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初恋は秘めやかに

初恋は秘めやかに


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

最愛の夫との赤ちゃんがほしい――そう願うことも許されないの?

16歳で両親を失ったレイシーはホワイトホール家に引き取られ、そこで3人の子供たちときょうだいのようにして育った。とりわけ兄と慕う長男コールに憧れをいだき、寡黙で愛想のない彼がときおり見せる優しさに胸を躍らせた。だが時代は非情にも、ふたりの運命を翻弄した――出征が決まると、コールは「待っていてくれ」と言い残して旅立った。レイシーはひたすら無事を祈りながら待ち続けたが、帰還した彼は人を寄せつけなくなり、彼女をひどく戸惑わせた。やがて、ある事件がもとでふたりは結婚を余儀なくされるが、コールは初夜を最後に、妻であるレイシーに二度と触れなくなり……。

■20世紀前半のアメリカが舞台の傑作ヒストリカル・ロマンスをリバイバルでお贈りします。大作家リンダ・ハワードも絶賛した、純粋でひたむきな愛が綴られた感動作!『よみがえる情熱』『嫌いになれなくて』の関連作で、初版は旧ランダムハウス講談社より刊行。

抄録

空を飛ぶなんて危険だわ……」レイシーは言いかけた。
「人生に危険はつきものだよ、レイシー」コールは静かに言い、濃い口紅をつけた彼女の柔らかな唇を見つめた。そして無意識に彼女の下唇を親指でこすり、真っ赤な色が指の腹に移ったのを見て微笑んだ。「烙印みたいだ」彼はからかった。「牛に押すのにちょうどいいな」
「洗えば落ちるのよ」レイシーは教えた。
「そうなのか?」コールはポケットからハンカチをとりだすと、片手でレイシーのうなじを支え、口紅を拭きとりはじめた。
「コール、やめて!」レイシーは抵抗して顔をそむけようとした。
「口紅の染みをつけて駅へ行ったら、みっともないからな」コールは作業に集中しながらうわの空で言った。
 レイシーは口をつぐみ、目を丸くしてコールの日に焼けた真剣な顔を見つめた。「な、なんて言ったの?」
 コールはやり終えたことに満足して微笑むと、チェストの上にハンカチを放った。「聞こえただろう」彼はレイシーの卵形の顔とダークブラウンの短い髪、大きなブルーグレーの瞳、まっすぐなかわいらしい鼻、拭いたばかりの弓形の唇へと視線を移した。「以前なら、こんな不謹慎なことはしなかっただろう。でも、ぼくはいつまた帰ってこられるかわからない。愛国心に燃える若者をキスで送りだしてくれないか?」
 レイシーはどぎまぎしながらコールのシャツのボタンをつかんだ。彼の素肌のぬくもりに指先がぞくぞくした。「ええ、いいわ」彼女はやっとのことで答えた。
 コールはためらいがちに引きしまった両手でレイシーの頬を包むと、覆いかぶさるように体を近づけた。
 レイシーは息もできなかった。こうなることにずっと以前から憧れ、夢見てきた。けれどいざそのときになると恥ずかしくて、彼の期待に応えられないのではないかと不安でたまらなかった。
「わたし……キスのしかたを知らないの」レイシーは早口で打ち明けた。
 コールははっと息をのんだが、今のレイシーの言葉を聞いていたしるしに、不器用に頬を包む手に力を込めて顔を近づけてきた。
「習うより慣れろと言うじゃないか、レイシー」彼はかすれた声で言うと、いきなりコーヒーの香りがする唇を重ねてきた。
 レイシーはコールの力強さと激しい欲求に、抗うことなく身を任せた。キスについて知らなくても、彼が教えてくれた。しんとした天井の高い部屋で、彼はゆっくりとレイシーを抱き寄せ、キスを続けた。
 コールは息を継ぐためわずかに顔を離し、欲望に陰った目を細めてレイシーを見つめた。彼女は覚えたばかりの狂気の渦に彼を誘い込もうとするかのように唇をかすかに開き、うっとりとなすすべもなく彼にしがみついていた。
「やめないで」レイシーは恥じらいを忘れてささやいた。
「どのみち、やめられないよ」コールはささやき返して顔をさげると、今度は穏やかな情熱を込めて優しくじらすように唇を重ねたが、やがてまたすぐにキスは狂おしげなものへと変わっていった。
 レイシーは夢にも思わなかった親密さでコールの熱い体に包まれ、固く冷たい壁に背中を押しつけられた。彼の平らな下腹部が突然変化した。激しいキスで唇が痛かった。
 怖くなったレイシーは夢中で胸毛に覆われた彼の胸を両手で押した。
 コールはすぐに顔を離した。欲望にわれを忘れて慎みの壁を越えてしまったことに、レイシーと同じくらいショックを受けた目をし、頬を紅潮させてあとずさりした。
 レイシーは腫れぼったい唇で、心を静めようとしながら、はにかみがちにコールを見あげた。コールの体はかすかに震えていて、つい抑制を失ってしまったことが目の表情でわかった。レイシーは彼が体を離したにもかかわらず、真っ赤になって視線をそらした。
 なんと言えばいいのか、どうすればいいのか、レイシーはわからなかった。体が熱く腫れたようで、おなかの下のあたりがぎゅっと引きしまる気がした。こんなことは初めてだ。|胴着《ボデイス》がとてもきつく思えた。彼女はブラウスのレース飾りを直しながら言葉を探した。
「すまない、レイシー」コールは目をそらしたまま、堅苦しい口調で言った。「こんなことをするつもりはなかったんだ」
「いいのよ」レイシーはかすれた声で答えた。「わたしも止めるべきだったわ」
「止めたさ。でも遅かった」コールは皮肉っぽく言うと、いつもの冷静な彼に戻ってレイシーのほうを振り向いた。乱れた髪が額にかかり、頬にはまだかすかに赤みが差している。彼は深いダークブラウンの瞳にレイシーがとまどうような輝きを宿し、見たこともない大胆さで、彼女のほっそりとした体と鮮やかなブルーグレーの瞳を見つめた。
「わたし……もう行かないと」レイシーは口ごもりながら言った。
「そうだね、そうしたほうがいい」コールも賛成した。「ぼくの部屋にふたりきりでいるところを家族の誰かに見られたら、きみの評判に傷がつく」
 けれども、レイシーはその場を動かなかった。コールも。
 コールは大きく胸を上下させた。「おいで」彼は両腕を広げて言った。
 レイシーは従順にその腕に抱かれ、彼の冷たく湿った胸に、火照った頬を押しつけた。濃い胸毛が肌に当たってくすぐったかった。彼の鼓動は息づかいと同じように速く荒々しかったが、彼女を抱く腕は慎み深く、情熱的というより優しく守るようだった。
「ぼくを待っていてくれるかい?」コールは彼女の耳もとでそっと言った。
「ええ、いつまでも」レイシーは悲しみに打ちひしがれて答えた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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