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運命の王女をさがして

運命の王女をさがして


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

使用人同然の娘に知らされる真実――わたしが東欧の王女? ベストセラー作家が贈る、珠玉のロイヤル・シンデレラ物語!

両親を知らぬまま、幼くして酒場の夫婦に引き取られたターニャは、毎日のように杖で打たれてこき使われてきた。20歳になった今では身を守るため、美しい顔立ちに老けた化粧を施して店に出ているが、ある日、立派な身なりの紳士たちが現れて思いがけないことを告げる。自分たちは東欧の小国から来た国王と護衛で、ターニャこそ行方知れずの王女――そして、王の許嫁に違いないと。もちろんターニャには信じられない話。しかもその中の一人、顔に傷のある悪魔のような魅力の男はゆうべ、ターニャを娼婦と間違えて買おうとしたのだ!

■ついにMIRA文庫に初登場、人気作家ジョアンナ・リンジーのロイヤル・ロマンスです。個性的な登場人物たち、華やかでドラマティックなストーリーが魅力のリンジー作品。
19世紀初頭、東欧の国の新王が許嫁の王女をさがしに米国に赴くところから物語は始まります。両親の顔すら知らないまま酒場夫婦にひきとられ、身を粉にして働くヒロイン。そこへ突然、見目麗しい紳士が現れ「あなたこそ東欧の国の王女だ」と告げたのだから大変。もちろん、なかなか信じることができません。もしも自分だったら……やはり信じられそうにはないかも。
ちょっぴり(いや、かなりの)ひねくれ者ヒーローと惹かれあいながらももつれあう、海をわたるふたりの恋物語のゆくえ。見守っていただければ幸いです!

抄録

 肘かけ椅子に座って待っていると、不安が募ってきた。ターニャはまだ完全にあきらめたわけではなかった。二度目の逃亡は、一度目と同様に失敗に終わった。たとえステファンに――ぼこぼこにされる? ――ことがあっても、まだ歩けるようなら、あきらめずに逃げてみせるつもりだった。「好き嫌いより義務が優先される」と言ったワシーリーを見誤ったせいで失敗した以上、四人のことを勝手に決めつけるのはよそう。蒸気船に乗り遅れることを恐れて、ターニャを追うのをあきらめるだろうと思ったのは間違いだった。彼らはターニャを連れ去るためにすでに相当な努力を強いられているのだから。
 それでもまだターニャにはなぜ自分が選ばれたのか納得がいかなかった。どこかの売春宿の主人がエキゾチックな踊り子がどうしてもほしいと、あの四人を雇ったとか? それなら、ターニャがおとぎ話を信用しなくても、さんざん手こずらせても、あきらめなかったことが理解できる。それにしても、小娘一人のために、ここまで手間やお金をかけるだろうか? ほかの客室にも、あの男たちの馬鹿げた夢物語を信用して喜んでついてきた娘たちが閉じこめられているのだろうか?
 蒸気船が波止場に着いたときに逃げだそうか? いや、そんなに待ってはいられない。ナチェズから離れれば離れるほど、引き返すのが難しくなってしまう。
 ステファンはぼこぼこにたたきのめす気なのだろうか? ターニャは物思いに沈んだ。
 ほどなくして嵐が訪れる前に、ターニャはその確実な前兆を感じ取ることができた。「サシャ、今は外してくれ」命令する声がして扉が開き、ステファンが静かに扉を閉めた。
 こんなに穏やかに入ってくるなんて、どうも怪しい。これまでどおり、ステファンには扉を乱暴に閉めてもらいたかった。バタンと音をたてて閉めるだけで、わずかでも怒りのエネルギーが発散されるだろうから。一目見るなり、ステファンがどんな気分でいるのかわかった。川に突き落とされたのだ。完全に頭にきている。どきりとするような黄金の炎の揺らめく瞳をきらめかせ、拳を握りしめ、歯を食いしばっている。そのせいで傷跡は白くなってさらに目立っていた。全身が殺気立っている。懸命に自分を抑えているのだろうが、大して効き目はないようだ。
 足元にブーツはなく、胸元を飾るクラヴァットもない。上着もない。誰かにタオルをもらって顔と髪を拭いたのだろうが、そのタオルは首にかけられたまま忘れ去られている。ローン地のシャツは濡れて体に張りつき、胸や腕の筋肉をはっきりと浮きあがらせ、ターニャが想像していたとおりの肉体美を見せている。恐ろしいほど背は高く、体は引き締まって固く張りきり、信じられないほど男らしくたくましい。そして烈火のごとく怒り狂っている。
 ターニャは心ならずもステファンの握りしめた拳へまた視線を運んでしまった。まるで巨大な金槌のようだ。これでぼこぼこにする気だろうか? ぼこぼこにする気なのだ!
 気が動転し、顔から血の気が引いた。ターニャはさっと立ちあがり、椅子の後ろへ逃げた。その動きでステファンも動いた。自制心は消え去り、怒りのあまり言葉もないようだ。その証拠に、さっきから一言も言葉を発していない。ステファンはじりじりと距離を詰めてくる。ターニャが思わず悲鳴をあげそうになったとき、恐ろしいことにターニャにとって唯一の盾だった椅子が荒々しく横へ押しやられた。あっと声をあげ、哀れにうめいたとたん、持ちあげられ、空中に投げられた。着地したところが柔らかく弾んだことで、ベッドの上に落とされたのだとわかった。
 投げられて壁にめりこんだわけではないとほっとしたのも束の間、上から壁が落ちてきた。ステファンが覆いかぶさったのだ。
 突然のしかかられ、ターニャは息ができなかった。そのうえ、さらに息を奪われた。ステファンががむしゃらにターニャの唇を求めてきたのだ。罰するようなキスではなく、あまりに一途に求めるそのキスは、無垢なターニャには計り知れないものだった。驚きすぎて、何がなんだかわからない。どうしてこの人はこの大きな拳を振るおうとしないのだろう?
 ターニャは本能的に気づいた。ステファンが振るおうとしているのは拳ではなく、唇なのだと。ほっとして笑いだしそうになったが、奪われた唇から笑いが漏れることはなかった。笑いの衝動は生まれたとたんに消え去った。キスにはふまじめなところはなく、みだらに探ろうともしてこない。けれどもターニャが終わりにしようとしても、終わらせない勢いがある。ステファンは本気だ。このまま怒りに任せて先へ進もうとしている。
 ターニャはできるかぎりの抵抗を始めた。ステファンが覆いかぶさっているために、それほど抵抗はできない。それでもステファンをたたき、押し、髪の毛を引っぱった。ステファンは何も感じていないようにキスを続ける。ターニャの口を占領し、ステファンの息がターニャの息になり、ステファンの味がターニャの味になっていく。抵抗の勢いは衰え、体力は消耗していくのに、興奮だけはかきたてられる。ターニャはもがいているうちに力を使い果たし、ステファンの猛攻に無抵抗に身をさらすことになってしまった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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