マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインクリスマス・ストーリー

クリスマス・ストーリー2008 天使が微笑んだら

クリスマス・ストーリー2008 天使が微笑んだら


発行: ハーレクイン
シリーズ: クリスマス・ストーリー
価格:1,000pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 デビー・マッコーマー(Debbie Macomber)
 四人の子供を育てながら作家になる夢をかなえ、いまや大ベストセラー作家に。100作を超える著作は世界中で6000万部も出版され、多くの人に生きる勇気を与えている。ワシントン州ポートオーチャードに住む。
 アン・スチュアート(Anne Stuart)
 二十五年以上におよぶ作家生活のなかで六十作を超える作品を発表。栄えあるRITA賞を三度も受賞した経歴を持つ。ベストセラーリストの常連で、雑誌ピープルやヴォーグにも登場したことがある。執筆の合間には、作家集会での講演のため各地を訪れる生活を送っている。夫と二人の子供とともに、バーモント州北部在住。「闇の貴公子」は1990年5月刊「ファベルジュの卵」と’91年12月刊「泥棒と探偵を」の関連作。
 マギー・シェイン(Maggie Shayne)
 数々の受賞歴を誇るベストセラー作家。パラノーマルの作品をもっとも好んで書いている。余暇には宝石用原石の収集、タロットカード占いなどを楽しむ。ニューヨーク州の田舎町に、夫、五人の娘、二匹のブルドッグとともに住んでいる。
ジュディス・アーノルド

解説

 『聖夜の再会』―グレッグはクリスマス間近のサンフランシスコにいた。経営が悪化した事業への融資を断られ、行きづまっている。ふと入った教会で、彼は涙ながらに今までの過ちを悔い改めた。すると目の前に現れたのは、三人の天使――シャーリー、グッドネス、マーシーだった。

『キャンドルに願いを』―湖畔の家でアンジェラはひとり暮らしをしている。クリスマスも近いころ、彼女は見慣れない店で不思議なキャンドルを手に入れた。そのキャンドルが燃え尽きたとき、願いが叶うというのだ。家に戻って火をともしたところ、かつて恋心を抱いた男性ブロディが不意に現れる。

『光を取り戻すとき』―ドリーンはニューヨークで充実した生活を送っていた。だが突然すべてを失い、故郷の小さな町へと戻ることになった。亡きおじのロッジに住みつき、生きていくために軽食堂のウエイトレスとして働く日々が始まる。そんなところを、初恋の人ジェイソンに見られてしまい……。

『ともしびは永遠に』―十二月のある日、新聞記者のアラナのもとをジェフリーという男性が訪ねてきた。彼はボストンから来た弁護士で、アラナが書いた記事の取り消しを求める。不当な言いがかりに、彼女は全面対決を心に決めた。ところが、ひょんなことから、ふたりは否応なく惹かれ合うはめになる。

抄録

 グレッグがこの墓を訪れたのは埋葬以来初めてだった。彼は頭を振りながら涙をぬぐった。ずっと言えずにいた言葉が胸にあふれだしてくる。“母さん、ぼくは母さんを愛していた。愛していたんだよ。今だってずっと愛している。ごめんね……”
 やがてグレッグは膝を折り、唇に指をつけると、その手を大理石の墓に押しつけた。長いあいだそうしていたが、やがて立ちあがると肩を落とし、うなだれたまま静かに立ちさった。

