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純潔の未亡人

純潔の未亡人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイトリン・クルーズ(Caitlin Crews)
 ニューヨーク市近郊で育つ。12歳のときに読んだ、海賊が主人公の物語がきっかけでロマンス小説に傾倒しはじめた。10代で初めて訪れたロンドンにたちまち恋をし、その後は世界各地を旅して回った。プラハやアテネ、ローマ、ハワイなど、エキゾチックな地を舞台に描きたいと語る。

解説

8歳年下の継母――彼に蔑まれても、屈辱さえ甘いのはなぜ?

金めあての強欲女――初めて会ったときからキャスリンは、イタリア人実業家ルカ・カステリからそう思われてきた。この2年間、彼女はルカに嫌われる一方だった。キャスリンが年老いた大富豪の夫を埋葬した日でさえも、義理の息子であるルカは彼女を軽蔑し、嘲るのをやめなかった。「次の標的は僕だろうが、そうはいかない」と言って。キャスリンが否定すると、ルカは突然彼女を抱きしめる。唇を奪われた瞬間、キャスリンは思った。この人がファーストキスの相手になるなんて、と。

■ハーレクイン・ロマンスの中心的存在であるケイトリン・クルーズ。R−3176『幻を愛した大富豪』の関連作をお届けします。義理の息子との禁断の恋。でもそれは、ヒロインにとっては初めての本当の恋でした。

抄録

 ルカはキャスリンの許可も待たなければ、迷いもしなかった。そしてキスが始まった。
 彼の唇が近づいてきたとき、キャスリンは恐怖と不快感、それに男性に性的な目で見られるといつも襲われるパニックを覚悟した……。
 けれど、どの感覚も訪れはしなかった。
 もの憂げで自信に満ちたキスは、ルカという男性そのものだった。彼は片手でキャスリンの腕を押さえたまま、もう一方の手を彼女の顎に置き、望む角度に持ちあげながら何度も唇を重ねた。
 巧みで熱い口づけは乱暴で、とてつもなく男らしかった。
 今まで何千回もしてきたように、ルカはキスを続けた。まるでキャスリンには気づくことも予想することもできなかったのに、この二年間の行き着く先を知っていたみたいだ。
 体をとろけさせる熱がいちばん望まない場所に流れこんだとき、キャスリンは屈するしかなかった。ルカの胸に押しあてられた胸が重みを増し、切羽つまったうずきが下腹部に広がって熱く脈打つのがわかる。
 私の体は先を求めているのだ。貪欲に。
 その瞬間、キャスリンはなにも思い出せなくなった。ルカが誰かも、八歳も年上の彼の継母だった二年間も、なに一つ悪いことをしていないのに激しく非難する敵が上司になるのも忘れていた。
 頭からは、ルカを味わう以外のすべてが消え去っていた。荒々しくも甘い口づけで相手を意のままにできてしまうルカは、キャスリン自身よりも彼女の体がなにを欲しているのかわかっているようだ。我を忘れたキャスリンは、燃える炎に包まれた気分だった。貪欲な情熱の炎は肌を伝い、体の芯へと燃え広がっていく。その間も彼女はルカの舌に応え、すばらしい味わいに――。
 まるで痛みを感じたかのように、ルカがふいにキャスリンの体を押し返した。「くそっ」彼はつぶやき、毒々しく聞こえる言葉をイタリア語で吐いた。
 それでも、なかなかキャスリンを放せないようだ。
 キャスリンは言葉を失っていた。体の中を駆けめぐるものがなんなのかわからず、脈拍を上げ、肌を張りつめさせる感情にも名前をつけられずにいた。
 二人はわずかにできた距離を置いて、相手をじっと見つめた。引きつったルカの顔は荒々しく厳しいのに、やっぱり美しさは変わらない。
「あなたがキスしたのよ」キャスリンはそう言ってから、激しく後悔した。けれど唇は腫れ、口の中にはルカの味わいがまだ残っている。体を駆けめぐって脚の間に集まっている熱いものを、どうしたらいい?
 外の嵐と一体になったように、ルカの暗い表情がさらに影を増した。「僕に純粋ぶってみせても無駄だぞ」くいしばった歯の間から吐き出す。
「言ってることがわからないわ」
「僕にはバージンと娼婦の違いくらいわかるということだ、キャスリン」ルカの怒りは焼きごてのように熱く、キャスリンは先ほどのキスと同じ感覚に陥ってとまどった。「味見すればわかる」
 その言葉にどう答えていいか、キャスリンには見当もつかなかった。「ルカ」体はまだ震えていたけれど、できるだけ慎重に切り出す。本当はきちんと話せる自信さえなかった。「さっきのはつらい一日のせいで、お互いに疲れていたと思えば――」
「君の次の標的になるつもりはないんだ、キャスリン」ルカが言った。声ににじむ冷ややかな憤りは、美しい顔の中で引き結ばれた唇にも表れている。「よく聞いておいてくれ。あんなことは二度とない」
「私に標的なんてないわ」まるでブラックホールのようにルカのまわりだけ部屋がゆがんで見え、キャスリンは目をしばたたいた。「それと、私は危険人物でもない。どういう生き方をしたら、あなたみたいな考え方ができるの?」
 ルカが手を伸ばし、キャスリンの腕をつかんで引き寄せると、彼女の体の奥でくすぶっていたなにかがまたしても燃えあがった。そのすさまじい勢いに、キャスリンの足元がおぼつかなくなる。
「僕の会社に君はいらない」ルカはうなるように言った。「これ以上、君にカステリの名を汚されたくないんだ。僕にとって大事なものに近づいてほしくない」
 寒くもないのに、キャスリンの歯ががちがち鳴った。「つかまれていなければ、もっと脅しらしくなったでしょうね」彼女はなんとか指摘したが、望んだほど冷静な声は出せなかった。「でも、また失敗に終わったわ」
 ルカが笑いながらキャスリンを放した。世界じゅうの人に愛される彼が、世間に見せてきた笑顔とは全然違う。ルカが心のない石像のような人ではなく、弱点もある普通の男性だったなら、腕をつかまれたのはとっさの行動だったと思えたかもしれない。
「僕は父の使い古しに甘んじる男にはならない」ルカは恐ろしい声で言った。聞こえないふりをさせないためか、じっとキャスリンの顔を見つめている。「君のよからぬたくらみで、僕の善良な部下たちを堕落させるのも許さない。その手には乗るものか」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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