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遅咲きの花と貴公子

遅咲きの花と貴公子


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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解説

つつましい蕾は初めて、愛のせつなさと激しさを知り――RITA賞受賞作家L・カーライルが贈る、極上ヒストリカル。

1850年、英国。ある晴れた日に馬で出かけた男爵家長女ケイトは、見目麗しい紳士と衝突し、脳震盪を起こさせてしまう。慌てて屋敷に連れ帰るが、目を覚ましたとき彼はいっさいの記憶を失っていた。持ち物からわかったのはエドワードという名前と、彼が裕福だということだけ。医師にも絶対安静と告げられしばらく屋敷で介抱することになるが、彼はなぜか地味で冴えないケイトに興味を持ったらしく、誘惑めいた視線を向けてくる。どこの誰かも知れない人に惹かれてはだめ――そう自分に言い聞かせながらもケイトの胸は甘く疼き……。

■MIRA初登場! RITA賞受賞作家リズ・カーライルのヒストリカル・ロマンスをお届けします。1850年、英国サマセット。ヒロインのケイトは28歳のしっかり者で、気まぐれな妹と母に振り回されてばかり。結婚はとうに諦めていたのですが、ある日、事故を起こして記憶を失った見目麗しい男性を屋敷で介抱することに。自分のことを地味で冴えないと思っているケイトは、彼が求めてくるのは一時のことと言い聞かせますが……。
まっすぐな性格でヒーローの癇癪もどこ吹く風と受け流し、軽妙な切り返しをみせるケイトにヒーローが惹かれるのはよくわかる気がします。熱いロマンス、ヒーローの過去に秘められた謎、魅力的な脇役や犬(!)も登場する、読みどころのつまった本作をどうかお楽しみください!

抄録

「一時期、婚約していたことがあるの」ケイトは打ち明けた。「相手はたまたま古くからの家族の友人で、わたしは幼いころから彼に憧れてたわ。だけど結局、わたしたちはお互いに合わないと結論をくだしたの」
「つまり、きみがそう結論をくだした?」エドワードが言う。
「ええ、そう。わたしが決めたんだと思う」
「哀れなやつめ」エドワードの笑みが薄くなった。「かまどと家庭の女神ヴェスタに捨てられて、きっと一生立ちなおれないだろう」
「あら、そんなに感傷的な話じゃないのよ」
「じゃあ、きみの色男はあっさり先へ進んだのか?」エドワードの陽気な口調が戻ってきた。「よそで恵まれた結婚をして、わんさと子どもをもうけたか?」
 その言葉に、ケイトは目をそらした。
「どうなんだ?」エドワードが期待をこめて言った。
 ケイトが見あげると、エドワードは会話の内容よりずっとまじめな顔で見つめていた。
「彼は結婚しなかったの」ケイトは答えた。「推測だけど、あの人は自分より愛せるだれかに出会えなかったんじゃないかしら」
「きみでもだめだったのか?」
「もちろんわたしじゃだめよ」
「ああ、そういうことならきみは賢い選択をしたな、うるわしきヴェスタよ」
 彼の口調のなにかに落ちつかなくなって、ケイトはまた椅子から立ちあがった。「モットが戻ってきたか、たしかめたほうがいいわね」そう言って窓に歩み寄った。
 エドワードが椅子の上で向きを変え、ケイトの姿を目で追った。「モット?」
「わが家の馬丁頭よ。今朝、あなたの馬で出かけさせたの。あなたがどこから来たのか突き止めなくちゃいけないから」
 そして次の列車であなたをそこへ送りださなくちゃいけないから……。
 けれどそれは声に出しては言わなかった。本気でそう思ってもいなかった。それこそ問題の半分だ。エドワードにも気づかれているかもしれない。真剣なまなざしが部屋の向こうから追ってくるのを感じる。彼の言葉の重みを実際に肌で感じる気さえする。
 わたしは賢い選択をしたの?
 それについて考えながら、ケイトは一本の指でカーテンを開け、眼下の中庭を見るともなく見つめた。当時は自分の選択に自信があった。自分が見たこと、それが意味することに自信があった。レジーに愛されていないということに。
 だけどケイトは愛されていなくてはならなかった。どうしても。自分はレジーを愛していると思いこみもした。けれど本当に? ある意味では愛していた。けれど恋は? いまでは馬鹿げたことに思えた。
 それに、ルイーザおばがしょっちゅうロンドンからよこす噂によれば、ケイトは運良く難を逃れたらしい。というのも、レジーの悪名は伝説的なものになっているらしいのだ。彼が地所を切り盛りするやり方はひどいものだった。結婚していたら、最後には間違いなくベルコームも共倒れしていただろう。
 だったらどうしてこの数年で、自分の選択に疑問をいだくようになったの? もうじき三十になるのに、まだだれも現れてくれないから?
 いや、むしろいまではわかるようになったからだ。たとえだれかが現れたとしても、正直であるべきだという心の声に従って決まりの悪い説明をしたら、きっと破滅してしまうだろうことが。そして幸せを手に入れる希望も潰えてしまうことが。
 じゃあ結局のところ、レジーと結婚してしまったほうがよかったの? 二人の地所を合わせて、彼の子を産んで、二人の資産を維持するべく果敢に戦って、夫の目と下半身がよそをさまよっても知らぬふりをしていたほうが?
 よかったはずがない。寂しさに突き動かされて後悔の腕のなかに飛びこむなんてまっぴら。わたしはそんなに弱い人間じゃない。ケイトはカーテンから指を離した。
「中庭は空っぽだわ」顔に笑みを貼りつけて振り返った。「きっとモットはまだ……」
 驚いたことに、目の前に男性の胸が壁のようにそびえていた。エドワードは片手で近くの椅子につかまり、ケイトの行く手をふさいでいた。
「立ちあがったりして、だめじゃない」ケイトは言った。
 エドワードの顔を一瞬、不安がよぎった。「そろそろ尊大になろうかと思って」つぶやくように言う。「ひどく厚かましくなろうかと」
 ケイトは、大きくて圧倒的な捕食動物と対面したうさぎのごとく凍りついた。見あげると、独特な色合いの緑の瞳からは、からかうような雰囲気はほとんど消えていた。はしたないことに、ケイトは抵抗しようとしなかった。なにが起きようとしているか、わかっているのに。エドワードの手が伸びてきたとき、ケイトはなかばまぶたを閉じた。
 エドワードの指がうなじの髪にもぐり、唇がゆっくりとおりてきた。のんびりしているけれど独占欲に満ちたキスだった。エドワードの唇はまずやさしく触れて、重なるたびに情熱を増していき、ついには開いて親密な味わいをもたらした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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