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想いは薔薇に秘めて

想いは薔薇に秘めて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ヒューイット(Kate Hewitt)
 アメリカ、ペンシルバニア州で育つ。大学で演劇を学び、劇場での仕事に就こうと移ったニューヨークで兄の幼なじみと出会い結婚した。その後、イギリスに渡り六年間を過ごす。雑誌に短編を書いたのがきっかけで執筆を始め、長編や連載小説も手がけている。読書、旅行、編みものが趣味。現在はコネチカット州に夫と三人の子供と住む。

解説

恋人契約が終われば、もう二度と彼に会うこともない……。

記者から突きつけられた写真を見て、オリビアは愕然とした。そこには、彼女と目も覚めるようなハンサムな男性が濃密に寄り添う姿がしっかりと写りこんでいた。ベン・チャッツフィールド──彼とオリビアの家族は敵同士だった。仕事でベルリンを訪れた彼女は〈チャッツフィールド〉に泊まり、体調を崩したときに偶然、支配人のベンに介抱されたのは事実。でもまさか、それがこんな形で盗み撮りされていたなんて。もしこれが掲載されたら、互いの仕事にも家族へも影響が出てしまう。悩んだ末に、オリビアはベンに苦しい懇願をする。「お願い、状況が落ち着くまで私の恋人のふりをしてほしいの」

■ホテル事業をめぐり、一族が敵対関係にあるベンとオリビア。1枚の写真がきっかけで、ふたりの運命は予想だにしない方向へ導かれていきます。

抄録

 オリビアは腹立ちを抑え、苦笑で応じた。なんとか彼に同意させなければならない。見通しは厳しそうだが。「あなたがそんなふうに表現したいのなら、それでもいいわ」
「当ててみせようか?」ベンは腕組みをした。「きみはこの偽の関係を続けたい。だから僕に承諾してほしい。いつまでだ? 映画祭が終わるまでか?」
「そうしてくれたら最高だわ」オリビアは慎重に答えた。彼はずいぶん察しがいい。不安に駆られるほどだ。「現在、ある映画の出演依頼が舞いこんでいて、どうしても契約にこぎつけたいの」彼女はひと息ついてから説明した。「それで、その障害となるようなことは、極力避けたいわけ」
「なぜ私生活が映画出演の契約に影響するんだ?」
 オリビアは肩をすくめた。「ハリウッドの戦略よ。今度のはシリアスな大作で、スタッフも受賞歴のある面々なの。そういう場合は特に、私生活でマスコミをにぎわせ、タブロイド紙に写真が載るような女優は使いたがらない。しかも――」
「嘘をついたとなればなおさら」
 オリビアは唇を噛んだ。「そうよ」
 ベンは考えるような顔つきをした。「偽りの関係を承諾した場合、僕は何をすることになるんだ?」
「たいしたことじゃないわ」赤面しそうになるのをこらえ、オリビアは急いで言った。「単に恋人同士のふりをすればいいだけ」
「恋人、か」
「明日の夜、私の出演した映画の試写会があるの。当然、みんなは私たちが一緒に現れるのを期待しているわ。あとは、そうね、一度くらいディナーかパーティか、公の場に顔を出してもらえれば」
「それだけでいいのか?」
「必要以上に私と一緒に過ごすのは苦痛でしょうから、それだけでいいわ」オリビアは苦笑しながら明るく言おうとしたが、我ながら嫌味っぽく聞こえ、失敗に終わった。
「それくらいなら……」ベンはそっけなくうなずいた。「なんとかやれるだろう」
「本当?」彼がこれほど寛容だとは、オリビアは夢にも思わなかった。自ら墓穴を掘ったのだから自分でなんとかしろ――そんなふうに言われると予想していたのだ。当然ながら半信半疑で、確かめずにはいられなかった。「本当にやってくれるの?」
 ベンは顔をしかめた。「やると言ったらやる。だが、やりたくてやるわけではない。僕は芝居が大嫌いだ。誰かをだますのは、まして世界じゅうに嘘をつくのは本意ではない」
 彼がぎゅっと唇を結び、またも怒った顔をしたので、オリビアは息をのんだ。
「ありがとう。理解していただき、感謝するわ」
「たいした労力はかからないはずだ」
 愚かにもオリビアは顔が赤らむのを感じた。二人の偽の関係が労力の伴う、情熱的なものになることを想像したからだ。
 オリビアがちらりとベンを見ると、驚いたことに彼の目にも熱いものが浮かんでいた。二人のあいだにある性的な緊張で空気が張りつめる。「それで、明日の夜の試写会だけれど、行く気はある?」
「行くしかないが、具体的には何をするんだ?」
「一緒にレッドカーペットを歩いて、写真を……」ベンのしかめっ面を見て、オリビアは眉をひそめた。「写真を撮らせないなら、行く意味はないわ」
 ベンは肩をすくめた。「わかった」
 オリビアは彼の嘲りを体で感じた。彼に泥の入ったバケツを投げつけられたかのように。
「世間に見せる必要があって……」
「僕たちが交際していることを? そうだろうな。ただ、さっき言ったとおり、僕は芝居をするのが大嫌いなんだ」
 それなら私の職業はさぞかし気に食わないんでしょうね、とオリビアは胸の内でつぶやいた。私たちは理想のカップルとは正反対だわ。
「それで二、三枚写真を撮らせ、映画を見るの。そのあとに打ちあげパーティがあるけれど、途中で一緒に退席してもいいわ」本来は居続け、歓談して、ネットワーク作りに励むべきだけれど。
「わかった」
 オリビアはうなずき、ふと彼はどんな恋人になるのだろうと想像した。たとえ芝居だとしても、ベンと一緒にいるのはどんな気分だろう? 彼女の想像力は勝手に飛躍し、別のシナリオを書き始めた。ベンにキスをされるというありえないシナリオを。
 彼は私をドアまで下がらせ、たくましい体を押しつける。今はむっつりしている口に唇をふさがれ、私の顔も下腹部も熱くなり……。はっとしてオリビアは彼を見た。すると、ベンも彼女を見つめていた。あまりに熱のこもった目に、オリビアは思わずあとずさりそうになった。誰とも関係を持ちたくない私にとって、ベン・チャッツフィールドは危険だ。自分のキャリアを磨く必要のある人間にとって。
 オリビアの頭はそう主張し続けたが、体は聞く耳を持たないようだった。「それじゃ、明日」彼女は金切り声に近い声でどうにか言った。
 ベンは無造作にうなずき、部屋を出ていった。
*この続きは製品版でお楽しみください。

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