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憎いのに恋しくて 誘惑された花嫁 II【ハーレクイン・セレクト版】

憎いのに恋しくて 誘惑された花嫁 II【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト誘惑された花嫁
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 マヤ・バンクス(Maya Banks)
 幼いころからロマンスを愛読し、作家になることを夢見ていた。十代になると毎日ノートを持ち歩き、想像のふくらむまま過激な愛と情熱の物語を書き続けるようになる。現在の話はそのときのものほど過激ではないが、ロマンティックという点では引けを取らない。現在は夫と三人の子供とともにテキサスで暮らしている。狩猟や釣り、ポーカーを好む。

解説

 貧しいウエイトレスのケリーは、仕事先のカフェで彼と出会った。ライアンはリゾート開発会社の経営者で、優しくてハンサム。二人は瞬く間に激しい恋に落ち、2カ月後には婚約した。だがケリーは、ある事件を境に幸せの絶頂から奈落へと落とされる。なんと、ライアンの弟に襲われそうになったのだ。あわやというところを逃げ出しフィアンセの腕に飛びこんだ彼女を、彼は信じるどころか弟をレイプ犯呼ばわりしたと激怒した。そして婚約破棄を言い渡すと、手切れ金だと小切手を投げつけたのだ!半年後、ケリーは遠く離れた町のさびれた食堂で働いていた。身重の体を引きずって昼夜働く彼女の前に、ライアンが再び現れ――。

