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悲しみの白い薔薇 氷の掟

悲しみの白い薔薇 氷の掟


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス氷の掟
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

ボスの誘惑に、未来の約束はない。なのに、日ごと夜ごと彼に惹かれていく。

家庭的に恵まれないナオミは、幼い頃に離別した父との絆を取り戻そうと、父の住むニューヨークで暮らすことにした。IT長者のセヴのもとで個人秘書の職を得るが、あまりにセクシーな彼を見て危険な予感を覚える。案の定、出社初日から猛烈な誘惑が始まった。セヴのような男性とかかわったらひどい目にあうだけだわ。ところが退職届を提出すると、最後の仕事としてドバイへの出張に同行を強要された。彼と2人だけで親密な空間を共有するなんて、無理だわ。けれど、彼女にはその命令を拒否できない理由があったのだ。

■養護施設で育ったセヴは、暗い過去の記憶から、他人とは距離を置いてきましたが、秘書採用の面接でナオミと出会って以来、彼女のことが忘れられなくなってしまいます。ところが人とうまくかかわれない彼は、誤った方法でナオミを縛りつけようとします。

抄録

「お父さんの名前は?」セヴはきいた。
「アンダーソン」
「アンダーソン・ジョンソン?」セヴは検索エンジンさながらにすばやく記憶をたどり、前に会ったことがあるかどうか調べはじめた。
 ナオミは首を横に振った。「いいえ、ジョンソンは母の旧姓だから」
「じゃあ、お父さんの姓は?」
「アンダーソン」ナオミはセヴの唇がゆがんで笑みをかたどるのを見た。
「お父さんの名前はアンダーソン・アンダーソンなのか?」
 セヴが確認すると、ナオミはうなずいた。
「お父さんに娘しかいないのは幸いだったな」セヴは改まった声音で続けた。「アレム、紹介しよう。こちらはアンダーソン・アンダーソンとアンダーソン・アンダーソン・ジュニア……」
「やめて」けれど、ナオミの顔は笑っていた。
 彼女はセヴと暖炉のそばに横たわり、悲惨な夜に救い主が現れて、いまは幸せな気持ちになっていることに気づいた。
「じゃあ、あなたのお父さんの名前は?」
「パス」セヴは即座に答えた。「いや、違うんだ。いまのは父の姓じゃない。パスと言ったのは、話題を変えないかという意味だ」
「じゃあ、お母さんの名前は?」
「ブレタ」セヴは答えた。「はい、次」
 ナオミは彼が両親に関する話はしたくないのだと察し、代わりに彼女を悩ませてきた別な質問をした。「なぜ白薔薇なの?」
「僕が答えるまでもなく、僕の見解はきみが証明している」セヴはため息をついた。「女性はなんでもないことでも深読みをする。赤い薔薇を贈れば愛情のしるしだと思い、ピンクの薔薇を贈ればロマンスだと思う。黄色にしてもよかったが、それはそれで彼女たちが別なことを思いつくに決まっている。だが白なら、ただの白だ」
「結婚式」
 ナオミの言葉にセヴはかぶりを振った。
「まさか、僕にかぎってそれはない」
「バージンのしるし?」ナオミは笑顔で言ったが、彼はまたかぶりを振った。
「僕が花を贈るまでにバージンではなくなっている」セヴはナオミのほうを向き、彼女に合わせて微笑した。「僕には長くつき合うつもりはないと、なぜ女性たちはわからないんだろう。僕は長期にわたって誰かを求めたくはないんだ」
 ナオミがすでに知っていることを彼がはっきり口に出して言うあいだ、彼女はただそこに横たわっていた。
「次の質問」セヴが促す。
 ききたいことは山ほどある。しかし、ナオミは当たり障りのない質問で我慢することにした。「好きな色は?」
 好きな色などないと言おうとして、いや、あるかもしれないとセヴは思い直した。たとえなくても、答えることによって利益がもたらされるかもしれない。彼はナオミの目をのぞきこんで言った。「茶色」
「もう、お願いよ」思わせぶりなセヴのせりふにナオミはうんざりして言った。
「本当だ」
「色あせて枯れた薔薇の色ね……」ナオミはため息をついた。
「本のページに挟むんだ」
 彼女はしばしその言葉について考え、セヴの目をのぞきこんだ。
 薔薇を本のページに挟む……。
 もし私が彼から薔薇の花束を贈られたら、それは間違いなく私たちの別れのときだ。
「きみの好きな色は?」セヴが尋ねた。
「ないわ。十六歳のときに思いきって緑だと言ったら、それから毎年、母はクリスマスに緑のアイシャドーを買ってくれた」
「質問に答えるんだ」
「黒、かしら」
「厳密にいうと黒は色じゃない。実際、そこに色はない……」
 あるわ、とナオミは胸の内で言い返した。色のない快さを、いまにも彼女は目にするところだった。なぜならセヴの唇はすぐ隣にあり、二人の唇が重なれば、見えるのは黒一色になるから。
 そのキスはきっと全身が麻痺していく感覚に似ているに違いない。けれど、すぐに彼は私の心を胸から引きちぎり、もてあそぶだろう。数時間、数日間、もしかしたら何週間も。
 いまはそれでもかまわなかった。
 それはごく軽いキスで、二人は顔を相手のほうに向けただけだった。どちらも背中を床につけたまま、目は開いていた。彼の唇はとても柔らかく、キスはたっぷり六秒間続いた。
 セヴは横向きになってキスを続けた。ナオミの気が変わったときに備えて。
 彼女の気持ちは変わらず、大好きな色を見て、それから目を閉じた。
 ああ、彼のキスが私を失望させてくれたらよかったのに。そうすれば、もっとずっと事態は簡単だった。
 キスは激しさを増し、シャンパンの味がする舌が滑りこむのと同じくらい巧みにセヴの手がガウンに入りこみ、そのままナオミの胸に向かった。前の夜にセヴが親密な接触を唐突にやめ、ファスナーを引き上げてから、ずっと彼を求めてうずいていた胸に。
 ナオミは抵抗を試みたが、それは意識の中だけだった。主導権は完全に体が握っている。腿にセヴの欲望のしるしが触れるのを感じ、しだいに深まるキスから、彼女は思った。二人がじきに床の上で裸になるという予想は的中しそうだと。
「ナオミ」セヴの声は金脈を掘り当てたかのように熱気と興奮を帯びていた。
 そしてまさに、彼はそんな気分だった。
 ナオミにキスをするところを想像したことはある。想像の世界での二人はぎこちなく、セヴは説得するようなキスを思い描いた。ところが現実のキスはひどく官能的で、彼女の口は彼のためにつくられたようだった。セヴはナオミの上になり、彼女の顔の両脇に肘をついた。脚のあいだの高まりを押しつけて彼女を見おろし、もう一度体を押しつける。
 ナオミはそれだけで興奮の縁へと追いやられそうになった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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