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たそがれに恋した伯爵

たそがれに恋した伯爵


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

行き場のない私に残された道は、放蕩伯爵との結婚だけ。人気作家ジュリア・クインが贈る、珠玉のリージェンシー!

牧師の娘エレノアは窮地に陥っていた。父親と二人で暮らす家に冷酷な継母がやってきて、今すぐ夫を見つけて家を出ろと迫ってきたのだ。そんなときエレノアの前に文字どおり“降って”きたのは、放蕩者として悪名高い伯爵チャールズ。泥酔して木から落ちたところを介抱してあげたのだが、驚くべきことに彼は突然エレノアに求婚してきた。じつは伯爵も、二週間以内に妻を娶らなければ遺産を失うという窮地にあり、エレノアは契約結婚の相手として申し分ないという。愛のない求婚に困惑しながらも、ほかに残された道はなく……。

■MIRA文庫初登場作『月をくれた伯爵』も好評を博している人気作家ジュリア・クイン。その物語につらなるリージェンシーがさっそく登場、先物取引が趣味(!)という個性派ヒロインに要注目です。父と二人暮らしをしていたエレノアは、冷酷な継母から、夫を探して家を出るよう迫られます。虎の子貯金で一人暮らしを始めようとしても、父のサインなしにはお金もおろせず――そんな窮地に現れたのが、州一番の放蕩伯爵。泥酔状態で木が落ちてくる、という登場からしてインパクト抜群ですが(笑)、直後にいきなりのプロポーズ。実は彼にも結婚せねばならない理由があり……著者お得意のユーモラスな会話が冴えわたり、くすくす笑って読み終えた後は、じんわり温かい気持ちに。可憐でロマンティックなお話が好きな方、絶対におすすめです!

抄録

「すばらしい」チャールズはにっこりして体を起こし、座っていた椅子の肘掛けにつかまりながら杖をついた。「なにか華々しい方法で交渉成立を祝おうか」
「シャンパンとか?」エリーは提案し、期待に満ちた声を出した自分を蹴飛ばしたくなった。どんな味なのか、昔から知りたかったのだ。
「いい考えだ」チャールズはつぶやき、エリーの座っているソファに歩み寄った。「屋敷のどこかにあるだろう。だがぼくが考えていたのは少し違う」
「違う?」
「もっと親密な方法だ」
 エリーの呼吸は止まった。
 チャールズがとなりに腰かけてきた。「キスがふさわしいと思う」
「あら」エリーは即座に言った。「それは必要ないわ」それから要点が伝わらなかったときのために、大きく首を振った。
 チャールズは軽く、けれどしっかりとエリーのあごをつかまえた。「正反対だ、ぼくの奥さん。とても必要だと思う」
「わたしはあなたの奥さんじゃ――」
「じきにそうなる」
 これにはエリーも反論できなかった。
「相性をたしかめるべきだと思わないか?」チャールズはさらに近づいてきた。
「きっといいわよ。たしかめる必要はない――」
 チャールズは二人の距離を半分まで詰めた。「きみはしゃべりすぎるとだれかに言われたことはないか?」
「ええ、しょっちゅう言われるわ」エリーは言った。キスされないためならなんでもするつもりだった。「実際――」
「それも、もっとも間の悪いときに」チャールズは軽くたしなめるように首を振った。
「そうね、わたしは間合いをつかむ感覚がなってないの。だってほら――」
「黙れ」
 その口調があまりにも静かな威厳に満ちていたので、エリーは従った。あるいは伯爵の目でくすぶる表情のせいだったかもしれない。これまでエレノア・リンドンをくすぶる目で見つめた人はいなかった。驚くどころの体験ではなかった。
 伯爵の唇が唇をかすめ、手が首に触れると、鋭い感覚がエリーの背筋を駆けあがった。「ああ、なんてこと」エリーはささやいた。
 伯爵は愉快そうに笑った。「キスのときまでしゃべるのか」
「あら」エリーは不安げな顔で見あげた。「しゃべらないことになってるの?」
 伯爵はあんまり激しく笑いだしたので、一度エリーのそばを離れてふたたび座らなくてはならなかった。ようやく話せるようになると、こう言った。「じつを言うと、むしろ悪くないと思った。ただし口にするのは褒め言葉だけにしてほしいが」
「あら」エリーはまた言った。
「もう一度やってみるか?」彼が尋ねた。
 先ほどのキスで、エリーは抵抗の手段を使い果たしていた。それに、一度試したいまでは少し好奇心が湧いていた。そこでこくりとうなずいた。
 伯爵の目がなにかひどく男性的で独占欲に満ちたもので光り、ふたたび唇が触れた。今度のキスは先ほどと同じくらい穏やかだけれど、先ほどよりはるかに深かった。唇の綴じ目に舌を這わされて、エリーは吐息とともに唇を開いた。すると舌が入ってきて、ゆっくりと大胆に探索しはじめた。
 エリーはこのときに身をゆだね、たくましい体に寄り添った。伯爵の体は温かくて強くて、背中に両手を押し当てられた感覚にはぞくぞくするものがあった。焼き印を押された気がした。この男性のものだというしるしをつけられたような。
 伯爵の情熱は激しさを増し……エリーは怖くなってきた。男性にキスをされたのはこれが初めてだけれど、伯爵が熟練していることだけはわかった。エリーはどうしたらいいかわからないのに、伯爵は知りすぎていて、そして……。急に圧倒されて、エリーは身をこわばらせた。これは正しくない。この男性のことをほとんど知らないし、それに――
 チャールズが体を離した。エリーの心の動きを感じ取ったのだろう。「大丈夫か?」ささやくように尋ねた。
 エリーは呼吸をしろと自分に命じ、どうにかふたたび声を出せるようになると、口を開いた。「前にもしたことがあるのね?」そこで一瞬目を閉じて、小声で言った。「わたしはいったいなにを言ってるの? あるに決まってるわ」
 チャールズはうなずき、静かな笑いに身を震わせた。「なにか問題でも?」
「よくわからない。だけどなんだか、まるで自分が、その……」言葉が途切れた。
「まるで自分が?」
「賞品かなにかになったような気がして」
「たしかにきみは賞品だ」チャールズは言った。その口調から、褒め言葉として言ったのがわかった。
 けれどエリーには褒め言葉だと思えなかった。自分のことをだれかに勝ち取られるためのものだと思いたくなかったし、ビリントン伯爵に頭をくらくらさせられて、キスをされると理性が吹っ飛んでしまうという事実は受け入れたくなかった。急いで伯爵から離れると、さっきまで彼が座っていた椅子に腰かけた。まだ温もりが残っていて、おまけに香りも残っていて、そして――
 エリーは軽く首を振った。キスで脳みそがどうかしてしまったの? 思考の足並みが乱れて分別のない方向へ転がっていく。こんな自分を好きでいられるだろうか。息を切らして、理性を失って。エリーは心に活を入れると、顔をあげた。
 チャールズは両の眉をつりあげた。「なにかぼくに重要な話がありそうだな」
 エリーは眉をひそめた。わたしはそんなに見え透いている? 「ええ。さっきのキスだけど……」
「さっきのキスについてなら喜んで話そう」チャールズは言った。彼が笑っているのか、ただほほえんでいるのか、エリーにはよくわからなかった。それとも――

*この続きは製品版でお楽しみください。

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