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おとなのゲーム

おとなのゲーム


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・クラシックス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・ハミルトン(Diana Hamilton)
 イギリスの作家。ロマンチストで、一目で恋に落ち結ばれた夫との間に三人の子供をもうけた。就寝前の子供たちにベッドで読み聞かせるために物語を書きはじめる。ロマンス小説家としてのデビューは1987年、その後数多くの名作を世に送る。2009年5月、ファンや作家仲間に惜しまれつつ亡くなった。

解説

キーラは、兄からとんでもない相談を持ちかけられた。兄の家で開かれるディナー・パーティで、フレイザー・マクギルを誘惑する芝居を打ってほしいというのだ。唖然とする彼女に兄は告白した。マクギルは妻の不倫相手だと。彼がほかの女性に飛びつくのを見れば、妻の目もいっぺんに覚めると兄は考えたらしい。その頼みを断りきれず、キーラは危険な恋愛ゲームに挑んだが……。

抄録

 シェリーはすっきりとした辛口で、彼女の好きな銘柄だった。好みの偶然の一致かしら。それともこの間の土曜日、私の好みを観察していたの? そんなこと、どうだっていいわ。キーラはそっとシェリーをすすりながら、息苦しくなってきた沈黙を破ろうと言葉を探した。
「ウィリアムズ夫妻は長いことお宅に?」
 我ながら間の抜けた質問だった。気のきいた会話の出だしとはいえない。だが、週末のデートの約束を取りつけるという気の重い仕事を抱えているのだから、まずは安全第一でいくのが賢明だろう。
 彼女のほうを向いたフレイザーの目には、からかうような色が浮かんでいた。グラスを持つキーラの指はこわばり、改めて恐怖に襲われる。私はルールを知らないゲームを闘おうとしているんだわ。
「四年前、この家を買ったときに来てもらった。二人とも我が家のためによく尽くしてくれる。マクギル一家なんてものはどこにも存在しないがね」そう言って彼は皮肉っぽく唇をゆがめた。
「でも、ご家族はいらっしゃるでしょう」キーラはまたしてもつまらないことを言ってしまった。
「もちろん、西洋すぐりの木の下で見つけられたわけじゃないからね。だが、似たようなものかな」
 それを聞いてキーラは、彼が女性と真剣な関係を築き上げられないのは過去に何か原因があるのかしらと思った。だが、それ以上のせんさくはしなかった。彼がとげのある言い方で言ったからだ。
「その反対に、君は息苦しいほど強い家族の絆で結ばれているわけだ」
「いいえ。母は私が八歳のときに亡くなったし、父は母を失ったショックで子供の存在を忘れてしまったようだったわ」キーラはすべてを読み取っているような冷徹な彼の視線を感じ、言ったことを後悔した。過去の傷など彼にもらすべきではなかった。
「知っているよ」彼はゆっくりと言った。「しかし、君にはジョンがいる。事実上彼が親代わりだった」
 フレイザーのその言葉は驚くにあたらない。ジョンは彼の取り引き相手であり、マリアンは彼の秘書なのだから。どちらかがもらしたのではなく、彼が調べ上げたと考えるべきだろう。フレイザー・マクギルのような立場なら、取り引き先について充分な調査を行うのは当然だ。リスクの大きいビジネスは、徹底的な調査がリスクを最小限にとどめる。
「もっと楽しい話題があるんじゃないかな」とげの取れた彼の声は、とろりとした蜂蜜のように甘く響く。彼はしなやかな体をソファの角にもたせかけ、ゆっくりとキーラを眺めた。
 キーラは裸にされていくような気がした。黒いドレスも、彼の視線のもとではなんの防壁にもならない。フレイザーは今にも、受け答えにとまどうようなことを言い出しそうだった。これから始めようとしているゲームとはまったく違う展開になるのでは、と不安で、キーラは怖くなった。
「お食事の支度ができました」マギーがドアから顔をのぞかせて、朗らかな声で告げたときには、キーラは泣きたくなるほどほっとした。
 キーラはみっともないほど慌てて立ち上がった。日ごろの落ち着きや自信はすっかりどこかへ行ってしまい、フレイザーに腕を取られてダイニングルームに案内される間、まるで十代の少女のようにおどおどしていた。
 しかし、神経が参ってしまいそうなキーラの不安を裏切って、ディナーはまったく楽しく進んだ。クリーミーなアボカドとスモークサーモンのオードブル、とろけそうにやわらかなアスパラガスを添えた鹿肉の蒸し煮、そして赤ワインはシャンベルタン。たぶん、そのすばらしいワインのせいで緊張がほぐれたのだろう。キーラはいつの間にかフレイザーと楽しく会話を交わしていた。
 また客間に戻り、上等なコニャックをたっぷり入れたコーヒーを飲んだために、キーラの気分はいっそう高揚した。相手がフレイザーでなかったら、“こんなに楽しい晩を過ごすのは本当に久しぶりよ”と言ったことだろう。
 けれども、彼に触れられたとたん、すべてが一変した。空になったコーヒーカップを彼が取ろうとして軽く指が触れただけだったが、それだけで体に炎が燃え広がり、キーラは思わず息をのんだ。
「わかるよ」フレイザーはかすれた声で言い、灰色の目を光らせてキーラを見つめた。「わかっている」彼はもう一度言った。まるで自分も同じことを感じているとでもいうように。彼がコーヒーカップを下に置くのを見守るうちに、キーラの心臓は激しく高鳴りだした。彼はキスしようとしている……。
 それはまったく自然な成り行きだった。フレイザーは優しくキーラを抱き寄せ、唇を重ねた。彼女の世界は爆発し、幾千幾万ものかけらとなってきらきらと飛び散った。骨が抜けてしまったようにぐったりして、キーラは彼にしがみついた。欲望の海に投げ出され、岩にしがみつくように彼にすがったが、今にも波にのみ込まれてしまいそうだ。
 かすかな音がして、ドレスのファスナーが下ろされていく。キーラの理性はその音を聞き、渦巻く官能の波間から浮上しようともがいた。しかし、一瞬のうちにあえなく力を失った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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