マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・セレクト

気高き愛人【ハーレクイン・セレクト版】

気高き愛人【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

サリーは冷酷な資産家である父のもとから独立し、いまは博物館研究員として働いている。施設にいる病床の母を見舞いながらの生活は楽ではなかったが、無関心な父の代わりを務められるのはサリー以外にいなかった。ある日、サリーは父親のオフィスでひとりの男性と出会う。買収王と呼ばれる豪腕な実業家ザック・デルッカだった。まるで獲物を狙う猛獣のようなまなざしを向けてくる彼に、サリーは嫌悪感を覚えた。わたしをなんだと思っているの? 答えは数日のうちに明白になった。サリーの最も望まないかたちで。名うての買収王が父親に要求したのは、そう、彼女の身体だったのだ。

■近年のHQロマンスを代表する作家の一人、ジャクリーン・バード。初版当時の編集担当が絶賛する愛人契約がテーマのロマンスです。どんな困難も健気に乗り越えてきたサリーは、ザックの脅迫的な誘惑にも、せいいっぱい反発しようとしますが……。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「いいや、残念なんかじゃないさ。きみはとてもエキゾチックだから――いや、違うな」ザックは頭を振り、自分の考えを表現するのにぴったりの英語を懸命に探した。「きみにはほかの女性にはない独特の美しさがある。そう、その神秘的な魅力には、サリーなんて平凡な名前は似合わない」彼は満足そうに言った。「サルマキスのほうがぴったりだ」
 表情の豊かなサリーの瞳に愉快そうな色が浮かぶのを、ザックは見届けた。この瞳が冷たいなんて、どうして思ったのだろう?
「わたしはサリーのほうが好きよ。実際、今までずっとその名前で通してきたし。だから覚えておいて。サルマキスなんて呼んだら、絶対に返事をしませんからね」
「わかったよ、サリー」ザックはうなずいてからつけ加えた。「それにしても、きみのお母さんが娘にそんな風変わりな名前をつけることを、お父さんはよく認めたものだな。金を扱う仕事に就くような連中は、概して想像力のかけらもないものだが」
「認めるも何もないわ。父は母を妊娠させたから責任を取って結婚しただけ。母は十八歳で、父は三十五歳だった」
 作り話などではない。過密スケジュールの仕事と母の病状に対する心労のせいで心身ともに疲れきっていて、取り繕っている心の余裕はなかった。
「本当のところ、父はこれ以上子供は望めないと医師から宣告され、男の子を持つことができないとわかって落胆していたの。だから娘のわたしにつける名前なんてどうでもよかったのよ」
 淡々としたサリーの告白から察するところ、そんな父親の態度はどうやら彼女の心に深い傷を与えたようだ。わが子に対してあからさまに無関心な態度を示すなんて、親としてあるまじき行為だ。だがそもそも、ナイジェル・パクストンというのは会社の金を使いこみ、妻に対して不貞を働くような男だ。そんな人間に思いやりあふれる態度を期待するのが無理というものだ。
「そろそろ出ましょうか」サリーの声がザックの物思いを破った。「残っているお客は、わたしたちだけだわ」
 気がつかなかった。あらためて店内を見回すと、確かにサリーの言うとおりだ。
 周りがすっかり見えなくなるほど一人の女性に心を奪われたことなど、今までにあっただろうか、と彼は自問した。ない――その事実に気づき、ザックは慄然とした。こんなことはこれが最初で最後だ、と彼は厳しく自分に言い聞かせた。サリーは美しいだけでなく危険な女だ。それに、ぼくにはふさわしくない……。
「コーヒーを飲み終えたら、行こう」ザックはうなずき、給仕長を手招きした。クレジットカードとチップの紙幣を数枚手渡し、コーヒーを飲み終えると席を立った。
 出だしは順調とは言えなかったものの、食事はなかなか楽しかったし、サルマキスのことをいろいろ知ることができたのは収穫だった――実際、知らなくてもいいことまで知ってしまった、とザックは思った。
 オフィスで小耳に挟んだ会話の内容から察するところ、サリーは父親の不倫に気づいており、自分よりも愛人との時間を優先している父親に腹を立てているのだろう。だから今日、いきなりオフィスに現れてランチに連れていってとせがんだのだ。
 どうやら愛らしいサルマキスはお金だけでは満足できない性分らしい。幼いころから、男にちやほやされないと気がすまないたちだったのだ。生まれたばかりの彼女につけられた名前に父親がなんの関心も示さなかったという話を聞けば、サリーのわがままな振る舞いも理解できないわけではない。
 それにしても、甘ったれのわがまま娘はぼくの好みじゃない、とザックは自分に言い聞かせた。二度と彼女に会うのはよそう。
 彼はちらりとサリーを見下ろした。とてもはかなげなその様子を見ていると、それが演技であろうとなかろうと、ザックはこみあげてきた衝動を抑えることができず、彼女の腰に腕を回してレストランの外へ促した。サリーは彼の手を振り払おうとはせず、二人は数メートル離れた場所に止まっているリムジンまで寄り添うように歩いていった。
 車内へのエスコートは運転手に任せた。
 なんて抱き心地のいい女だろう――後部座席のサリーの隣に座りながら、ザックは手放した彼女の体の余韻に浸っていた。だが、やけどを負いたくなかったらこの女にはかかわらないほうが身のためだと、男の本能が告げていた。
「どこまで送ればいい?」彼はたずねた。「ボンド・ストリート? それともハロッズかな?」かすかな皮肉をこめた口調で、思いついた場所を言ってみる。
「ハロッズで結構よ」
 やっぱり。
 女はいつだって買い物をしていればご機嫌なのだ。
 サリーが穏やかな青い瞳で彼を見上げ、ザックはとうとう我慢できなくなった。彼女の腰に腕を回し、顔にかかった滑らかな髪を指ですくいあげた。
「何をするの?」サリーが小声でつぶやいた。
「わかっているだろう」かすれた声で言い、ザックはふっくらとした唇に自分の唇を押し当てた。
 一度だけだ、とザックは胸の中でつぶやいた。この唇を味わってからでなければ、彼女を行かせることはできない……。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。