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百八十夜の愛人契約

百八十夜の愛人契約


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

落ちぶれた令嬢を買ったのは、かつての貧しき恋人だった。

父は行方不明、貯金も底をつき、さらに火事に見舞われて、サブリナはついに代々受け継いできた屋敷の売却を決意した。そんな折、意外な人物が屋敷を訪ねてきた。クルス・デルガド! かつて父に雇われていた貧しい青年は、その後仕事で成功を収め、今では大富豪として名を馳せている。10年前、二人は恋人同士だった。だがサブリナが妊娠し、その後流産したことがきっかけで、いつしか心は離れていった。いまサブリナの窮状を聞き、クルスはすぐに資金援助を申し出た。彼女が半年間の愛人契約に従うなら、という非情な条件つきで。

■互いに愛し合いながらも障害を乗り越えられず、離ればなれになったサブリナとクルス。奇跡的な再会とクルスからの思いがけない愛人契約の提案が、サブリナの心を激しく揺さぶって……。

抄録

 クルスはまたほんの少し彼女に近づいた。彼の身長の高さを改めて見せつけられ、サブリナはパニックで身震いした。真っ白なシャツの上から、たくましい腹筋がかすかに見える。魅惑的なイメージが心に浮かび、彼女の潜在意識をあざ笑った。クルスのブロンズ色の体が自分の白い体に覆いかぶさるイメージが。次いでクルスはわたしを自分の上にのせ、力強い腕でいざなって、雄々しい欲望のあかしにゆっくりと身を沈めさせる……。
 サブリナの体がかっと熱くなった。この十年間でつき合った数少ない男性たちは彼女の興味をいくらか引いただけで、セックスはいつも失望をもたらした。だが今、恥ずかしいことに、彼女はクルスの堂々たる男らしさの記憶に、脚のあいだが潤むのを感じた。
 下腹部をじわじわと苛む切望のうずきから身を守るものは怒りしかない。「わたしは地図のことを何も知らないし、たとえあなたが信じなくてもわたしには関係ないわ」
 十センチのハイヒールを履いていても、サブリナは彼の顔を見あげなければならなかった。十年前、わたしが彼に抵抗できる可能性はなかった。サブリナは苦々しくそう思い、大学に行くのを楽しみにしていたかつての無邪気な自分のために胸を痛めた。クルスはサブリナを一目見て自分のものにすると決めたが、彼女は数カ月後に妊娠し、イギリスでの生活とまったく異なるブラジルでの暮らしを余儀なくされた。
 もしクルスに愛されていたら、わたしは新しい生活に立ち向かっていただろう。けれど妊娠がわかってから、クルスの彼女への欲望は消え、二人の関係を維持するものが何もないことが明らかになった。
 サブリナは喉の奥に涙の痛みを感じた。実際は幻想にすぎなかった失った愛のために泣くのは愚かだ。
「もうお引き取り願いたいわ」サブリナはきっぱりと言った。しかしクルスはただ黒い眉を上げ、尊大な目つきで彼女を見ている。サブリナは憤然として言葉を継いだ。「それでわたしを脅しているつもり? わたしを怖がらせて地図の在り処を聞き出そうとしているのね。でも、この家には大勢の使用人がいるのよ」サブリナはジョンと彼の妻メアリーを思い、心の中で自分の幸運を祈った。現在この敷地内で暮らす使用人はその執事と家政婦だけで、二人とも定年を過ぎている。「わたしに手を上げたら、叫び声をあげるわよ」
 サブリナはドアに向かおうとしてきびすを返したが、クルスに再び腕をつかまれて振り向かせられた。
「ぼくは欲しいものを手に入れるために力ずくできみを説得する必要はない」
 クルスの官能的な声に五感を揺さぶられ、サブリナの下腹部が締めつけられた。時間が止まり、息が肺の中に閉じこめられたように胸が苦しい。クルスの黒い頭が下りてきて、彼はキスをするつもりだと気づいたとき、サブリナは目を見開いた。できるはずがないと思ったが、彼はクルス・デルガド、勝算があると思えば悪魔との取り引きもいとわない。
「警告したはずよ。叫び声をあげるって」芝居がかったせりふだが、サブリナはまさに舞台に立つ女優のような気分だった。クルスに引き寄せられ、彼の体から骨まで溶かしそうな熱を感じる。サブリナはあえいだ。
 クルスは残忍そうな笑みを浮かべた。「叫ぶがいい。ぼくはきみの喜びの叫び声を今でも覚えている。のぼりつめるときに鋭い爪でぼくを引っかいたこともな、|子猫ちゃん《ガツチーニヤ》」
「クルス……いいかげんにして!」サブリナは必死になって彼の背中を拳でたたいたが、蚊が犀の皮を刺すようなものだった。
「きみはとてつもなく美しい」クルスは荒々しく言い、サブリナに抵抗できない自分の弱さを恥じた。彼女にキスをしたら、この胸の中で燃えあがる炎も弱まり、筋肉をこわばらせ、胸を高鳴らせる尋常ではない欲望から解放されるだろうか? クルスは彼女の腰に腕をまわし、もう一方の手を髪に差し入れてうなじを押さえ、唇を奪った。
 クルスは強引だった。にもかかわらず、サブリナは熟練したキスを受け入れざるをえなかった。思いがけない激しい欲求が体を駆け抜ける。彼女は十八歳だったころに戻っていた。成人する寸前の少女に。体だけでなく心までクルスに捧げようとしたバージンに。
 彼に手ひどく傷つけられた記憶がサブリナに闘う力を与えた。しかしクルスは彼女の喜ばせ方を覚えていて、彼女の防御を突破する方法を心得ていた。彼は強引に舌を割りこませ、口の中を探索した。
 身を震わせたサブリナは、自分が降伏寸前であるのを感じた。クルスも察知しているに違いない。しかし彼はキスを強めはしなかった。蜜を吸い取る蝶のようにそっと唇を吸った。それはあまりに魅惑的で、サブリナは体から力が抜け、甘く清らかなキスを返した。
 そのとたん、クルスははっとして顔を上げた。なんてことだ! ぼくはサブリナと愛し合うためにエバースレイ・ホールに来たわけではない。クルスはマホガニーの大きな机に目を走らせ、一瞬、地図を見つける望みと自分の正気をなげうち、体内で暴れまわる凶暴な欲望を満たしたいという衝動に駆られた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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