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海運王に魅せられて【ハーレクイン・セレクト版】

海運王に魅せられて【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 オリヴィア・ゲイツ(Olivia Gates)
 カイロ在住のエジプト人。作家だけにとどまらず、眼科医、歌手、画家、アクセサリーデザイナーという実にさまざまなキャリアをもち、妻と母親業もこなしている。キャラクター設定やプロットのアドバイスをしてくれる娘と、ストーリーが気に入らなければキーボードの上を歩きまわる辛口批評家のアンゴラ猫の助けを借りながら、情熱的なロマンスを書き続けている。

解説

セリーナは、亡き父の弔問に訪れた人物を見て息をのんだ。ギリシアの若き海運王アリステデス・サラントス!彼は父の宿敵として、一族の前に立ちはだかる存在だった。兄たちがアリステデスを憎悪の目で睨みつけるなか、セリーナは溢れそうな想いを必死に抑えて彼を見つめていた。ずっといけないと思いながら、惹かれずにはいられなかった人。セリーナは弔問への感謝のしるしとして彼をホテルまで送り、結果ふたりは情熱をぶつけ合うようにして愛し合ってしまう。だが彼にとっては情事でしかないことを知ったセリーナは、黙って部屋を去った。既に彼の種を宿していることも知らずに。

■熱すぎるまでに情熱的なロマンスで人気のオリヴィア・ゲイツ。彼女が灼熱の砂漠の国エジプト出身であるといえば、それも納得でしょうか。シーク・ロマンスが有名ですが、ギリシア人富豪のロマンスも多数執筆しています。真夏の読書にぴったりです。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「まるでわたしが生粋のアメリカ人みたいな言い方ね。でも父は骨の髄までギリシア人だったわ。父のことはよくわかっているもの」
「本当に?」
 単純な質問だった。だがその言葉はセリーナの胸を切り裂き、彼女の人生のよりどころとしてきた自信をえぐり取った。激しい不安が彼女をさいなむ。
 セリーナは立ち上がり、激しい憤懣をぶつけた。「父とわたしは、ただの親子ではないわ。わたしは父に育てられ、そして父のビジネスパートナーになったのよ」
「ふん」不意にアリステデス・サラントスは危険で暗い衝動を吐き出した。愉快そうな口ぶりとは裏腹に、顔には依然として険しさがただよっている。やがて、彼は彼女がそこにいることに初めて気がついたと言わんばかりの視線をセリーナに向けた。「たしかに、きみは彼にとって腕ききの戦士になった。きみが仕掛けた交渉という名の罠はなかなか巧妙で、抜け出すのに苦労したよ」
 セリーナの全身がかっと熱くなった。アリステデス・サラントスをうまく出し抜いたという自信はあった。えり抜きの弁護士を集めた彼の顧問弁護団はルーヴァーディス社との交渉に頭を抱えたものだった。けれど、彼は違う。
「でも結局、あなたは罠から抜け出す方法を見つけたわ」悔しさをにじませながら、セリーナは唇を舐めた。あれはぞくぞくするような駆け引きだった。彼の攻撃をなんとかして食い止めようと、わたしは今までどれほど必死に頑張ってきたことか。
 彼の口元にちらりと浮かんだ微笑が、冷酷で横柄な印象を一気にやわらげた。「とはいえ、きみが張りめぐらせた罠をぼくが抜け出すのを、きみは指をくわえて眺めていたわけじゃないだろう」
 手にしたマグカップを不意に下ろし、アリステデス・サラントスはつかつかとセリーナのほうへ歩み寄った。ゆっくりと、胸に一物ありそうなその足取りは鳥肌が立つほど不気味だ。膝が触れ合うほど近くまで来ると、彼はようやく足を止めた。
 セリーナは思わず後ずさり、あやうくソファーに引っくり返りそうになった。彼は熱い情熱をたたえ、挑むように彼女を見つめている。その顔にはセリーナへの欲望がみなぎっていた。
「きみはいい女だ。ぼくをその気にさせ、虜にしようとした女は大勢いるが、きみほどの女は初めてだ。しかも、やすやすと手に入らないところがいい。だが、ぼくは欲しいものは必ず手に入れる。年はきみと十歳しか違わないが、経験も手管もはるかにぼくのほうが長けているからね。きみと違って、ぼくの学んだ法律はただひとつだ。いかに汚い手を使い、まっとうな成果を引き出すか――その方法を示してくれるのが法律だ」
 セリーナは鼻を鳴らして受け流した。「父があなたを毛嫌いしていた理由もわからなかったくせに」
「わかっていたさ。だが理解することと、それを受け入れることとはわけが違う。彼はぼくの能力を大いに利用するべきだった。ぼくたちが手を組めば、完璧なパートナーになれたはずなのに」
「父のビジネス哲学は、あなたのとは正反対だったわ」
「だから、ぼくの考え方は間違っていると言いたいのか?」
「どんな代償を払ってでも成功に執着する――それがあなたの考え方でしょう」
「ビジネスというのはそういうものだ」
「あなたは“ビジネスはビジネス”という言葉をはき違えているのよ。父はそういうやり方はしなかったわ」
「たしかに」
 彼があっさりと、しかもきっぱり答えたあと、長い沈黙が二人の間を支配した。
 重く息苦しい沈黙に耐えかね、セリーナはふたたび殺伐とした会話の糸口をさがした。
「弟さんのことはうかがったわ」
 アリステデス・サラントスの弟は五年前、車の事故で他界している。あのときは、宿敵の娘である自分が悔やみの言葉を述べ、ましてや葬儀に参列しようなどと思いもしなかった。
 アリステデス・サラントスが彼女の隣に腰を下ろした。ズボンの生地を透かして、腿の感触が火傷しそうなほど熱く伝わってくる。彼の両目に、まるで稲妻のような光が宿った。
「惜しい人を亡くしたとでも言うつもりかい?」アリステデス・サラントスの声はざらついていた。
 岩に打ち寄せる波のような彼の悲しみがセリーナの瞳とぶつかり合う。
 彼女は首を振った。「若いのに亡くなったことは、お気の毒だと思うわ。けれど、わたしは弟さんの死を悼むほど個人的に面識があったわけではないから。あなたが弟さんに対して――それに、自分では気づいていないかもしれないけれど――わたしの父に対して抱いた感情とは違うわ。あなたが父を亡くしたわたしに心にもない同情を示さなかったように、わたしも嘘はつけない。わたしに言えるのは、ただひと言――“お気の毒に”ということだけよ」
 不意に、アリステデス・サラントスが彼女の腰をぐっと引き寄せた。
 声にならない驚きが大きな息となって吐き出され、セリーナの体は硬い彼の胸にぴったりと吸い寄せられた。彼が有無を言わせぬ力で抱きしめたので、セリーナの上半身は柔らかな布地のように、がっしりとした彼の体にまとわりついた。
 彼が狂おしい熱情をたたえた瞳でセリーナを見つめ、降伏を求める。次の瞬間、唇が激しく重ねられた。
 彼はセリーナの抗議の声をのみ込み、彼女の中へ欲望の嵐を吹き込んでいった。唇が彼女の唇を潤しながら熱い刻印を与える。差し入れた舌が口の奥深くを探り、悦びをかき立て、欲望の扉をこじ開け、理性を奪っていく。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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