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偽りの復縁

偽りの復縁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

 愛していないなら、求めていないなら、なぜ離婚を拒むの?

 3年前、イザベルは秘書の代理として派遣された先で、コンスタンティン・デ・セヴェリーノに見初められた。プレイボーイのイタリア人実業家で爵位も持つ彼と、炭鉱の村で育ったイザベルとでは身分が違いすぎたが、二人の情熱はそんな格差が入り込む余地もないほど激しく、イザベルはやがて妊娠。コンスタンティンは結婚を申し込んだ。だが不幸なことに、イザベルは流産してしまう。急によそよそしくなった夫に、イザベルは深く傷ついた。高貴で厳格な育ちのせいで、夫が悲しみを表に出さないこと、だからこそベッドではあんなにも激しく情熱をさらけ出すこと――若すぎた妻にわかるはずもなく、イザベルは打ちひしがれて家を出た。

 ■シャンテル・ショーは、HQロマンス担当編集者の“推し作家”の1人。しっとりと胸に迫る描写と、上品だけれど官能的なラブシーンが魅力です。イザベルたちが結ばれたのは、情熱のため? それともはじめから愛はあったのか――。ぜひ、お確かめください。

抄録

 イザベルは喉にこみあげた塊をのみこんだ。過去を思い出すのはいつもつらいが、ストーカーに脅され、気持ちがずたずたになっているときに、思い出に責めたてられるのは耐えがたかった。
「わたしたち、意味のない会話をしているわ」そう言うなり、イザベルは立ち上がった。「本当は二年前にするべきだった。わたしがあなたのもとを去った理由のひとつは、あなたが流産のような大事な話をしようとしなかったからよ。わたしは孤独で、あなたに支えられていないように感じた」
 コンスタンティンも立ち上がり、手で髪を梳いた。
「きみがもっと家にいれば、もっと話をしたかもしれない。ぼくが仕事から帰ると、きみは友だちと出かけていると何度ホイッタカーから知らされたことか」彼の青い目が冷ややかに光った。「すべてぼくのせいにするのはやめてくれ。きみが家にいなかったから、結婚の問題について話すことができなかったんだ」
 イザベルはかぶりを振った。「二人の関係から離れていったのはあなたよ。物理的な意味ではなく、精神的な意味で、あなたはわたしと距離をおいた。娘を失った気持ちをあなたは分かち合おうとしなかった。いまでもわたしがアリアンナの話を持ち出すと、あなたは口を閉ざしてしまう」
「同じ話を繰り返してなんの意味があるんだ?」コンスタンティンは自分の大きな声に彼女がたじろいだのがわかった。こんなふうに自制心を失うのは初めてだった。
 父が感情をあらわにしたことが一度だけあった。母の葬儀の日だ。コンスタンティンは八歳だった。礼拝のあいだも、墓に母の棺が下ろされるときも、彼は泣かなかった。そう期待されていることがわかっていたからだ。
“デ・セヴェリーノの男はけっして泣かない”と父は何度も彼に話していた。だがその日、コンスタンティンが眠りにつこうとしたとき、父の書斎から声が聞こえた。傷ついた動物が苦しんでいるような声に、血が凍りつきそうになった。
 ドアの隙間からのぞくと、父が床に体を丸めて泣きじゃくっていた。ほとばしり出る父の悲しみにショックを受け、多感な少年は恐怖を覚えた。コンスタンティンは母の死を悲しんでいたが、父の苦悩ぶりが恐ろしくもあった。八歳の彼はそんな苦しみを味わいたくないと思った。愛する人の喪失、愛情の喪失に、耐えられそうになかった。だから人を激しく愛したくない、と子ども心に思った。
 意識が過去から戻ってくると、イザベルが目に悲痛な色を浮かべて彼を見ていた。
 この人は娘の名前を聞いてもなんの感慨もわかないのだと思い、イザベルは腹立たしくなった。
「あなたは石でできているみたね。表面上は、すべてを手にしているように見える。容貌も富も権力も。でも、あなたは中身がからっぽの殻よ、コンスタンティン。心の中には何も存在しない。本当に気の毒な人」
 彼女の言葉にコンスタンティンは怒りを覚えた。ぼくが心の奥深くにうずめている感情について、イザベルは何を知っているというんだ? だが、彼女が知らないのはおまえのせいだ、と頭の中でなじる声がした。自分が何を言い出すかと思うと怖くてたまらず、感情というパンドラの箱を開けることができなかったのだ。
 コンスタンティンはぶかぶかのTシャツを着ているイザベルを見た。頭のてっぺんから爪先までを覆う‘ずだ袋’をかぶっていても、ほかの誰より彼女を欲しいと思う自分が腹立たしい。彼女の目に浮かぶ非難の色にいらだち、彼はイザベルの手首をつかんだ。
「同情などいらない、ぼくの美しい人《ミア・ベツラ》。ぼくが必要としているのはひとつだけだ」コンスタンティンは彼女を引き寄せた。「きみはぼくたちがもっと話し合えばよかったと言う。だが、ぼくたちは互いに強く求め合っていた。話をして時間を無駄にしたくなかった」
「セックスではわたしたちの問題は解決されない」イザベルは叫んだ。彼から離れようとしてパニックに陥った。実のところ、手首はそれほど強くつかまれていなかったが、心をつかまれていたから逃げられなかったのだ。
 彼の頭が下がってきたとき、イザベルはふと思った。結婚生活が壊れたとき、セックスは一種の伝達手段になり、解決策になりえたかもしれなかった。しかし、流産の二カ月後に愛し合おうと誘われたとき、イザベルは断った。以来、二人のあいだに亀裂が生じ、夫が再び誘ってくることはなかった。
 当時、イザベルは彼が支えてくれないと怒っていた。けれどあのとき、彼は心を通わせようとしていたのかもしれない。ベッドの上では二人はいつも互いを完璧に理解した。二人の欲望はどこまでも激しく、充実していた。
 過去に思いを馳せているあいだ、イザベルは現在の危険な状態を忘れていた。コンスタンティンはいつわたしの手首をつかむ力をゆるめ、ウエストに腕をまわしたの? 彼に引き寄せられ、強靱な体の固い筋肉や腱を意識させられると、イザベルは大きく息を吐いた。彼の顔に目をやったものの、放してと要求する前に口を封じられた。彼のキスは熱く、強く、激しく、そして巧みだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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