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身代わりの婚約者 ハイランダーブライド

身代わりの婚約者 ハイランダーブライド


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: ハイランダーブライド
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

契約結婚の相手は、10年前の初恋を踏みにじったハイランダー……『さらわれし花嫁』に続く、実力作家の最新作。

16歳の秋、マッカラム氏族長の娘マギーは初めての恋をした。相手は次期伯爵で、長年敵対関係が続くダフ一族の青年、オーウェン。禁じられた恋と知りつつも、見知らぬ地への遠駆け、彼が聞かせてくれる世界の謎、そして生まれて初めてのキスにマギーは夢中だった――自分にはほかに許嫁がいるとオーウェンに聞かされるまでは。悲しい失恋から10年、彼の許嫁が事故死し、運命は皮肉にもマギーとオーウェンを契約結婚の相手同士として再会させる。心の痛みを無視し、氏族同士の諍いを収めるためと自分に言い聞かせるマギーだが……。

抄録

 二人の禁断の友情は、マギーを思いとどまらせるどころか、あまりに大胆な行動に走らせた。彼は、マギーが知っている男性たちとまったく違っていた。彼はマギーが自分と同じくらい頭がいいかのように、物理学や化学、天文学について語ってくれた。世界の謎に深い興味を持っているらしいオーウェンに、将来は科学者になるのかと尋ねると、彼は険しい表情を浮かべ、それは父親に禁じられていると答えた。オーウェンは伯爵の後継者であり、その立場にふさわしい教育を受けるのだという。古典の勉強をしなければ、翌年も大学に残ることを父親が認めない、と。
 マギーは同情し、それ以上彼を悲しませたり腹立たせたりしないよう話題を変えたが、自身もかなり困惑していた。一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、まるで子どものころに会ったことがあるかのようにオーウェンに親しみが増していくのだ。彼は一度も会ったことはないと断言したけれど。時おり、物陰から夢の存在にからかわれているような気がして、マギーは体を震わせた。
 マギーの夢は、ただの夢ではない。その夢が現実になったことは一度や二度ではなかった。氏族の中のある子どもが行方不明になり、きっと溺れてしまったのだろうと家族が捜索をあきらめようとしていたときには、崖の下にうずくまる、びしょ濡れの少年が夢に出てきた。マギーの父親に乱暴された、若い娘の自殺を予知する夢を見たこともある。マギー自身は、その夢が現実になるまで内容が理解できないことがほとんどだったので、結果的に娘を助けることはできなかった。そのあと、マギーの母は彼女をラリグ城から連れ出し、実家のあるエディンバラへ戻った。彼女を父の手から守るためだった。
 でも、オーウェンは? こちらが覚えていないだけで、彼も、夢に出てきたことがあるのだろうか。彼と離れると、そんな懸念で頭がいっぱいになった。でも二人でいるときは、笑い合ったり、その鋭い観察力に感心したりしていた。向こうに気づかれないよう、じっとその顔を見つめたり、彼と結婚する自分を想像したりすることもあった。おそらく彼は運命の人であり、二人は結ばれる運命にあるのだと、自分自身に思いこませようとしていたのだろう。キスもしたかったのに、彼はあくまでも紳士だった――あるいは、二人の氏族が長年にわたって争ってきたことから、これ以上親密な関係にはなれないと考えていたのかもしれない。いずれにしても、それぞれの一族にまつわる話は、二人の間で決して触れてはいけない気がしていた。
 それでも、彼はマギーに触れてくれて、そのたびにマギーはうれしくてとろけそうになった。オーウェンは彼女の手を取って野原を走ったり、肘を引いて導いたり、腰にそっと手を当てて、スカーフのようにたなびくオレンジとピンク色の雲に沈む太陽を見つめたりしたものだった。
 オーウェンと親しくなって二週間後のよく晴れた日、マギーは昼食を入れたバスケットを持ち、海沿いを歩いていた。オーウェンがムール貝と真珠を探そうと言い出したが、くるぶしだけ浸けてぶらぶら歩くというわけにはいかなかった。真珠など一つも見つからないまま二人はずぶ濡れになり、寒さに体を震わせつつ大笑いしながら草深い土手を這い上がった。
 日光を浴びながらオーウェンは草の上に倒れこんだ。気が大きくなったマギーも同じように草むらに寝ころび、大胆にもじっと彼を見つめた――彼が目を閉じていたからだ。縛っていた髪がほどけ、濡れて色濃くなった髪の毛が一筋、頬に流れている。マギーは無意識に地面へ肘をつき、指を震わせながら頬の髪を払った。
 その瞬間、オーウェンが急に目を開けた。大笑いされるとばかり思っていたのに、真上にあるマギーの顔をじっと見つめてくる。周囲がしんと静まり、二人は物言いたげな熱い視線を交わした。速くなる自分の息遣い、彼の肌についた水滴、震える手をそっと胸に置いたときの彼の鼓動しか聞こえず、見えず、感じられなくなった。
 オーウェンはマギーの顔を手で引き下げ、そっとキスをした。水で濡れた唇は冷たかったが、想像していた男性の唇よりは柔らかかった。その大胆な行為にめまいがした――それとも、オーウェンがあまりにも近くにいるせい? 彼の胸に手を当てたまま、頭をあげた。どうしていいかわからず、じっと見下ろしていると、彼はふたたび唇を重ねてきた。唇が開かれ、その舌がマギーの唇の間に入りこむ。思わず驚きに身をこわばらせた。濡れて冷たかった肌が急に熱を帯び、口から胸へとぬくもりが広がっていく。体の震えはもはや寒さのせいではなかったが、手や脚がなぜこんなにむずむずするのかがわからない。彼に触れてほしい――こんな気持ちになったのは初めてだ。それでもマギーには、彼の胸にもたれかかるのが精一杯だった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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