マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ スペシャル

打ち砕かれた純愛 ワイオミングの風

打ち砕かれた純愛 ワイオミングの風


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャルワイオミングの風
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 初めて愛した男性に嫌われた私は、一人で生きていくしかないんだわ……。

継父にレイプされかけた過去を引きずるサラは、24歳の今もデートすらしない世捨て人のような暮らしを送っている。それでも密かに一途な想いを捧げる男性がいた。兄の親友で裕福な牧場主のウォフォード・パターソン――ウルフだ。ところが、なぜかウルフはサラを敵視し、出くわすたびに心ない言葉を浴びせかけてばかり。そんなある日、サラが馬に乗って草原を全力疾走していると、青ざめたウルフが現れ、彼女を無理やり鞍から引きずり下ろした。無謀な行動を罰するような激しいキスのあとの言葉に、彼女は凍りつく。「やはり君は、うぶなふりをして僕をたぶらかす魔女だったんだ!」

■北米ロマンス界最重鎮の作家D・パーマーが圧倒的な筆力で描く〈ワイオミングの風〉カーク3兄弟に続いてヒーローをつとめるのは黒髪の悪女に騙された過去を持つ牧場主ウルフです。彼を密かに慕ってきたサラの想いが届く日は来るのでしょうか?

抄録

 兄ガブリエルの言葉を思い返すたびに、サラは深い悲しみを感じた。自分でも気づかないうちにウルフに惹かれはじめていたからだ。公園でひざまずいた彼に優しく話しかけられた時は、凍った心がとけていくような気がした。しかし、彼女にはわかっていた。兄の言葉は間違っていない、自分にウルフのような男は受け止められないと。
“欲望に忠実な男”そうガブリエルは表現したわ。ということは、ガブリエルはウルフのことをよく知っているのね。ウルフの女性関係も含めて。
 別に意外じゃないわ。ウルフは魅力的な人だもの。私にいやみを言っている時を別にすれば、愛想だって悪くないし。彼が連れていたブロンドの女性たちも、みんな彼に夢中って感じだった。ブロンド。いつだってブロンド。ウルフは黒髪が嫌いなのよ。私みたいな黒髪が……。
 考えれば考えるほど、心の痛みは増すばかりだった。サラは長年学問に打ち込んできた。外国語を学び、世界を巡り、おぞましい記憶から逃れようと努力してきた。実際、昼間は過去を忘れていられることもあった。しかし、夜は悪夢にうなされ、悲鳴とともに目を覚ますことが多かった。
 昼間にはいい治療法があった。得意の乗馬だ。サラは馬が大好きだった。ブラック・シルク――兄が所有する馬の中で最も足の速い去勢馬と一体となって草地を駆けていると気持ちが高揚した。一時的に苦痛を忘れ、心安らぐことができた。
 ブラック・シルクは彼女と同じ自由な精神を持つ馬だった。サラはその背に鞍をつけ、馬具が固定されていることを確認した。優雅な仕草で鞍にまたがり、全力疾走で草地へ飛び出した。鞍にしがみつき、長い黒髪をなびかせながら、彼女は笑った。その光景は一幅の絵のようだった。
 しかし、車で通りかかった男はその光景に恐怖しか感じなかった。
 無茶な乗り方をしている! 首を折ったらどうするつもりだ?
 彼はアクセルを踏み込み、草地の外れにメルセデスを走らせた。そしてフェンスに横付けにすると、エンジンを切るなり運転席から飛び降りた。
 サラはフェンスの横で馬の足を止めた。思わぬ人物の出現に、彼女もショックを受けていた。ブラック・シルクが水飲み場へ歩み寄り、喉を潤しはじめた。その間も、サラは鞍の上に留まった。すると、ウルフがフェンスを乗り越え、険しい形相で近づいてきた。
「馬から降りろ」彼は有無を言わさぬ口調で命令した。
 サラは無言で視線を返した。
 ウルフはサラの華奢な体を鞍から引きずり下ろした。彼女を宙に抱きかかえ、驚きに見開かれた黒い瞳をにらみつける。
「この考えなし! 死んでいたかもしれないんだぞ!」
「でも……私はいつもあんな感じで……」サラの言葉が途切れた。
 ウルフの顔には血の気がなかった。水色の瞳は花火のようにぎらついている。彼はサラの顔に視線を落とした。大きな黒い瞳を、柔らかな曲線を描く唇を見つめるうちに、身震いするほどの欲望がこみ上げてきた。彼はうなり、ためらうことなくその唇にキスをした。
 サラが身を硬くした。それを感じながらも、ウルフはキスを続けた。だが、キスをすればするほど、サラの体は強ばる一方だった。そこで彼はようやく気づいた。自分がサラを怯えさせていることに。
 彼は欲望にブレーキをかけ、優しくじらすようなキスで柔らかな唇をもてあそんだ。
「怖がらないで。僕は君を傷つけない。唇を開いてごらん。僕に君を味わわせて……」
 こんな気持ち、初めてだわ。サラはたくましい首にしがみつき、震えながらもキスを受け入れた。キスをされるのは何年ぶりかしら。あの悪夢とは全然違う。官能的な固い唇。ウルフはキスが上手なのね。彼女はわずかに体の力を抜いた。悪い気分じゃないわ。とても……いい感じ。
 数秒後、ウルフが顔を上げ、黒い瞳をのぞき込んだ。「君はキスのやり方も知らないのか」半ばあきれたような口調で言う。
 サラは唾をのみ込んだ。唇にはウルフの味が残っていた。コーヒーとミントが混じったような味が。
 ウルフは再び唇を近づけた。そっとサラを引き寄せ、かすかに笑みをもらした。サラが抵抗しなかったからだ。
「こうやるんだよ」彼はゆっくりと唇を動かし、軽くかすめるようなキスを教えた。
 サラはどぎまぎしながら彼の真似をした。ウルフは最悪の敵よ。私は今その敵にキスをさせている。それだけじゃないわ。私も彼にキスをしている。彼の唇。まるで蜂蜜みたい……。
「そうだ、ベイビー」ウルフはささやいた。「そう。そんな感じ……」
 彼は両腕に力をこめ、キスで柔らかな唇をこじ開けた。全身が強ばってくる。これほど強烈な感覚にとらわれたのは、いつ以来だろう。サラの唇は甘い。これまでに味わった、どんな蜂蜜よりも。
 サラは彼の腕の中で力強さを感じた。ぬくもりを感じた。生まれて初めて知る衝撃に全身を貫かれ、彼女は小さなうめき声をもらした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。