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真実は秘めたまま【ハーレクイン文庫版】

真実は秘めたまま【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

義理の兄の頼みで、ベスはあるパーティに赴くことになった。そのなかにきわめて魅力的だが、踊る彼女を苦々しげに見下す男がいた。だが次の瞬間、表情を一変させ、彼はにこやかにベスに近づいてきた。男は10年で巨大ビジネス帝国を築いた実業家として名を馳せるデクスター・ジョルダンニ――イタリア人大富豪だった。ベスは翌日の食事に誘われ、1週間後には婚約指輪を渡された。あまりに速い展開に驚きながらもベスは舞いあがり、デクスターが近づいた真意など疑いもしなかった。
*本書は、ハーレクイン・リクエストから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 デックスは彼女の内に秘めた気持ちを見抜いていた。「これでぼくたちの関係が終わりになるわけじゃないよ、ベス。それどころか、始まりだ」彼はもう一度彼女の手をとり、探るように顔をのぞきこんだ。「ぼくが手配するから、ニューヨークで落ちあおう。最高に楽しい時が過ごせるよ」
 ベスの心臓が飛びはねた。デックスの目に浮かぶ情熱の炎は、その楽しみがどういうものかありありと思い出させた。もしもわたしが……。だが常識が邪魔をした。デックスと一緒に世界をまわるなんてできるだろうか? 仕事や友人、アパートメントのこともある。デックスは何をさしだそうとしているの? 姉の誕生パーティに一緒に来てほしいとは言ってくれなかった。家族にわたしを紹介するつもりはないのだろう。
 彼が望んでいるのは一時の火遊びだ。
「申し訳ないけど行けないわ。仕事があるもの」ベスはそっけなく答えた。
「そうだったね、ばかなことをきいてしまった」彼女の手を放し、デックスはウエイターにブランデーを注文した。
 五分もすると、船は桟橋に着いた。客はそのまま乗っていてもよかったのだが、デックスは急に早く降りたくなったのか、支払いをすませ、コートをベスの肩にはおらせた。
 ベスのアパートメントに向かう車中は沈黙が支配した。彼女は隣に座るデックスを盗み見た。彼は完全に物思いに沈み、不安になるほどよそよそしい顔つきをしている。誘いを断ったわたしはチャンスを逃してしまったのだろうか。そう思うと胸が痛んだ。しかし、彼の誘いに乗ってつかのまの情事を楽しめば、そのほうがはるかに傷つくと頭のなかで理性がささやいている。
 ようやくデックスが口を開いたのは、車がアパートメントの前に着いたときだった。「指輪があれば違うかい、ベス?」
 彼女は今聞いた言葉が信じられず、驚きもあらわにデックスを見た。「指輪?」薄暗い車のなかで彼の顔は陰になり、表情までは見えない。だがかすれた笑い声ははっきりと聞こえた。
「そんなに意外だったかい、ベス? このあいだの日曜日のことがあったんだ、これしか解決方法がないじゃないか。ぼくのベッドに、そして人生にきみを迎えたい」
 ベスは目を見開いた。彼は本気でわたしに結婚を申しこんでいるの?
「それって、婚約指輪のこと?」
「決まっているだろう」デックスは上着の内ポケットに手を入れ、ベルベットが張られた小さな箱をとりだした。「気に入ってくれるといいんだけどね、ベス、ダーリン」
 ベスの目は、箱のなかにおさまっている大粒のダイヤの指輪に釘づけになった。「本気なの? 本気で言ってるの?」かなうはずのない夢がかなったのだ。激しい感情に胸が詰まり、デックスを見つめる目に涙が光った。「あなたはわたしを愛しているから、だからわたしと結婚したいの?」あまりの事の重大さに、声が震えだす。
「そうだよ」デックスはベスの左手を持ちあげ、薬指に唇を触れた。そして銀色の目で笑いかけながら、キスした指にそっと指輪をはめ、大きな手で包みこんだ。「これで婚約が調ったんだから、きみの寝室を見せてもらえるかい? イエスと言ってくれ。きみだって、自分がそれを望んでいることを知っているはずだよ」
「でも、あまりにも突然で。それにわたし、やっぱりニューヨークへは行けないわ」ベスはもごもごとつぶやいた。自分でもつまらないことを言っているとわかっていたが、降ってわいた展開にうろたえ、何も考えられない状態だった。「月曜日には仕事があるし」
 デックスは探るような目をしてゆっくりとベスのほうに身をかがめた。「いつもながら、きみの言うとおりだ。ぼくはきみにいきなり襲いかかったりしないと約束した、それは覚えている」
 ベスは首を振った。「違うのよ、デックス」片手を伸ばし、彼の唇の線を指でなぞる。「そんな意味で言ったんじゃないの……」
「しいっ、ベス。きみは疲れているんだ。ぼくはなんて気がきかないんだろう」
 デックスは運転席を降りて助手席側にまわり、ドアを開けて手をさしのべた。そのまま両腕にベスを抱きあげて建物に入っていく。彼女の部屋の前で下ろすと、キスをして彼女のバッグから部屋の鍵をとりだし、ドアを開けた。
「寝室の件はあとでもいい」デックスは大きな手をベスの背中にあて、彼女を押すようにしてなかに入った。「だけど、きみはぼくのものだ。それを忘れちゃだめだよ。ぼくは来週の金曜日に戻ってくるから、いい子にしていてくれ」
 それだけ言って、デックスは帰ってしまった。
 ひとり残されたベスは、閉まったドアを見つめていた。めまいがするし、胸は早鐘のように打っている。わたしは婚約した。デックスはわたしを愛している。わたしたちは結婚するんだわ。ベスはふらつく足で部屋を横切り、肘掛け椅子に沈みこんだ。指にはまった指輪をまわし、ダイヤモンドのきらめきをさまざまな角度から眺める。これは彼の愛の証だ。ベスはふっと吐息をもらした。ばかね、デックスを帰してしまうなんて。彼は、わたしがまだ愛を交わす覚悟ができていないと思っている。わたしは、全身全霊をこめて彼のものになりたいと思っているのに。
 ベスはベッドに横になり、彼のキスの味をもう一度味わおうと唇に舌を這わせた。デックスはわたしを愛している。来週彼が戻ってきたとき、どんなに彼を愛しているか伝えよう……。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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