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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・スペシャル・エディション

秘めやかな情熱

秘めやかな情熱


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・スペシャル・エディション
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリザベス・ベヴァリー(Elizabeth Bevarly)
 ニューヨークタイムズのベストセラーリストにも載る人気作家。栄えあるRITA賞へのノミネート、物書きなら誰もが欲しがる全米読者選賞の受賞など、華々しい経歴を持つ。ケンタッキー州ルイヴィル大学を卒業。作家になる前は、映画館、レストラン、有名百貨店などで働いた。医療関係の出版物の編集をしていたときは、難しい用語の綴りをおぼえたが、もう二度と使わないという。余暇には古い映画や老舗、風変わりなアンティーク、ホット・ジャズ、さらにホットなサルサを楽しむ。

 マーナ・マッケンジー(Myrna Mackenzie)
 高校時代からの恋人だった夫と、二人の息子たちとともにシカゴ郊外に住む。作家になる前は教師をしていた。すぐれた作家に贈られるホルト・メダリオン賞受賞。ごく普通の人たちが、心に描いている夢を実現させていく物語を書くのが大好きだと語る。

解説

●『恋はハプニング』(エリザベス・ベヴァリー著)
州知事の娘レイニーは、今日もパーティで愛想を振りまいていた。つねに衆目を集める彼女の記事が、新聞を飾らない日はない。ふと会場を離れ、一人テラスへ出たレイニーは、そこに憧れの人、マイルズがいることに気づいた。なんてラッキーなの! そのとき、瞬く閃光が二人を包んだ。

●『ボディガードの誘惑』(マーナ・マッケンジー著)
玄関のドアを開けた瞬間、ナタリーは凍りついた。大柄で危険な雰囲気の男性が、ドア口をふさぐように立っている。殺人事件の重要証人である彼女に護衛がつくことは聞いていた。でも、まさかこの人じゃないわよね? 不敵な笑みを浮かべて彼は言った。「ぼくはきみを守るために雇われた」

抄録

 自宅ではシングルのベッドルームではなく、スイートルームを独り占めしているし、クローゼットには両親と一緒に出席するパーティに備えて、何十着ものドレスや靴がぎっしりと並んでいる。月に二回はサロンへ通い、髪とネイルの手入れを欠かしたことがない。バックストリート・ボーイズがツアーでダラスにやってきたときにはメンバーに会わせてもらったし、ハリウッドの撮影現場を訪れて大物俳優に会ったこともある。一人で遊びまわることはできないけれど、テキサスの社交界ではレイニーはちょっとした有名人なのだ。
 それに、十八歳になったら大人の特権を大いに利用して独立し、社会で活躍しようと心に決めていた。ところが、自分の足でしっかり立てるよう数年前から懸命に努力しているにもかかわらず、レイニーは相変わらず“州知事の娘”という肩書をはずすことができずにいる。
 彼女はそのことがいささか不満だった。
 そのせいだろうか。レイニーはマイルズ・フォーチュンには名前を教えないでおこうと心に決めた。そう、フルネームは。自分の正体を知られていないということが、なんだか急に楽しく思えてきたのだ。知事の娘として振る舞わずにすむのは、なんて楽しいのだろう。どこにでもいる平凡な娘のふりをしていられるというのは、なんて愉快なの。
「レイニーよ」まだ手を握り合っていることに気がつきながら、彼女は答えた。「わたしは、レイニー」
“名字は?”とマイルズの顔が促している。それでもレイニーが黙っていると、彼は彼女が初対面の男性に対して警戒しているのだと解釈したらしい。マイルズは、それ以上問いつめようとはしなかった。そんな彼の態度に、レイニーはますます好感を抱いた。
「レイニーか」マイルズは微笑を浮かべながら言った。「すてきな名前だ」
 すてきなのは名前だけじゃない、とその顔が告げている。だが、やはり口に出しては言わなかった。レイニーはますます彼が好きになった。
「ありがとう。正確にはエレインというのよ。祖母の名前をもらったの」
「きみにぴったりの名前だ」マイルズは微笑を浮かべたまま、手も離そうとしない。
 だが、レイニーは少しも気にならなかった。
 わたしにぴったりとは、どちらの名前のことかしら――そう考えると、愉快な気分になる。祖母からもらった名前ではあるが、エレインとレイニーではイメージがまったくちがうと彼女は思っていた。
 エレインという名前は優雅で上品で、知的なブルネットという印象だ。いっぽうレイニーという名前には単純で陽気で、鮮やかなドレスがよく似合い、パーティでは最後の最後まで踊っているようなお気楽娘のイメージがある。わたしにはレイニーという名前のほうが合っているわ、と彼女は常々思っていた。きっとマイルズが似合うと言ってくれたのも、こちらの名前のほうにちがいない。
 二人は握り合った手を互いに離そうとしなかったが、気にすることはないわ、とレイニーは自分に言い聞かせた。マイルズの手の感触はとても心地よかったし、男性と手を握り合ったのはずいぶん久しぶりだ。
「きみも、知事のパーティから抜け出してきたというわけか?」さっきパーティ会場で交わした無言の乾杯を思い出したのか、マイルズが尋ねた。
「まあね。少し混雑してきたから」レイニーは答えた。
 握り合った二人の手にようやく視線を落とし、彼女は意味ありげな目でマイルズを見あげた。マイルズはそんな彼女のしぐさをまねてからにやりと笑みを浮かべ、残念そうに手を離した。レイニーはしぶしぶ手を引っこめた。
 まるで瞬間接着剤で接着されたかのように、二人きりで向かい合って立っているのが、ふいに気まずく感じられた。出会ったばかりの男女がこんなふうに見つめ合って立っているなんて、どこか不自然だわ。マイルズは離した手をスラックスのポケットにつっこみ、もう片方の手を上げると、琥珀色の酒が入ったグラスを口元へ運んだ。
 そんな彼のしぐさをレイニーはうっとりと見つめ、胸に焼きつけた。ガラスの天井から差しこむ月明かりが、彼の中指にはめられた重厚感のあるオニキスの指輪につややかな輝きを与え、クリスタルのグラスに反射した光がゴールドのカフスボタンをきらめかせている。
「それで、きみはどうして知事のパーティにやってきたんだい?」マイルズが尋ねた。
 そうだわ。パーティの話をしていたんだった――レイニーははっと我に返った。ほんの数分の間に、体がかっと火照り出している。
「両親のつき合いよ」ありがたいことに、これは決して嘘ではない。「あなたは?」両親についてつっこんだ質問をされないうちに、慌てて尋ね返した。
「知事の選挙参謀のデニス・ストーバルが大学時代の友人でね」マイルズが答えた。「たまたま今週、商用でオースティンに来たので、いつものように彼に会おうと連絡を取ったんだ。それで、今夜ここで会おうと誘われたというわけさ」
 そうそう、たしかさっき母から聞いたはずだわ。マイルズは、デニスとジェニー・ストーバル夫妻の友人だと。
「それじゃ、もうすぐオースティンへ戻るのね」レイニーは言った。「お住まいはたしか……」
 フォーチュン家の人々はほとんどがレッドロックに住んでいることを、レイニーは知っていた。サンアントニオから三十キロほど離れているのでベッドタウンとは呼べないが、なかなか魅力的な町だ。レイニーも数回訪れたことがある。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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