マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

大富豪と望まれぬ娘

大富豪と望まれぬ娘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 アリスン・ロバーツ(Alison Roberts)
 ニュージーランド生まれの彼女は父親の仕事の関係で5歳のときから海外生活を経験した。帰国ののち小学校教師となり、医師の夫と結婚。クライストチャーチに移住後は医療関係の仕事に携わる。夫とスコットランドに滞在していたとき、小説を書き始めた。現在は救急隊員の資格を取るべく訓練中で、執筆の合間には、可能な限り現場に出ているという。

解説

茂みに捨てられていた赤ん坊の私に、誰も愛を注いでくれなかった……。

生まれてすぐ実の母に捨てられ、冷たい祖母に育てられたペネロープ。早く自立したいと仕事に打ちこんできた彼女は、あるとき重要な顧客の結婚式の企画をすることになった。この一世一代の大仕事を必ず成功させようと強く思うが、土壇場で花嫁が盛大な花火を上げたいと言いだしたため、困ったペネロープは世界的な巨大企業に協力をあおぎに行った。ところが、責任者に会わせてほしいと受付係に願い出たものの、CEOのレイフ・エドワーズが興味を持つはずがない、と言下に断られた。すると「それは本当か? どうして?」という男性の声がし、振り返ると、レイフ本人が興味深げにこちらを見つめていた――。

■悲しい生い立ちをもつペネロープは、仕事を通して知り合った破天荒な大富豪レイフの魅力にやがて心を奪われます。しかし、彼女の生い立ちがもとで二人の間に誤解が……。『奇跡を宿したナース』(I−2417)が大好評を博したアリスン・ロバーツによる、ロマンティックで心温まるラブストーリーです!

抄録

 花火ならもちろん前に見たことがある。ペネロープは、花火がいつも少し怖かった。音が大きいし、予測がつかない。心から楽しむには危険すぎる。
 だが今ここでは安心して見ていられる。この危険物を管理している当の本人と一緒にいるのだ。必要ならいつでも逃げ出そうという防衛本能を忘れて、気づくと身構えずに爆発のとどろきを体で感じていた。目の覚めるような色と形が黒い空に広がるのが見える。次の玉が勢いよく上がっていく様子さえ、わくわくしながら見守ることができる。
 いつまでも終わってほしくない。これは今までの人生で成し遂げたいちばん大きな仕事の究極のフィナーレだ。結婚式は無事終了した。それだけを望み、夢見てきたのだ。緊張から解き放たれ、懸命な働きが報われた満足感に浸っていられる。
 だが、終わりは必ずくる。音楽が小さくなり始めた。湖の中央に浮かんでいるように見える巨大な赤いハートの内側が、クラリッサとブレークの名前で白く彩られていく。下の観衆から熱狂的な歓声があがり、ペネロープも同様の感動を覚えた。思わずレイフのほうを向いて感謝を伝えようとしたが、これほど激しく心が揺さぶられた今、言葉だけでは足りない気がした。
 ペネロープは爪先立ち、レイフの首に両腕をまわした。「すばらしかったわ。本当にありがとう……」

 レイフは思わず両手でヒップを引き寄せた。シルバーのドレスはなめらかで冷たい感触だが、その生地の下に肌のぬくもりを感じられる。
 こんなことをするつもりはまったくなかったのに。
 ショーに対するペネロープの反応を見て、仕事への情熱を思い出していただけだ。それなのに今、思いがけない接触によって、まるで初体験のように女性に触れる興奮がよみがえっている。失っていたのは、これだったのだろうか? 自分がずっと求めていたことさえ知らなかったので、長い間見失っていたのにも気づかなかったのだろうが、これが現実のはずがない。このまま触れ続けていれば、結局はほかのときと同じ結果に終わるのではないか?
 ペネロープは身を引いたが、目をきらきらさせて微笑んでいる。彼女がこれほど生き生きして見えたことはなかった。
 そして、ほかのどんな女性より美しい。
 この魔法がこれで終わりなのか確かめる必要がある。もしキスすれば、心から求めていた人に初めて口づけをしたときのような気持ちになるだろうか?

 レイフはキスしようとしている。
 ペネロープはどうするべきか一瞬考えた。いや、決める必要などないはずだ。するべきことは決まっている。身を引いて、感謝のしるしを大げさに示しすぎたことを謝り、踵を返して立ち去るだけだ。
 でも、肝心なのはどうするべきかではない。どうしたいかが問題だ。そして、おそらく生まれて初めての経験だが、思いきって自分のしたいことができるかどうかという話だ。そうするべきではないと、ずっと自制してきたけれど、実際そんなに悪いことなのだろうか? のぞいてみなければ、わからないはずだ。
 ただのキスだが、それを待つのは、闇夜に上がっていく花火玉を見つめるようなものだ。それが爆発することを知っていて、爆発すればどんなに感動的かもわかっている。
 もう期待は抑えきれない。なんとしても確かめる必要がある。秘められた場所への扉を開けて、中へ踏み込まなければならない。
 そして唇が重なった瞬間、ペネロープは自分を見失った。こんな感覚は初めてだ。完璧に制御された優しさ。想像もつかない自由奔放さを秘めた穏やかさ。
 やがて唇が離れると、レイフは言葉にはしなかったが、目で問いかけてきた。ペネロープは答えたくなかった。考え始めれば、この感覚は消えてしまうだろう。こんなふうに感じたのは初めてだ。これは現実ではない。疲労とシャンパン、花火の興奮と、禁じられた場所に入るスリルがかもし出した神秘の魔法に違いない。でも、こんなことはもう二度と起きないとわかっているので、もう少し魔法が続いてほしいと願わずにはいられない。
 これは最上の幸福で、一度取り上げられたら二度と与えられない贈り物だ。

 この女性がこんな情熱を秘めていたからといって、それほど驚くことではないのかもしれない。彼女が誰にも見られていないと思って踊っているところを見たではないか。信じられないような幸運がめぐってきて、今そういう空間に一緒にいる。二人は誰にも見られていない。何が起きても秘密にしておける場所にいれば、大胆になれる。確かにこういう女性を選ぶことは今まで絶対になかったかもしれないが、こうなったからには、この機会を大切にしよう。
 というのも、魔法はまだ続いていて、肌が触れ合うたびにそれが強くなっていくからだ。初めてのときのように。どこまでも新鮮で、特別で……これまでの体験や想像をはるかに超えている。
 レイフはペネロープを楽園へ連れていき、一線を踏み越えてひとつになった。その後はしばらく、彼女を抱きしめたまま必死で息を整え、胸の鼓動がおさまるのを待つことしかできなかった。そうしながら頭と心に渦巻く感情を解明しようとしたが、できなかった。恍惚と驚きが、到底愉快とは言えない気持ちと入りまじっている。困惑だろうか?
 胸騒ぎと言ってもいいかもしれない。
 ここでいったい何が起きたのか?
 次はどうなるのだろう?


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。