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国王の許されぬ愛人

国王の許されぬ愛人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

 愛を知らない彼女が惹かれたのは、愛を否定する非情な王。

レクシーは生まれてすぐに施設に預けられ、愛を知らずに育った。沿岸警備隊のヘリコプターのパイロットとして働く今は、苦楽をともにする仲間が彼女にとっての家族であり、救援活動で1人でも多くの人を救うことが生き甲斐になっていた。ある嵐の日、横転したヨットの救助に向かったレクシーは、ヨットの持ち主の尊大な男、ゼンハブ王国の国王カディルに侮辱され、ショックを受ける。自分をか弱い女性だと思ったことはないけれど、なぜ彼の前ではまるで小娘のように怯えてしまうのかしら?カディルは狙った獲物は逃さないとばかりにレクシーの唇を奪うと、半年間、彼の専属パイロットになるよう迫った。

 ■初めて味わう感情の高まりに戸惑うレクシー。シャンテル・ショーが描く切ないロマンスです。

抄録

「ロジャー・ノリスから聞いたが、君は今日で沿岸警備隊を辞めるそうだな」
「契約は一年間だったの。でも、救助ヘリコプターが二機になれば、復帰できるかもしれないわ」
「つまり、次の仕事はまだ決まっていないのか?」気がつくと、カディルの視線はレクシーに釘づけになっていた。あまりの美しさに目をそらすことができず、彼は咳ばらいをした。「ここへ来てほしいと言ったのは、君に提案があったからなんだ」
「提案って、どんな?」カディルの目が意味ありげに光るのを見て、プレイボーイとしての彼がどんな生活を送っているかという記事を思い出し、レクシーの全身がさらに熱をおびた。
 息が浅くなり、瞳孔が広がる。そのようすに気づかれまいと長いまつげを伏せたものの、手遅れだった。値踏みするようにゆっくりとレクシーを眺めまわしていたカディルは、体に張りついた服の下で胸の先が硬くなっているのにしっかり気づいていた。
 真偽の疑わしいタブロイド紙の記事のことを口にした際、レクシーの顔にはさげすみの表情が見て取れた。ヨットの事故にかこつけて書かれていた私生活は、何年も前の記事の焼き直しか、あるいはひどく誇張された内容にすぎない。レクシーに言い訳をするつもりはまったくないものの、あんな文章で自分という男を判断されるのは不本意だった。
 そして今、身を守るように胸の前で腕を組むレクシーを見ていてわかったが、彼女が敵意をあらわにするのは、僕に惹かれている事実をけんめいにごまかそうとしているからだ。冷ややかな態度で接すれば、僕に対して欲望を感じていることを隠せると思っているのだろう。しかし、気のないそぶりをしながらもつかまえてほしいと望む女性を追いかけるゲームをいやというほど繰り返してきたせいで、カディルはごまかされなかった。
 それでも今回は今までとは違う。ゼンハブに戻ったら父との約束を守り、僕は決められた花嫁と結婚する。レクシー・ハワードに欲望は感じるが、実際に彼女をどうこうするつもりはない。
「座らないか? そして、気を楽にしてくれ」
 カディルがソファに座り、その背に両腕を広げて置いた姿に、レクシーは目を奪われた。窓から差しこむ明るい秋の光を受けて、大きな肩は銅版のように輝き、胸は男性であることを強調するように、つややかな黒い毛におおわれている。
 心臓が苦しいほどの勢いで打っているのに気づき、レクシーは大げさな動作で腕時計に目を向けた。「もう行かないと。七時半に約束があるから、夕方の渋滞に巻きこまれたくないの」
「デートなのか? 僕のために、わざわざセクシーな服を着てきたのかと思ったよ」
 レクシーは顔がかっと熱くなり、こわばった口調で言った。「これはセクシーな服なんかではないわ。妹の婚約を祝うパーティに出るための、カクテルドレスなの」カディルのためにおしゃれをしてきたという言葉は腹立たしかったけれど、彼の黒っぽい目がきらりと光ると、わくわくする気持ちが全身を駆け抜けた。
「パーティまでは二時間もある。そんなに急がなくても大丈夫だろう」カディルはすっとソファから立ちあがると、ジャングルキャットのようにすばやく優雅にレクシーに近づいた。目の前にそびえるように立たれたので頭を後ろに傾けると、強烈な視線が上から向けられていた。この熱は彼の体から発散されているの? あるいは、発散されているのは私の体から? 自分が女であることをはっきりと意識して、レクシーはうろたえた。
 近くに立たれただけで動揺しているのを隠そうと、彼女は早口で説明した。「妹の婚約者の両親が住むヘンリー・オン・テムズまでは一時間はかかるし、万が一にも遅れて、レディ・フェアファックスに不快な思いをさせたくないの」
 電話をかけてきた妹アテナのひどく緊張した口調を、レクシーは思い出した。婚約者チャールズの両親は、息子の選んだ相手に満足していないようだと、妹は不安そうに打ち明けた。彼らは、自分たちと同じように貴族の血を引く娘を望んでいたらしい。“婚約パーティは、私がチャーリーのいい奥さんになれて、彼の仕事関係のお客様のおもてなしもきちんとできると証明するチャンスなの”アテナは熱のこもった口調で語った。
 そそっかしい妹がきちんと誰かをもてなす姿など、なかなか思い浮かばない。チャーリー――チャールズ・フェアファックスは、アテナにとって本当にふさわしい相手なのかしら?
 そのとき、カディルの声がレクシーのもの思いを破った。低く深みのある声は、恋人の愛撫のようだ。次の瞬間、彼のこぶしにそっと頬を撫でられ、彼女は息をのんだ。カディルはずうずうしくもレクシーのパーソナルスペースに侵入していたが、彼女の足は床に根を下ろしたように動かず、彼から離れることができなかった。
「満足に話もしないで帰ってしまうのは、残念でならないな。お互いに都合のいい時間に、もう一度会わないか?」
 レクシーは乾いた唇を湿らせ、その手に乗ってはだめよと自分に命じた。「陛下……」
「僕のことはカディルと呼んでくれ、レクシー」
 かすれた声でやさしく名前を呼ばれると、カディルの口から発せられる一つ一つの音に愛撫されているような気がした。
 カディルのぎらついた視線にレクシーはとろけそうになったが、かすかに残っていた正気の部分が、このまま彼の好きにさせていいのかと警告した。この人は名うてのプレイボーイだ。今までこういう類の男性たちは、迷わず撃退していたじゃないの。
 もちろん、ゼンハブの君主にも好きにはさせない。自分にそう言い聞かせてはみたものの、興味を示されたこと自体は悪い気分ではなく、スティーヴンの裏切りで傷ついたプライドが癒される気がした。無意識のうちに、レクシーはカディルの方に体を傾けて顔を近づけていた。彼の唇が唇に触れると思うと、心臓が激しく打ち、自然にまぶたが閉じる。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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