 ■人気作家マヤ・バンクスの4部作〈誘惑された花嫁〉の2話目です。愛と情熱に満ちた幸せな日々から一転、絶望へ。ページを繰る手が止まらなくなること請け合いのドラマティックな展開は、これぞロマンス小説、これぞハーレクイン・ディザイアの世界です!
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 力強くてやさしい指がゆっくりとケリーの腰をなでたりさすったりし始めた。筋肉の凝りがほぐれていき、ケリーは心地よさにため息を漏らした。大きくあくびをすると、座席にさらに深くはまりこみ、彼の手がもたらす甘美な感覚を楽しんだ。
 ほんのしばらくのあいだだけ、意識から過去を押しやった。そして未来への思いも同じように遠ざけた。集中するのは、いまライアンと一緒にいて、つきあっていたころと同じように彼がやさしく愛情深く接してくれているということだけ。
 ケリーはほほえみを浮かべたまま眠りに落ちた。
 飛行機が着陸体勢に入るころ、ライアンはケリーを揺り起こし、座席の背もたれを戻した。すっかりリラックスして気が抜けていたケリーは、飛行機がタッチダウンするあいだ静かに座っていた。
 十五分後、ライアンはケリーを守るように彼女に腕をまわし、飛行機を降りた。彼は荷物が積みこまれるのを確認しながら、待っていた車にケリーを乗せた。そして出発した。
 ふたりはビーチに面した豪華なホテルにチェックインした。ライアンが冗談交じりに言う――自分が共同経営するリゾートが完成したら、このホテルが五つ星じゃなくてふたつ星に見えるだろうと。
 ケリーにはそれがとても信じられなかった。案内された広々としたスイートは、ヒューストンでケリーが暮らしたアパートメントよりも何倍も大きい。
 ケリーはガラスの引き戸のほうを向いたカウチに腰を下ろした。そこから、目の前に広がるプライベート・ビーチに出られるようになっている。ライアンは荷物を片づけると、ケリーの前にひざまずき、靴を脱がせて足のむくみを調べ、かかと、足の甲、土踏まずとマッサージをした。ケリーの唇から至福のうめきが漏れる。
「気持ちいい?」
「とっても」
 彼は奉仕を続けながら黙ってケリーを見つめている。ケリーが丸いおなかに手を這わせると、その下で赤ちゃんがぐるっと動き、ケリーはほほえんだ。
「赤ん坊が動いてる?」ライアンが尋ねる。
 ケリーがうなずくと、彼は足をさするのをやめた。
「さわってもいい?」
 ケリーは彼の手を取り、さっき自分の手を当てていた部分に当てた。彼のてのひらの下でおなかがびくんと動くと、彼は驚いてぎくりとした。その顔に畏怖に似た表情が浮かぶ。
「信じられない。痛くないのか?」
 ケリーはくすくす笑って言った。「痛くないわ。いつも快適ってわけじゃないけど」
 彼はもうしばらくその場所に手を当てていたが、やがて名残惜しそうに立ち上がった。「パティオで夕食をとる? それともレストランに行きたい?」
「ここがいいわ。眺めがいいし、ほかに人がいないし」
 彼はうなずき、電話でルームサービスを頼んだ。
 三十分後、食事がカートで運ばれ、給仕係がパティオに食卓を調えた。ふたりは黙って食事をとった。沈む夕日と、遠くで砕ける波の音を楽しみながら。
 食事が終わると、ライアンにベッドに入るよう勧められたが、ケリーは疲れていなかった。たっぷり休めているし、静かなこの場所を探検してみたい気分だった。ビーチを散歩したいと言うと、ライアンははじめは躊躇したが、やがて同行することに同意した。
 ケリーは潮の香りのする空気を深く吸いこんだ。海風が長い髪を散らし、背中からふわりと浮かせる。サンダルを脱ぎ、それを手に取ろうとぎこちなく身をかがめると、ライアンが急いで拾い、脇の下に抱えた。湿った砂に爪先をめりこませ、泡立つ波に思いきって踏みこむ。泡が足の上を流れていく。
 ライアンも靴を脱ぎ、ジーンズの裾をまくり上げて、同じことをした。ケリーの体に腕をまわし、一緒に波打ち際を歩く。ケリーはもっと彼にすり寄りたい衝動をこらえた。
「遠くへ行かないほうがいい。君はこんなに長く立っていてはいけないことになってる。今回はたっぷりと休息を取る旅にするとドクターに約束した」
「半日立ちっぱなしよりずっと休めているわ」ケリーは軽く答えた。
 彼は眉を寄せて、ケリーのウエストを手でぎゅっとつかんだ。「二度とそんなことにはならないよ」
 ケリーは答えず、スイートに向かって引き返した。ふたりでパティオのドアから中へ入り、ケリーは毛足の長いビロードのカウチに腰を下ろした。
「何か飲む?」彼が尋ねる。
「ジュースがあったらお願い」
 彼はたっぷりつまった冷蔵庫をあさり、まもなくオレンジジュースのグラスを持って戻ってきた。
「ベッドに入ったほうがいい」彼がやさしく言う。「ひと晩ぐっすり寝たら、またゆっくり浜辺を探検できるから」
 疲れてはいたが、あまりにも申し分のない一日を、終わりにしてしまうのが惜しかった。まるで幸せだったあのころへ逆戻りしたかのようで……。
 ケリーはため息をついた。思い出を延々たぐるのはやめにしなければならない。彼と過ごす時間は一週間もあるのだ。過去は問題にしない一週間。彼が過去を忘れられるのなら、私も努力しよう。そして終わりが来たら、私の中にある彼の記憶も、それほど苦いものではなくなっているかもしれない。
 ケリーはとてつもなく柔らかいカウチから立ち上がろうとしてもがき、すっぽりはまりこんでいることに気づいて笑った。ライアンが手を貸してくれ、ようやく立ち上がることができた。
 ケリーはしばらくのあいだ彼の前に立っていた。彫りの深い顔をゆっくりと眺める。無防備に彼を見つめることを自分に許したのは、初めてだった。
「おやすみなさい、ライアン」ケリーはささやいた。
 彼はまるでキスをしたがっているように見える。もしも彼がそうしたら私はどう反応するだろうか。でもやがて彼は言った。「おやすみ、ケリー。ぐっすり眠りなさい」
 ケリーは自分の寝室に向かった。後悔の小さなとげがちくちくするのを感じながら。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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