすった。「リリー――」
 そのときリリーの携帯電話がバッグの中でメールの着信を伝えた。「きっとブリタニーよ。わたしが大丈夫かどうか気にしてるのよ。あなたと出ていくのを見て、スピーと二人で心配しているんだわ」
「きみも彼らの言うことにもっと耳を――」
「ちょっと待って」リリーはボタンを押しながら入力する文章を口の中でつぶやいた。
〈これからあとくされのないセックスをするところ。明日話すわ〉
 ニックは携帯電話を奪いとって、リリーを迎えにきてくれと送信したくなった。「ブリタニーというのはさっき紹介してくれた女性だね?」
「ええ、彼女はあなたを女にしたようなタイプよ。ただし、お金はないけど。今日初めて知ったんだけど、十八のとき十日間だけ結婚していたんですって。十日で別れたなんて信じられる? それ以来、もう恋はしたくなくなったそうよ」送信ボタンを押し、リリーは電話をしまった。「わたしは里親のもとを転々として育ったから、家族はいない。友だちを大事に思うのはそのせいかもしれない。自分の居場所がどこにもないような気がして、子どものころは寂しかった」
 ニックは長いあいだ誰にも知られずに静まりかえっていたよどんだ池を棒で引っかきまわされたように、心の中が波立つのを感じた。なんともいえない居心地の悪さに、シートに腰かけたまま身じろぎする。「なぜそんなことをぼくに言うんだ?」
「これから寝る相手のことを少しは知っておきたいんじゃないかと思ったの」
「知りたくなんかない」
「ずいぶんぶしつけなおっしゃりようね」
「ぶしつけで結構。これがぼくなんだ。いまからでもぼくの運転手に住所を言うといい」
 リリーは身を乗りだし、運転手とのあいだのスクリーンを閉めるためにボタンを押した。「悪いけど、あなたを堕落させたくないのよ、バシリス」そしてニックに向き直った。「キスして。キス以外にもすることがあったら、なんでもして」
 これまでニックは自分を自制心に富んだ人間だと思っていたが、その自己評価をいま急速に考え直しつつあった。リリーが一緒だと、自制心など微塵もなくなってしまう。彼女の濃く長いまつげやピンクの唇を見おろしながら、車の中でこんな衝動に駆られたのはいつ以来だったかと考える。
「だめだ」なんとか言葉を押しだしたが、リリーは退却するどころか距離をつめてきた。
「それじゃ、わたしがキスする。主導権を握るのは嫌いじゃないの」そう言って、細い指をニックの腿の内側にすべりこませる。彼は激しい欲望をかきたてられ、やにわに彼女の手をつかむと紅潮した頬やみずみずしい唇を至近距離から見おろした。そして低くうなりながら頭をさげ、荒々しくキスをした。リリーをおびえさせて引きさがらせるつもりで遠慮も手加減もしなかったが、リリーは体を引くどころか、いっそう押しつけてきた。甘い誘惑の味がする唇で熱っぽくキスに応え、ニックの膝の上で身をよじる。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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