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9カ月目の赤い糸

9カ月目の赤い糸


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリー・フェラレーラ(Marie Ferrarella)
 ヨーロッパに生まれ、ニューヨークで育った。現在は南カリフォルニア在住。USAトゥデイ紙のベストセラー・リストの常連で、アメリカ・ロマンス作家協会のRITA賞の受賞歴も持つ。これまで百五十作を超える作品を発表し、マリー・ニコールの名でも執筆。世界中の多くの読者から支持を得ている。

解説

あなたとの思い出だけを胸に、この子を育てようと決めたのに……。

シーラは大きなお腹を抱え、9カ月前の運命の夜に思いを馳せていた。とあるパーティで、高級なタキシードを着こなす男性と出会った。スレイドと名乗る彼は世界を股にかけて仕事をしており、ハンサムな容姿もさることながら、知性とユーモアで彼女を魅了した。たちまち惹かれ合い、月明かりの下で情熱的に結ばれたのもつかの間、夜明けとともに彼は旅立っていった――彼女の身に、小さな命を残して。でも、スレイドは永遠の関係や子どもを望むタイプじゃないわ。シーラは彼に妊娠を知らせず、独りで産み育てる決意をした。それなのに今、なんの前触れもなく突然、彼が帰ってくるなんて!動揺のあまり追い返すシーラだったが、そのときお腹に激痛が走り……。

■連絡先も残さずに去ったスレイドには秘密で、彼の子を産むことにしたシーラ。一方、彼女の大きなお腹の中にいるのは自分の子だと知ったスレイドは、思いもよらない行動に出て……。『百万人に一人のひと』(N−657)、『小さな天使の贈り物』(I−2405)の関連作。

抄録

 船乗りという言葉をきいて、スレイドは妄想した。僕は海賊で、高貴な女性であるシーラを誘拐して海に連れ出す。夜の終わりに慈悲を請うのは、僕と彼女のどちらだろうか。「違う。僕は特派員で、明日の朝、海外に出発するんだ」
 本当かしら? シーラは特派員として働く彼を想像してみた。彼のタキシードは高級そうだけれど、彼自身はなんとなくワイルドな感じがする。「ロンドン?」
 ロンドンのほうがまちがいなく安全なのは確かだが……。スレイドは首を横にふって、ヨーロッパの紛争地だと答えた。
 シーラは驚いた。毎晩のように報道されるニュースを思い出し、体がふるえそうになるのをこらえた。「驚かせようとして言ったのなら成功よ」
「よかった」スレイドは彼女の首筋にかかる髪を手でもてあそんだ。そこだけ“反抗的”といった様子ではねている。彼女自身も反抗的なのだろうか。彼は見ひらかれたシーラの目を見つめた。「だが、本当のことだ。僕が今夜ここにいるのは、あくまで代理で――」
 シーラは笑いだした。「すごく驚いたわ」そう言ってグラスに口をつけた。
 あの唇が僕の唇に触れたらどんな感触だろう。ゆっくりと情熱的に体を重ねたらどんなだろう。スレイドはそんなことを考えながら言った。「ローラは自分のかわりにこのパーティを取材してくれる人をさがしていて」しぶしぶ承知したこと、電話を切る直前にローラから言われたことを思い出して苦笑する。「今夜ここに来たら、明日からの海外の仕事が楽しみになるぐらい退屈なはずだけど、と言われたが」ドレスが体にぴったり張りついているところからすると、シーラは輝くスパンコールのドレスの下にはほとんどなにも着けていないらしい、とスレイドは踏んだ。まずそれを確かめたい。「そのとおりだった」
 シーラは顎を上げ、笑みをつくった。「わたしに会うまでは?」
「そうだな」スレイドが彼女と目を合わせると、ふたりは静かに笑った。
 シーラはさらにひと口ワインを飲んだ。「うぬぼれすぎかしら?」
 スレイドは、自分に自信があってお世辞を言ってやる必要のない女性が好きだった。「僕も大げさすぎたかな?」
 シーラは小首をかしげた。スレイドを見る目が笑っている。「少しね」
 彼女をもっとよく知りたい、とスレイドは思った。今晩一緒にすごしたい。彼女をつかまえそこなわないよう、すばやく行動を起こさなくては。彼女を連れ去りそうな男たちがまわりに大勢いる。やつらの彼女を見る目に気づかないわけがない。僕も同じような目で彼女を見ているのはわかっているが。スレイドはにっこりした。「最初からやり直そうか?」
 シーラもほほえみ返した。心からの笑顔だ。スレイドはミズーリ州ですごした子ども時代に見た日の出を思い出した。
「そうね」シーラは片手を差し出した。「はじめまして、ドクター・シーラ・ポラックです」
 スレイドは握手し、そのまま少し長めに彼女の手を握っていた。ふたりともその触れ合いが気に入った。すると、スレイドが大げさにもう片方の手で胸を押さえて言った。「ここが痛むんです」
 シーラはそっと彼の手から手を離した。「おかしいわね」目がおもしろがっているように輝いている。「痛むのはもう少し下のほうじゃないかしら」
「きみが好きだ、ドクター・シーラ・ポラック」スレイドは近くのテーブルに飾られたデイジーの花を一輪とって、彼女の髪に挿した。
 本当に彼女が好きだ。僕の場合、決めるのはいつもこんなふうに早い。ものごとをよくよく考えたり、顕微鏡で検査したりするタイプではない。合っているか、いないか、それだけだ。シーラ・ポラックは合っている。僕にとって、わが人生の今このときに合っているのだ。
 シーラのほほえみの温かさが、彼女も同じ気持ちだと語っていた。「そうだと思った」彼女は言った。
 まだ自己紹介の段階のふりをして、スレイドが続けた。「僕の名前を知りたくないか?」
「記者証を見たいわ。そうすればあなたの話が本当だと思えるから」
 活発だが用心深いとは、興味深い組み合わせだ。かなり好みのタイプだ。スレイドが記者証の入った財布を渡すと、シーラは本当に驚いたようだった。
「あまり写真がよく撮れていないが、僕だ」
 シーラは財布を手にとって名前を見て、それから彼の顔に目を移した。まちがいなく賞賛の目だとスレイドは思った。
「本当ね、ミスター・ギャレット」シーラは財布を返して言った。「腕のいい偽造屋を知っているんじゃなければ、あなたの言葉どおり、あなたは『タイムズ』の人のようね」
「僕は嘘をついたりしない」スレイドはシーラの腕をとり、テラスに連れていこうとした。そのときちょうど、ジョニー・マティスの歌がはじまった。「さっきの痛みの話だが……」
 シーラは笑い、スレイドに体を寄せた。「その痛みをやわらげるためにはダンスをおすすめするわ」
 彼女を抱くにはぴったりだ。「ダンス?」
 シーラはうなずいた。彼女の体中を血液がいっきに流れる気がする。これから起きることを予言するように。「そう、月明かりの下だと、なおいいわ」
 スレイドは空を見上げた。空は黒いベルベットのようで、小さな銀の穴がところどころにあいている。「じゃあ、そうするよ。ドクターの命令どおりに」彼は手を握ってシーラを引き寄せた。追いかけるように流れてきた音楽に合わせ、ふたりは小さく体をゆらした。
 シーラがスレイドの肩に頭をもたせかけた。彼女の髪の香りに、スレイドはうっとりした。知らぬまに死んで天国に来てしまったんじゃないだろうか。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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