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屈辱のプロポーズ

屈辱のプロポーズ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マギー・コックス(Maggie Cox)
 十歳のときに学校の先生から、あなたは必ず作家になると言われて以来、作家になることを夢見てきた。秘書職を得て結婚したのち、ついに夢を実現した今は、“決してあきらめなければ誰にでも夢を叶えることができる”と語る。母親として忙しい毎日を送っているが、あいた時間はドラマやロマンチックな映画を見て過ごすという。

解説

 ブリスは、失神したイタリア人女性を助けた縁で、その女性タチアナが回復するまで、赤ん坊の世話をすることになった。タチアナの住む高級アパートメントには、兄のダンテも滞在している。上流階級のダンテとは住む世界がまったく違うのに、ブリスは急速に惹かれていく思いを止められなかった。彼も同じ気持ちだということは、恋に奥手なブリスにもわかった。そしてダンテが急遽イタリアに戻ることになった日、求められるままに身を捧げてしまう。「必ず会いに来る」そう言い残してダンテは立ち去った。その言葉が本気でなかったことに、ブリスはほどなく気づく。

抄録

「ちょっと入れてもらえないか」ダンテは彼女の背後のドアを押し開けた。
 ブリスは目をみはった。「なぜ?」
 ダンテの大きな手が肩にかかり、ドアの奥へと追いたてられると、ブリスはかすかにあえいだ。ドアを閉め、淡い褐色の壁紙とベージュのカーペットのこぎれいで落ち着いた内装を見て、ダンテは安堵《あんど》感がこみあげるのを感じた。つめていた息をそっと吐きだす。ブリスの人生に少しでも美しいものがあるとわかって、うれしかった。彼女の住まいの外は索漠としていても、内部は疲れた心に安らぎとくつろぎを与えてくれるオアシスになっている。
「きみに謝礼金を払いたい」
「謝礼金?」背後の壁にもたれたブリスは、彼が旅行鞄をカーペットの上に置き、上着の内ポケットから封筒をとりだすのを見ていた。
 ダンテは唇の端を軽く上げたセクシーな笑みを浮かべ、封筒をさしだした。「妹を助けに来て、善きサマリア人《びと》になってくれたお礼だ」
 ブリスはお金など受けとりたくなかった。それはどこか間違っている気がする。自尊心のある人なら誰でもすることをしただけなのに。困っている人を手助けして謝礼金をもらうのは、自身の道徳観念にそぐわない。しかも、この二日間でブリスはレナータに対して愛情が芽生え、すでにもうあの愛らしい女の子が恋しくてたまらなくなっていた。実際、二度とあの子に会えないかと思うと、切なくて胸がうずく。
「いいのよ、ダンテ。謝礼金なんていらないわ。あなたと妹さんの力になれて喜んでいるの。タチアナの身に起こったことは悲劇だわ。人の不幸から利益を得るようなことはしたくないもの」
「でも、ぼくたちは取り決めをした、違うか?」ダンテの黒い眉が不快そうにひそめられた。
 ブリスは両わきで拳《こぶし》を握りしめた。一刻も早く彼に出ていってほしい。そうすれば自由に呼吸ができる。ささやかなアパートメントの玄関がこんなに狭苦しかったとは。それとも、目の前にいる魅惑的な緑色の瞳をした長身のハンサムなイタリア人男性のせいで、錯覚を起こしているの?
「これはきみが稼いだ金だし、ぼくは感謝しているんだ。頼むから受けとってほしい。受けとってもらえないと、タチアナが気を悪くする」
「ダンテ、わたしの決心は変わらないわ。力になれたことをうれしく思っているとタチアナに伝えて。レニーは心をなごませてくれる子だわ……」ふいに涙がこみあげ、口がきけなくなった。彼が放つ強烈な魅力でその場に釘《くぎ》づけにされる前に、ブリスはなんとか壁から離れようとした。
「泣いているのか……どうして?」動こうとしたブリスの前にダンテは立ちふさがり、手にした封筒を床に落とした。彼女の頬を伝う涙を指先でそっとぬぐってやり、謎《なぞ》の人物を見るような目でその顔を見つめる。
「こんな振る舞いをするなんて、自分が信じられない! お願い、出ていって、ダンテ、わたしがこれ以上愚かなまねをする前に」
 彼の優しさや慰めは欲しくない。わたしがもう耐えられなくなっているのが、彼にはわからないの? 出ていってほしいだけなのに。だが、心と体はそれに同意していなかった。彼の指が軽く頬に触れただけで心がかき乱され、わらの家に火がついたように全身が熱くなる。
「きみは愚かなものか、ブリス。勇気があって美しい……最高に美しい《ベリッシマ》」
「やめて! 心にもないお世辞なんか言わないで」彼の目に燃えあがる情熱を見てとり、ブリスは気持ちが萎《な》えていくのを感じた。何年間も雨の恵みを受けなかった干上がった大地のように、口のなかがからからになる。
「ぼくは事実を言っているんだ。それを止めることはできない。恋人だけが口にする甘いささやきできみを燃えあがらせ、ぼくが本気で賛美しているときみが信じるまで、やめさせることはできない」
「いいえ」
「ええ《シ》、だろう、ブリス」
 ダンテがむさぼるように唇を重ねてきたとき、ブリスは背後の壁に背中が溶けこんでいく気がした。飢えたような激しい息づかいが彼の息とまじり、彼の官能的な唇があらゆる思考を不可能にした。ただひとつわかるのは、身も心も自分のすべてをダンテに与えたいという欲求がどんどんつのっていることだけ。救命ボートにしがみつくように指は彼のジャケットの襟をきつく握りしめている。
 さらに濃厚なキスをしながらダンテは両手をウエストまですべらせ、固く引きしまった腹部に彼女の腹部を密着させた。最大限の反応を引きだそうとするように、彼の舌は巧みな動きで甘美な口のなかをさまよう。
 彼の唇が口を離れて首筋を這《は》いおり、一瞬、肌に歯が立てられたあと、ブリスが着ているコットンのブラウスの前が荒々しく左右に引っ張られ、ボタンがはじけとんだ。抵抗することなど考えられないほど快感に酔いしれていたブリスは、彼のたくましい体をもっと感じたくて、じれったそうに身をすり寄せた。
 息をはずませ、イタリア語で何やらつぶやきながら、ダンテはブラジャーにも同じように手荒な扱いをした。レースのカップを両側に押しやって、こぼれた胸のふくらみを大きな手におさめ、硬く突き出た頂を指先でつまむ。ブリスがかすれた声をあげて身をのけぞらせると、片方ずつ口に含み、さらにエロティックな拷問を加える。
 次々に押し寄せる興奮の波に全身がうずき、ブリスはこらえきれずに悩ましげなあえぎ声をもらして、唇を噛《か》みしめた。
「寝室はどこだ?」ダンテは頭を上げ、もやがかかったようなすみれ色の目を見つめた。一刻も早く彼女を自分のものにしたい切迫感と原始的な欲望が、それ以外のあらゆる思考を消し去った。
 ブリスは黙ったまま壁際を離れ、恍惚《こうこつ》とした様子で廊下の突き当たりのドアに向かった。
 ブリスを追ってドアを抜けたとき、ダンテはすでにジャケットと靴を脱ぎ、イタリア製のシャツのボタンをいくつかはずしていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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