マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

ホテル王の非情な求愛

ホテル王の非情な求愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 メラニー・ミルバーン(Melanie Milburne)
 シドニー郊外で生まれ、現在はタスマニアに住む。十七歳のときに初めてハーレクインの小説を読み、生涯ロマンス小説を読み続けること、そして、背が高く日焼けしたハンサムな男性と結婚することを決心した。毎日をもっとロマンティックにする秘訣は、ロマンティックな男性と結婚することだと語る。二度目のデートで結婚を決めた外科医の夫との間に二人の息子がいる。

解説

彼をボスとは呼べない。かつて私の純潔を奪った放蕩者を。

大切なものを失うのはこれで二度目だ。イザベルの心は折れかけていた。また彼に奪われるの? スペンサー・チャッツフィールド──ホテル王一族の息子で、女性の噂が絶えない彼に、イザベルは身も心も捧げた。だがすぐに弄ばれただけだと気づき、自ら別れを告げたのだ。彼の子を身ごもっていたというのに……。あれから10年。父のホテルを継承するというイザベルの夢を、スペンサーはやすやすと横取りしていった。しかも彼が新しいボス。その命令に背くことは許されない……。

■元恋人で、宿敵一族の御曹司であるヒーローへの憎しみと、消しがたい情熱との狭間で揺れ動くヒロインの心情をメラニー・ミルバーンが描きます。

抄録

 イザベルは彼をにらみ、口だけ動かして言った。「よくもそんな……」
 彼女を制するかのようにスペンサーは片手を上げた。「意気投合しているよ。ああ、ぼくの言葉として引用してかまわない」電話を切り、ズボンのポケットにしまう。「記者だ。今日だけで五十件はかかってきたよ。まだ昼にもならないのに」
 イザベルは唇を引き結んだ。「わたしがこれを喜んでいるだなんてよく言えるものね。どうかしているんじゃない? 誰が信じるものですか」
「きみはマーケティングというものを知らないのか?」
「なんの権利があって、あなたがわたしの代弁をするわけ?」憤然としてイザベルは肩をいからせた。「わたしは自分で独占インタビューを受け、あなたがどんなにひどい男か暴露してやるわ」
 スペンサーの口元がこわばり、青い瞳も火打ち石のような硬さを帯びた。「このホテルに人が来るほうがいいだろう? それなら、ここのすばらしさを見せてやらないと。ゴシップやうわさで広めるんじゃなく、こちらから引き寄せるんだ。それがプロだよ、イザベル。ここはいいホテルだが、最大限の見せ方をしていない」
 いっそう腹立たしげにイザベルは彼をにらみつけた。感情が高ぶり、胸の鼓動も激しくなる。「わたしの仕事は水準に達していない――そう言いたいの?」
 やれやれとばかりに、スペンサーは天井を仰いだ。「なあ、イザベル、座って話そう。お互い大人として――」
「今度は子供扱いする気?」イザベルは遮り、腰に手をあてがった。
 スペンサーが深く息を吸い、ゆっくりと吐いた。「自分の思いどおりにならないからといって癇癪を起こすのは、子供と同じだ。ぬいぐるみを投げつけるのはやめて、このホテルを率いる仕事に取りかかろう」
 イザベルは彼に詰め寄り、厚い胸を指で突いた。「今の発言は取り消して。この場で」
 だが、スペンサーは不動の姿勢で立ち、一歩も引かない。彼の揺るぎないまなざしは、湖面を波立たせる風のようにイザベルの腹部を震わせた。「事実を言ったまでだ。謝るつもりはない。きみは大人になるか、出ていくか、どちらかだ」
 彼の胸に指を食いこませてイザベルは言った。「出ていってほしいの? だったら、わたしを抱きかかえていくしかないわね……ちょっと! 何をしているの? 下ろして!」
 消防士のように彼女を肩にかつぎ、スペンサーはスイートルームのドアまで歩いた。
 イザベルは彼の背中や肩を拳でたたき、足をばたつかせた。癇癪を起こした子供みたいだと自分でも思ったが、気にしてはいられない。こんな扱いを受けるなんて。じゃがいもの麻袋さながらに運ばれていくところをスタッフに見られたりしたら、一生の恥だ。スペンサーへの憎悪が胸にこみ上げ、今にも爆発しそうだった。イザベルは彼の背中に思いきり爪を立て、心につけられたのと同じくらいの傷を負わせようとした。
 スペンサーが荒々しく悪態をつき、イザベルを乱暴に床に下ろした。彼女が頭から落ちずにすんだのは、スペンサーが自分の体に沿わせて下ろしたからだ。
「山猫みたいなまねはやめろ」彼はうなり声でたしなめた。
 イザベルは肩で息をしていた。あのハンサムすぎる顔から傲慢な表情を消し去りたい。けれど彼の両手に阻まれていた。手首に巻きついた指は手錠さながらだ。脈がいっきにはね上がり、肌は熱を帯びて、五感が狂おしくかきたてられる。早くスペンサーから離れなければ、恥ずかしい姿をさらす羽目になる。イザベルは彼の脚のあいだに膝で一撃を加えようと試みた。
 だが、その前にスペンサーは体を使って彼女の背中をドアに押しつけた。両の手をイザベルの頭の両側につき、彼女の動きを封じる。
「妙な考えは起こさないことだ」
 イザベルはすさまじい怒りを込めて彼をにらんだ。ミントの香る温かな息が自分の息とまじっても、気にするまいとした。固く結ばれた唇にも決して引かれまい。下腹部に彼の張りつめた高まりを感じても、必死に無視した。にもかかわらず、生々しい欲求が突き上げてくる。それは彼以外には誰もかきたてることができないものだった。うねる大波のように止めようがない。今、それが全身を駆け巡り、イザベルをのみほそうとした。彼を拒もうとする心の防波堤も崩されそうだった。
 興奮のあかしがさらに熱く強く感じられると、イザベルの脚のあいだがどうしようもなくうずいた。みだらな緊張があたりの空気を震わせている。
「昔のあなたはこんな野蛮人じみたまねはしなかった」イザベルは指摘した。「力ずくじゃないと相手にしてもらえなくなったの?」
 スペンサーの視線が彼女の口まで下りてきた。手首をつかむ手がほんの少しゆるむ。
「今、たまらなくきみにキスをしたいが、なぜか危険な気がする」
 イザベルはからかうように片方の眉を上げた。「わたしに目玉をくり抜かれそうだから?」
 彼は低く笑った。「ほかの危険もある」イザベルの顎の先を持ち上げ、下唇に親指を添えると、スイッチのようにそこを何度も押した。「キスだけじゃすまなくなりそうだ」
「平手打ちを食らうとか?」
 ほほ笑むスペンサーの口元が悲しげにかしいだ。「ああいう事情では、平手打ちも当然だったかもしれないな」

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。