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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

花束をきみに

花束をきみに


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ハーディ(Kate Hardy)
 イギリスの作家。六歳の誕生日に両親からもらったタイプライターで初めての小説を書き上げた。大人になってからは健康関連の広報として働きながらロマンスの小編を執筆していたが、夫にアドバイスされ、経験を生かしたメディカルロマンスを書き始めた。現在はイングランド東部に夫と子供二人、愛犬二匹とともに、たくさんの本に囲まれて暮らしている。

解説

 ジャックはロンドンから車を走らせ田舎町までやってきた。売りに出ている邸宅を見るためだ。ようやく姿が見えてくると笑みが浮かんだ。期待したとおりだ。レコーディング・スタジオを作り、野外コンサートを開く――そんな夢を叶えるには完璧の場所になるだろう。車から降り立ち、家の持ち主アリシアの飾り気のない様子に驚く。いつも見慣れている女性たちとなんという違いだ。運命的な誘引力を感じるが、アリシアからは敵視されているようだ。アリシアの心を開くにはまずは信頼を勝ちとらなければならない。そう、そのためにはたっぷり一緒に過ごす必要がある。

抄録

 アリシアの目に、星々の爆発を見せてやりたい。
「誰も見ていないよ」ジャックは静かに言った。「中庭は家の向こう側だし、建築業者は来週まで戻ってこない。きみとぼくだけだ」
「こんなことは、やっぱりいけないわ」彼女はかすれ声で言った。
「どうして?」ジャックが、耳たぶを軽くかむと、アリシアは小さいが、実に喜ばしい声をあげた。
「わたしは、あなたより六歳も年上よ」
「だから?」年の差などまったく気にしていない。六歳の差がなんだというのか?「きみは三十四歳だ。まだ、しわくちゃばあさんには、程遠いよ」
「それに――」彼女は息をついた。「あなたは家主だわ」
「だから?」それも気にならない。気にするべきなのはわかっているが、気にならなかった。
「ややこしいことになるわ」
「実際は、いたって単純だ」ジャックはアリシアをさらに抱き寄せた。「きみがほしい」彼女だって、わかっているはずだ。膝の上に座っているのだから、欲望の高まりが押しつけられていることを感じているに違いない。「きみも同じだろう」胸の頂がとがっていることを別にしても、彼女の心臓の鼓動が速く激しくなっているのが、指先に感じられる。
 アリシアは息を震わせた。「わたし……」
「きみの言うとおりだ。このトラクターの上では、よくないな。きみをこちらに向けることもできないからね。きみにキスしたいんだよ、リッシー。とことん、熱く、激しく、むさぼるようなキスをね」それを示すために、ジャックは耳の後ろのくぼみからTシャツの襟に向かって、唇をすべらせた。アリシアは体を震わせて頭をのけぞらせ、白い首をジャックの前にさらした。
「考えていたんだ」ジャックはささやいた。「きみと星空の下に横たわりたい。きみとぼくと、毛布一枚だけで、月明かりに照らされて愛しあうんだ。きみは月の女神みたいに見えるだろう。一糸まとわぬ雪のように白い肌をこの手と唇と舌で味わうんだ」
 アリシアは身もだえし、体を押しつけ、ジャックは息をのんだ。「ジャック、わたし、どうかなりそうだわ」その声は、欲望でかすれている。
「ぼくも、どうかなりそうだ。なんとかしようよ」
「わたし……」彼女は急にためらった。
「怖い? きみが傷つくようなことはしないよ、リッシー」髪をまとめていないアリシアを見るのは初めてだったが、ジャックはとても気に入った。彼女の髪は、アイロンで伸ばしたのではなく自然なストレート・ヘアーだ。その髪に鼻をすり寄せてかき分け、うなじにキスした。「どんなにいいか、試してみようよ」ジャックは静かに言った。
 アリシアは身震いした。「ここでは、だめよ」
「じゃあ、どこで?」せかしてしまっているのはわかっているが、どうしても知る必要がある。
「わたし……」アリシアは、もどかしげに首を振った。「本当は、こんなに口下手じゃないのよ」
「それじゃ、教えて」
 アリシアはジャックの肩に頭を預け、唇をかんだ。「わたし、こういうことが、あまりうまくないの」
そのささやきはジャックの心臓に突き刺さった。「誰が言った?」
「そんなことは、問題じゃないわ」
 誰が言ったか、わかる。彼女を裏切った男だ。自分のしたことを正当化する口実に使ったのは想像に難くない。ジャックは猛烈に腹が立った。激しい怒りで、実際にこぶしを握りしめてしまわないようにするのに必死だった。卑劣な嘘つき野郎の顎に一発くらわしてやりたい。「その男が間違っていたのかもしれないとは、思わなかったのかい?」ジャックの見たところ“かもしれない”ではなく、絶対にそうだ。アリシアが愛の営みを楽しめないはずがない。こんなに敏感に愛撫に反応しているではないか。「攻撃は最大の防御というからね。きっと、自分がきみを喜ばせられないことを隠そうとしたんだよ」そして、その男の嘘を信じてしまうくらい、アリシアは明らかに経験不足なのだ。
「そうかもしれないわね」
 アリシアの神経は、張りつめている。ジャックは後ろから抱きしめたまま、自分のぬくもりで緊張が解けることを願った。しかし、彼女の背筋は固くなったままなので、ため息をついて肩にキスした。「ぼくが証明してあげるよ。きっと、二人とも楽しめるはずだ。でも、きみが言うとおり、今ここでは、よくないね」ジャックは優しく彼女の服をもとに戻すと、腕をウエストまで下げた。「さあ、芝刈りを終わらせてしまおう」
 アリシアを膝にのせて、ガーデン・トラクターを運転するのは意外なほど楽しかった。ただ、そばにいるだけで、触れるのと同じくらい楽しいのが、ほんの少し気になる。これはお互いのことを頭から追い払って正常な生活を続けていくための、体だけの関係でなければならない。感情を挟むつもりはない。
 お互いにそうでなければならない。
 アリシアは、中庭のほうへ戻る前に、トラクターを止めさせ、ジャックの膝から下りた。
「バートが気になる?」ジャックは眉を上げた。
「ずっと昔からわたしのことを知っているから」
「だから?」よくわからない。
「いろいろ憶測されたくないのよ」
 言い換えれば、からかわれたくない、ということだろう。「いいさ。これは二人だけの秘密だ」
「二人だけの秘密」アリシアは繰り返した。
「それから、言っておくけど……」ジャックは彼女の目を見つめた。「どんどんよくなるからね」
 *この続きは製品版でお楽しみください。

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