「誰かティッシュを持っていない?」マーシーがすすり泣きながらきいたが、誰も答えてくれないのでグッドネスに寄りかかり、友人の柔らかな袖で顔をぬぐった。
「お願いだからやめてちょうだい」
 そう言うグッドネスも涙声だった。シャーリーもこらえきれなくなりそうだった。すべてを失い、こんなに打ちひしがれたグレッグの姿など、とても見ていられない。もはや彼は別人のようだ。いつ、どうしてかはわからないが、シャーリーは彼のことを好きになりはじめていた。明らかにグッドネスとマーシーのグレッグに対する気持ちも変わってきている。
「なんとかグレッグを助けてあげなくちゃ!」
「助けようとしているわ」シャーリーが言った。
「でもあんなにひどい有様よ」
「これからもっとひどくなりそうね」シャーリーはこれからの展開を思い、か細い声で言った。
「そんなことを言わないでよ」マーシーがますます激しく泣きだした。
「だってお兄さんは融資を断るでしょう」シャーリーにはフィルがそれ以外の結論を出すとは思えなかった。
「わたしがちょっと助言してあげればいいのよ」グッドネスが声を張りあげた。「もう一度聖歌隊の練習に行ってくるわ」
「グッドネス、だめよ!」
「ガブリエル様に天国の聖歌隊に連れ戻されても、天国の門番にさせられてもかまわない。フィル・ベネットにちょっとお説教してやるわ」
「グッドネス」マーシーが息をのんだ。
「なによ?」
「グッドネス」シャーリーは言いきかせようとした。「あなた……」
「わたしも行くわ」マーシーがちらりとシャーリーに視線を向けた。
もう行くしかないとシャーリーも悟った。「ええ、わかったわよ。でも三人そろって聖歌隊にもぐりこむわけにはいかないでしょう」
「かまうもんですか」マーシーは吐きすてるように言うと、急いでグッドネスを追いかけていった。
 シャーリーは呆然とした。再びガブリエルの怒りを買うことになるのは間違いない。こうなったら、グレッグ・ベネットのために三人が払う犠牲がそれなりの成果をあげるよう祈るだけだ。

「フィル、わたしの話をひとことも聞いていなかったでしょう」
 フィルは新聞をおろすと妻を見た。「どうしてそんなふうに思うんだい?」
 サンディはうんざりしたような声をあげて宙を仰ぐとキッチンに戻っていった。
 フィルはしぶしぶあとを追った。うまくしらを切ろうとしても無駄だとわかっていた。これだけ長いあいだ夫婦として暮らしてきたのだから、サンディに隠しごとなどできるはずがない。指摘されたとおり、フィルはずっとうわの空だった。弟のことで頭がいっぱいだったからだ。役立たずで無責任な弟。かつてはみんなその将来性を期待したものだが、今では見る影もない。
「今日、銀行にグレッグが来たんだ」フィルはなにげない口調で言うとコーヒーを注いだ。
 サンディがとたんに興味を示す。「話をしたの?」兄と弟が母親の葬儀以来口をきいていないことは彼女も知っていた。
「いや」フィルは肩をすくめ、残念そうな表情を作ろうとした。「デイブ・ヒレアが対応した」
「グレッグは融資を頼みに来たの?」
フィルは重々しい表情でうなずいたが、じつは飛びはねたい気分だった。
「ワイン生産者がすごく困っているって、何週間も前からずっと新聞に出ていたものね。わたしも読んではいたのよ」サンディは案じるように言った。「何十年も丹精こめた畑が病気にやられてすっかりだめになってしまうなんて、さぞつらいでしょうね。記事によると、葡萄園の被害は場所によってかなり差があるらしいわ」
「グレッグのところはいちばん被害がひどかったんだ」フィルは深刻そうな口調を保った。
「〈ベネット・ワインズ〉はどうなってしまうのかしら……」
「そうだね」フィルは同情の響きを出そうと努力した。
サンディに細めた目でじっと見つめられると、フィルは本心を隠そうと必死になった。葡萄の病気でもなんでもいいから、とにかくそういうものを彼はずっと待っていたのだ。正義の報い、天罰、復讐、どう呼んでもいい。いつかグレッグがはいつくばって救いを求めに来るだろうとフィルは思っていた。その日をずっと待っていた。待ち望んでいたのだ。
「お金を用立ててあげられるの?」
「ああ……どうかな」フィルはごまかした。グレッグの求めている融資をきっぱりはねつけるまでは、ひそかな楽しみを明かすわけにいかない。
「でも、できるだけのことはしてくれるんでしょう?」サンディは食い入るようなまなざしでフィルを見つめた。彼はその視線を受けとめるだけでせいいっぱいだった。
「もちろんだ」心のこもった声に聞こえるよう努めながらフィルは答えた。
 サンディはほっと息をつき、夫の頬にキスをした。「よかった。いつか仲直りしてほしいとずっと願っていたのよ」


 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。